Blackmagic Design導入事例:短編映画「Deadline」の場合

Blackmagic Designによると、アラブ首長国連邦(UAE)に拠点を置くシーハン・ショーキャス監督による短編映画「Deadline(原題)」の撮影に、Blackmagic Pocket Cinema Camera 6Kデジタルフィルムカメラが使用され、Blackmagic RAWのワークフローが取り入れられたという。「Deadline」は、風変わりなコールセンターのカスタマーサービス員が、勤務中に状況が悪化していく様子を描いている。ショーキャス監督は同作において、内省と共感のレンズを通して、悲しみや個人のアイデンティティといった深遠なテーマを探求しようとした。

「Deadline」は、2022年に映画祭で成功を収めた。最も顕著だったのは、同年7月の月例カンヌ世界映画祭で、最優秀原作賞、最優秀俳優デビュー賞、最優秀監督短編賞の3部門を受賞したことである。

2023年も快進撃は続いた。5月にはアメリカの映画祭で限定公開され、さらに世界各地で一般公開と映画祭上映が行われ、6月には再びカンヌに戻ってレッドカーペットを歩き、クリント・イーストウッドやジェニファー・ロペスを輩出したカンヌ世界映画祭で、最優秀原作賞を目指した。

観客は、「Deadline」のオープニングショットから、この映画がインディーズ作品であることを感じさせない鮮やかな色調に驚かされるという。

「Deadline」は、一人の俳優(ショーキャス監督の兄弟イシャーン)を一晩で撮影し、ショーキャス監督が脚本、監督、撮影監督の三役を務めた。同作は、従来の常識を覆し、有意義な会話を弾ませるような新しいストーリーテリングの手法を探求している。

Blackmagic Design導入事例:短編映画「Deadline」の場合

短時間の撮影であるため、適切なカメラを選ぶことが非常に重要であったという。また翌日には主役が撮影場所の町を飛び立つことになっており、さらに機材もスタッフも最小限であったので、ミスは許されなかった。

ショーキャス監督は、次のようにコメントしている。

ショーキャス監督:予算が限られていたので、購入前にPocket Camera 6Kについて多くのリサーチを行いました。 カメラのサイズ、バッテリーの持続時間、そして性能を考え合わせると、私たちにとって最適なカメラでした。

仮に、もっと予算があり、大規模なクルーでカラー専門のスタッフがいたとしても、このカメラを選択していたと思います。

優れたダイナミックレンジとカラーサイエンスに対応した完璧なシネマカメラですね。フォルスカラーの機能は、視覚的なストーリーテリングにおいて重要な役割を果たしました。視覚的なコントラストを作成するのに望ましいトーンレンジを維持しながら、露出レベルを正確にモニタリングし、セットで照明を当てるのに役立ちました。

このカメラのダイナミックレンジにより、ハイライトとシャドウの幅広い範囲をキャプチャーできました。視覚的に魅力的で没入感のある映像が得られたので、物語をより深めて雰囲気を向上させることができました。

また、ポスプロと編集ではDaVinci Resolve Studioを使用したが、ここでもBlackmagic RAWで撮影したことが利点となった。

「Deadline」の撮影は一晩で行われたが、イタリア在住のカラリスト、ヴァレリオ・モリーニ氏を含む主要なスタッフが海外在住だったこともあり、ショーキャス監督はポストプロダクションに時間をかけた。

Blackmagic Design導入事例:短編映画「Deadline」の場合

編集、カラーグレーディング、オーディオを含むポストプロダクションには、DaVinci Resolve Studioを使用。ショーキャス監督は、ビデオ会議を用いた編集、サウンドトラック、カラーグレーディングに3〜4ヶ月を費やしたが、この作業が一番楽しかったと語る。

ショーキャス監督:Blackmagic RAWでフッテージを撮影できたことで、カラーグレーディングでは最大限の柔軟性とコントロールを得られました。このシームレスな統合により、同作のルックと雰囲気を簡単に微調整でき、希望通りのグレーディングと全体的なビジュアルを実現できました。

DaVinci Resolveのパワフルなツールと効率的なワークフロー、そしてBlackmagic RAWのネイティブサポートにより、合理化された一貫性のあるポストプロダクションを実現し、プロセスを促進してイメージの全体性を維持しながら時間を節約することができました。

「Deadline」の最初のコンセプトは、InstagramやYouTubeなどのオンライン・プラットフォーム向けの短編映像を作成することであった。しかしショーキャス監督は、制作を進めてその優れた結果を目の当たりにするにつれ、この映画がより多くの観客に受け入れられる可能性があることに気づいた。

「Deadline」というタイトルは、ショーキャス監督のInstagramのフォロワーとのやりとりの中で決まったという。

ショーキャス監督:私は観客と関わり合って、映画のクリエイティブな意思決定に参加して欲しかったんです。アンケートを実施した結果、「Deadline」が断然人気となりました。このタイトルは作品の中心となるテーマを完璧に表現しており、物語の中で繰り広げられる一か八かの雰囲気と時間に追われるようなストーリーを反映しています。

ショーキャス監督の言葉を借りれば、この大成功はさまざまな要因が重なった結果である。

ショーキャス監督:まず、視聴者の感情レベルを揺さぶる魅力的なストーリー展開が大きな役割を果たしています。そして名高い映画祭で受賞したことで、観客の心に響く作品であることが明らかになりました。

さらに、Blackmagicワークフローによる優れた技術で制作品質が向上し、結果として視覚的に印象的で没入感のある体験を届けることができました。

Blackmagic Design導入事例:短編映画「Deadline」の場合