Blackmagic Design導入事例:長編映画「Big George Foreman」の場合

Blackmagic Designによると、長編映画「Big George Foreman(原題)」が、DaVinci Resolve Studioを使用して制作されたという。

ジョージ・ティルマン・ジュニア監督による長編映画「Big George Foreman(原題)」は、ヘビー級チャンピオン、ジョージ・フォアマン(演:クリス・デービス)の人生とボクシングのキャリアを描いており、1960年代の最初の試合から始まるフォアマンの数十年に渡る人生を観客に紹介する。最新作では、フォアマンがオリンピックの金メダリストとなり、牧師となり、そして世界最高齢のヘビー級チャンピオンになるという、リング内外におけるフォアマンの人生の浮き沈みが描かれる。

Company 3のシニアカラリスト、シギー・フェストル氏は、ティルマン監督とジョン・マチジアク撮影監督と協力して、フォアマンの人生における年代と試合を区別するルックを作成。同時に全体のバランスを調整し、作品に一貫性をもたらす特徴的かつ調和のとれたルックを作成して、実話を元にしたこのストーリーに息を吹き込んだ。

フェストル氏は、そのためのツールとしてDaVinci Resolve Studioを選択したという。

フェストル氏:オブジェクトの分離とトラッキングにResolveのMagic Maskを使用しました。これにより、試合のシーンで異なるタイプのグレーディングを施すために、個々の人物を選択し、フォアグラウンドとバックグラウンドを分離させるプロセスを簡略化することができました。

Blackmagic Design導入事例:長編映画「Big George Foreman」の場合

フェストル氏:いくつかの試合では、グレーディングで観衆の"露出"を下げてコントラストを追加し、フレーム内に暗い部分と明るい部分を作りました。またボクシングのシーンでは、ResolveのOpenFXツールでレンズ反射やフレア、グローエフェクトを少し追加して、フォアグラウンドとバックグラウンドを一体化させるようにしました。

フェストル氏のグレーディングは、時代だけでなく、フォアマンの試合が行われた場所を区別することにも一役買ったという。

フェストル氏:試合はそれぞれ異なる場所で行われたので、各試合に異なるルックを作成しました。

フォアマンは世界を回って、メキシコ、ザイール、ジャマイカで戦っていますが、ボクシングのリングもそれぞれ違いがあります。私たちは当時撮影されたものを参照して、特定のエレメントを強調しました。例えば、あるリングは柔らかくくすんだ青で、あるリングは濃厚で深い青だったので、その違いを強調したんです。また、場所の違いを強調するために、試合の色温度も調整しました。あるときはタングステンカラー、あるときはクリーンな日光のルックとニュートラルなブルーを取り入れました。

Blackmagic Design導入事例:長編映画「Big George Foreman」の場合

1990年代にラスベガスで行われた試合について、フェストル氏はこう指摘する。

フェストル氏:この試合はすべてがクリーンで明るかったので、それ以前の試合のように、レンズフレアを追加することはしませんでした。そして、重要な試合中に挟まれるフラッシュバックのシーケンスでは、フォアマンの生涯を通したシーンが映し出されるのですが、全体的に彩度を落とし、フレームにビネットを強めにかけて、フラッシュバックを独自のルックにしました。

またフェストル氏は、Resolveのグレインツールを使って、デジタルで撮影した画像の上にフィルムグレインを加えた。これは、文字通りフィルムっぽさを出すためというよりは、画像を微妙に強調するためであったという。

フェストル氏:私たちはこの作品に合った素晴らしいグレインパターンを作り、それを全体を通じて変化させて、ルックとテクスチャーを調整しました。Resolveのフィルムグレインツールは、グレインのサイズ、テクスチャー、強さを調整できるだけでなく、異なるカラーチャンネルやグレースケールの異なる部分でどの程度目立たせるかをコントロールすることもできました。これは、画像にテクスチャーを足したい時に非常に便利で効果的でしたね。例えば、教会内の重要なシーンでは、実際の場所は壁がまばらだったのですが、そこに少しグレインを足すことで微妙な質感が出て、全員が気に入りました。

Blackmagic Design導入事例:長編映画「Big George Foreman」の場合