ソニーは、デジタルシネマカメラ「BURANO」を2024年春に発売する。希望小売価格はオープン。市場実勢価格は以下の通り。
- BURANO:税込430万円前後
- グリップリモコン「GP-VR100」:税込24万円前後
- CFexpress Type B メモリカード CEB-G1920T(1920GB):税込36万円前後
- CFexpress Type B メモリカード CEB-G960T(960GB):税込19万円前後
ソニーはデジタルシネマカメラ上位機種としてチームで撮影を行う「VENICE 2」やワンマンオペレーションをターゲットとした「FX9」を発売中だが、「BURANO」はVENICE 2とFX9の間の位置づけだという。VENICE譲りの画質や操作性、コンパクト、高機動力を重視したモデルとしている。
BURANOは、高画質を維持しながらも、軽量コンパクト化を実現し、小型筐体にもかかわらず光学式ボディ内手ブレ補正や電子式可変NDフィルターなどの先進機能を搭載。VENICE譲りの8.6Kフルフレームイメージセンサーを搭載し、高品質な映像表現を可能としている。
BURANOは様々な先進機能を搭載している。その1つ目は、PLマウントカメラとして初めてボディ内手ブレ補正を搭載。αで培ってきた手ブレ補正の機能を、CineAlta最上位クラスにも搭載し、PLレンズでも手ブレ補正を実現している。
もう1つの特徴は、電子式可変NDフィルターの内蔵と手ブレ補正の同時搭載としている。Cinema Lineはこれまで可変NDフィルターや手ブレ補正搭載カメラを発売してきたが、この2つを同一機種で実現したカメラはこれまで存在しなかった。センサーの手ブレ補正を吸収しつつ、短いフランジバックに可変NDフィルターの内蔵は困難であったが、新開発の薄型NDフィルターによって2つの技術を1台のカメラに実現できたという。
BURANOは、ファストハイブリッドAF(コントラストAF+位相差検出AF)やAIを用いた被写体認識AFに対応。Eマウントレンズ使用時には、狙いたい被写体をモニター上でタッチするだけでピント合わせが可能。用途に合わせて、マニュアルフォーカスやオートフォーカスを活かせる機動性を盛り込んだカメラを実現している。
また、VENICE譲りの映像品質を特徴としている。8.6Kフルフレームセンサーの搭載や16ストップの広大なラチチュードにより幅広い輝度条件下でハイライトから暗部まで豊かな階調を表現することを可能としている。
VENICEと同様に、明るい場面と暗い場面で2種類の基準感度の使い分けができる独自のデュアル・ベースISO機能を搭載。基準感度ISO 800/3200と高感度に対応する。
レンズマウントは標準でPLマウントを搭載。PLマウント部を取り外すことによりEマウントを使用可能。Eマウントのスチル系レンズに対応可能になり、超広角レンズなど様々な個性を持ったレンズを使用できるとしている。
カラーサイエンスは、VENICE 2と同等を搭載。VENICEの発色の表現やルックと一致できるという。また、VENICEは初代モデルから大好評のLUT「s709」に加えて、新開発の「Warm」「Cool」「Vintage」「Teal and Orenge」を搭載する。
BURANOは、高品質な映像を収録する3種類のコーデックを搭載する。ソニー独自の圧縮RAWフォーマット「X-OCN LT」、8K記録に対応した新しいビデオフォーマット「XAVC H」、4K、HD記録ビデオフォーマットの「XAVC」などに対応する。
■8K記録対応の「XAVC H」(HEVC/H.265)
- ALL-Intra 4:2:2 10bit記録 最大1,2000Mbps@29.97PのHi Qualityモード「XAVC H-I HQ」
- ALL-Intra 4:2:2 10bit記録 最大800Mbps@29.97PのMid Qualityモード「XAVC H-I SQ」
- Long GOP 4:2:2 10bit記録 最大520Mbps@29.97PのLight File Sizeモード「XAVC H-L」
ボディには、3.5型LCDモニターを付属。側面に設定してアシスタントの操作画面としても使用可能。さらに、覗き込む「ビューファインダー」スタイルとして使用可能になるファインダールーペが付属する。LCDモニターは、画面タッチ操作に対応しており、画面タッチによる設定の変更やタッチのオートフォーカス操作にも活用可能としている。
記録メディアは、CFexpress Type BのデュアルスロットとSDカードスロットを搭載。2基のリレー記録やサイマル同時記録、SDカードにはプロキシ記録が可能。
別売品のグリップリモコン「GP-VR100」をボディと同時に発売する。フルコントロールが可能で、ワンタッチでのアームの角度の変更など進化している。こちらも本体と同じ2024年春頃発売を予定している。
メモリカードはCFexpress Type Bに対応。ソニーはCEB-Gシリーズの128GBから512GBを発売中だが、さらに大容量の960GBや1920GBモデルを発売する。大量量かつVPG400認証(400MB/s)に対応し、高速アクセスが必要なシネマカメラに最適なメモリカードとしている。カメラ本体と同じ2024年春発売予定としている。
BURANOは、発売以降も進化を予定している。ファームウェアロードマップによると、2024年夏頃にバージョン1.1を予定。S700プロトコル(Ethernet接続)のソニー業務用カメラのリモートコントロール対応やアナモフィックレンズ1.5倍スクイーズの機能追加を予定している。
時期は未定だが、4:3アスペクトのメジャーモードの追加やアナモフィック1.8倍スクイーズ、HDMI出力時のOSD表示のレイアウト改善なども予定しているという。