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Blackmagic Designによると、関西テレビで放送されたドラマ「ブルーバースデー」の撮影にURSA Mini Pro 4.6K G2およびBlackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proデジタルシネマカメラが使用され、DaVinci Resolve Studio およびDaVinci Resolve Advanced Panelでグレーディングされたという。
同作は、若い世代を中心に人気を博した韓国のWebドラマ「BLUE BIRTHDAY」の日本版リメイク。幼馴染で初恋の相手でもある准を10年前に亡くした花鈴が、ひょんなことから過去にタイムリープすることができるようになり、亡くなった准を助けるために過去と現在を奔走する物語。主演は鶴房汐恩(JO1)および松井愛莉が務めた。
同作の撮影監督である松宮まなぶ氏は、次のようにコメントしている。
松宮氏:オリジナルの韓国版ドラマはコントラストの低い、学園ドラマ的な感じのトーンでしたが、監督からそれとは違うトーンを作りたいとリクエストがありました。この作品は過去と現在を行ったり来たりする話なので、撮影現場でのフィルターワークとDaVinci Resolveでのグレーディングでどんなことができるかをカラリストの三浦さんと相談して、過去に関しては、アンバートーン、現在のシーンはブルートーンで区別することにしました。
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松宮氏:撮影に関しては、ハイスピード撮影ができること、できるだけ高画質で撮れてコストパフォーマンスがいいもの、そして仕上げにあまり時間が取れないのでポストプロダクションの作業に負担がかからないものを使いたかったんです。
過去のシーンや准が花鈴を守るようなアクションシーンはハイスピードで見せたいと思っていました。URSA Mini Pro 4.6K G2なら、RAWで300コマのハイスピード撮影ができるし、Pocket Cinema Cameraがあれば壁ギリギリにカメラを設置しないといけないような場合にも対応できます。同じメーカーのカメラなのでAカメ、Bカメのトーンの違いもあまりない。また収録メディアもメーカー独自のものでないCFastやSDカードなどを使えるという点もコスト面ですごく助かりました。
同作のグレーディングを勤めたカラリストの三浦徹氏は、DITとして撮影現場での仕事も数多くこなす。
三浦氏:撮られた素材のカメラの種類がバラバラだったり、撮影時の天気が晴れていたり曇っていたりすると、それらの色を一旦揃えるのが大変なんです。そのためRAWで撮れることは大前提で、Blackmagic RAWであればデータ量も軽く、素材の露出がオーバーでもアンダーでもResolveのカメラRAWの設定で簡単に調整できるので、素早くマッチングできるんです。
松宮氏:撮影現場ではフィルターも使っていたので、そのフィルターを当てた状態で撮ったものに対して事前に三浦さんにLUTを作ってもらい、そのLUTを撮影中も使っていました。
どうしてもスケジュール上フィルターを使う時間が取れない場合は、そのフィルターのルックをDaVinci Resolveで再現してもらいました。
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三浦氏:今回、タイムリープするシーンを、ワイプを切って半分はフィルターを当てた過去のルック、もう半分は現在のルックで表現しました。フィルターによる光学的に作ったルックとノーマルなルックを合わせて、より立体感を出しました。
またスキントーンに関して、松宮氏はこう話す。
松宮氏:過去のシーンでは役者さんが高校生の設定なので、違和感がないようにする必要がありました。事前に作ってもらったLUTでもある程度スキントーンを滑らかにするような効果をつけてもらっていましたが、連続ドラマなので役者さんの肌のコンディションがあまりよくない日もあります。照明などで補えない部分は三浦さんに調整してもらうこともありました。
三浦氏:DaVinci Resolveに以前からある、空間的ノイズ除去の機能を使うと、トラッキングをとる必要もなく、肌の部分だけ綺麗にボケてくれるので、かなり使えますね。
また、今回は連続ドラマだったため、DaVinci Resolveのリモートバージョン機能が大いに役立ったという。
三浦氏:この作品は回想シーンや前話の振り返りなど、同じ素材が何回も出てくることが多かったんです。リモートバージョン機能を使うことで、以前作ったグレーディングが同じ素材に自動的に反映されるので便利でした。スチルストアに保存したグレーディングデータを使うこともできますが、カット数が多いとそのデータを探すこともちょっと時間がかかるので、この機能を使うことで作業効率がかなり上がりました。
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