ソニーは、ビジネス向け映像・音響ソリューションを紹介する内覧会をメディア向けに開催した。発表されたばかりの新製品や国内初展示が多数あり、興味深い内容であった。その内容を紹介しよう。

BtoB向けに企画設計したビジネス向けBRAVIA新製品を展示

目玉は、2023年6月4日に発表した4K業務用ディスプレイ「BRAVIA」4シリーズの展示だ。スタンダードモデルの「BZ30L」シリーズ、スタンダードモデルの中でも高輝度なモデルの「BZ35L」シリーズ、映り込みを抑制した「BZ40J」シリーズ、サイズ感、画質ともにフラグシップの「BZ50L」シリーズとなっている。モデル別に紹介をしていこう。

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「BZ30L」シリーズ、「BZ35L」シリーズ、「BZ40J」シリーズの55インチモデルを展示

XR搭載98型の大型モデル「BZ50L」シリーズ

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98インチモデルの「BZ50L」シリーズ。右隣の「BZ40J」シリーズ55インチモデルと比べて、さらに大画面を実現している

フラグシップモデルの「BZ50L」シリーズは、98V型の大画面を特徴としている。認知特性プロセッサー「XR」やピーク輝度1500cd/m2を誇る高輝度パネルにより、広い空間でも明るくて鮮明な4K映像を表示可能。大会議室や企業のエントランスなどで使われることを想定したモデルであるという。

前機種のFW-100BZ40Jと比べて本体重量は20kgほど軽量化を実現し、ハンドルの向きは横のほかに縦も追加。大型モデルでありながらも取り回しのしやすさを特徴としている。

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「BZ50L」シリーズの背面の様子。ハンドルを縦と横に配置し、運搬と設置を容易にしている

高画質と映り込みの抑制を両立させた「BZ40L」シリーズ

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「BZ40L」シリーズは、BtoB向けの高画質としての提案に最適なモデルとしている。特徴は、反射光を拡散させる「アンチグレア」と反射光自体を低減する「ローリフレクション」を合わせ持つ「ディープブラック・ノングレアコーティング」の採用。全透過光に対する拡散光の割合を指すヘイズ値は、47%と非常に高い数値を特徴としている。「BZ50L」シリーズの2%、「BZ35L」シリーズと「BZ30L」シリーズの1%と比較すると、飛び抜けて高い数値である。他社製品と比べても、かなり高い値と言っていいだろう。

ヘイズ値は拡散値であり、数値が高くなると画面は白色っぽくなる傾向がある。しかし「BZ40L」シリーズはディープブラック・ノングレアコーティングを施しており、アンチグレアに加えてさらに低反射の加工を施している。映り込みを抑えながらも色表現の両立を特徴としている。

高輝度スタンダードモデル「BZ35L」と豊富なラインナップから選べるスタンダードモデル「BZ30L」

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明るい会議室や教室でも高い視認性を確保する「BZ35L」シリーズ
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会議用途やサイネージ用途など、様々なビジネス現場に対応する「BZ30L」シリーズ

「BZ35L」シリーズと「BZ30L」シリーズは、高画質な映像描写が可能なスタンダードモデルだ。「BZ30L」シリーズは、43型、50型、55型、65型、75型の6サイズの豊富なラインナップを提供しており会議用途やサイネージ用途など、様々なビジネス現場に対応。「BZ35L」は、550cd/m2の4Kパネルを搭載することで、明るい会議室や教室でも高い視認性を特徴としている。教育分野では500cd/m2以上が求められるが、その需要に答えたモデルとしている。また、複数台数を導入してシリーズを混在した場合でも、統一感を確保できるデザインを実現している。

通常のコンシューマモデルでは正面にSONYロゴマークを刻印しているが、サイネージや会議室用途を前提としているためにロゴは側面に移動している。

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高いコントラスト比と深い黒の表現が特長のCrystal LED CHシリーズ

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CHシリーズ(左)とCシリーズ(右)の比較。CHシリーズは1300cd/m2の高輝度化を特徴としている

Crystal LEDコーナーでは、展示会としては国内初お披露目の新商品CHシリーズの1.59mmピッチサイズを展示。5×5枚の15キャビネットに組み上げた状態で、137インチのフルHD解像度での展示が行われていた。

CHシリーズは1300cd/m2の高輝度化を特徴しているのに対して、現行機種のCシリーズ(1.58mmピッチモデル)は750cd/m2。明らかにCHシリーズは高輝度化を実現しつつ、約20%の低消費電力化を実現。ショールームや企業のエントランスなど、コーポレート系に最適だという。

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BHシリーズの1.59mmピッチモデル「ZRD-BH15D」のモジュールの様子。低反射コーティングにより様々な環境下で使用可能

ミラーレス一眼カメラやリモート制御の優位性を紹介

カメラのコーナーでは、ビデオカメラとレンズ交換式ミラーレスカメラ「FX3」との映像比較を展示。モニターを見れば一目瞭然で、レンズ交換式大判センサーを搭載したカメラで撮った映像は背景がボケて印象的な映像を実現。カメラを変えるだけで、映像に差を出せることを紹介した。

また、背景がボケる映像もタッチ操作でフォーカス位置を設定可能。迷うことなく高品位な映像を撮れることも特徴としているという。

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左がXDCAMメモリカムコーダー「PXW-Z90」、右がプロフェッショナルカムコーダー「FX3」

FR7のコーナーでは、リモート操作や1つのリモートコントロールで複数カメラ操作に対応できることを展示。タブレットを使ってプリセットの呼び出しも可能で、少人数のオペレーションで操作できることも魅力と紹介した。

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Cinema Lineカメラの「FR7」とEマウントレンズ「FE PZ 28-135mm F4 G OSS」の組み合わせ
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リモートコントローラー「RM-IP500」(左)とWebアプリ(右)。Webアプリを利用すれば、狙いたい被写体をタブレット端末などの画面上でタッチするだけでフォーカスを合わせて追尾対象を指定することもできる

VLOGCAM「ZV-E1」のコーナーでは、オートフレーミング機能を展示。同機能は、動画撮影や動画配信時に認識した被写体を追従し、クロップによるカメラが自動的に構図を変更してくれる。カメラが固定されていてもカメラワークのある撮影をしてくれるのは面白い。少人数でも、簡単に動きのある映像をライブ配信できそうだ。

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「Camera Remote SDK」のコーナーでは、ソニー製カメラのリモート操作と制御を効率的に構築するための無償開発キットを展示。同SDKを使うことによって、独自構築したシステムにソニー製カメラを組み込むことが可能になる。Eコマースなどのコンテンツ制作、点検・調査などの用途に活用できるとしている。

デモでは、ホストとなるPCから、ソニー製カメラをリモート制御して、カメラ設定の変更やシャッターレリーズ、構図変更やフォーカス調整などのライブビューモニタリングといった操作が可能になることを紹介していた。

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