Blackmagic Designによると、ボーダフォンのスタジオでBlackmagic Design製品が使用され、制作におけるオーディオビジュアルが改善されたという。
ボーダフォン・ドイツおよびシステムインテグレーターであるSigma-AVが設計・構築した400m2の制作スタジオの中枢は、バーチャルプロダクション用の15mの湾曲したLEDウォールだ。
同プロジェクトは2020年に着想され、2022年半ばに着工し、2023年半ばに稼働を開始した。
ボーダフォン・ドイツのデジタルコンテンツ・プロデューサーのルーカス・ロス氏は、次のようにコメントしている。
ロス氏：自分達のコンテンツの制作に関するエキスパートになろうという社内の強い考えがありました。
これまでは、外部のスタジオやパートナーを使用して、非常に多くのビデオ、イベント、テレビCMの制作を行ってきました。そのような制作は高価で柔軟性に欠けていました。
専用スタジオを構築することで、制作費と準備期間を削減できたと同時に、社内の制作チームで請け負える範囲を拡大しています。
コロナ禍はもちろん、それ以降においても、バーチャル・ミートアップとハイブリッド・イベント・デリバリーが、将来の会議により柔軟なモデルを提供することに気づきました。弊社はテクノロジー企業であるため、それを可能とする、エクステンデッド・リアリティ（XR）に対応した将来を見据えた最先端のスタジオを構築したいと考えました。
エクステンデッド・リアリティ
ロス氏：それ以外にも、LEDウォールとグリーンバックが設置されたXRスタジオを制作することで、社内での創造性の幅がさらに広がりました。
例えば、ソーシャルコンテンツのチームは、アウトプットの質を上げています。これは、現在まで他のブランドのほとんどが達していないレベルです。
スタジオは3つのスペースに分かれており、同社のコミュニケーション・チームは、XRプロダクション、ライブ配信ウェビナー、会議だけでなく、エグゼクティブのインタビューなども行っている。
XRライブプロダクションやイベント用の15mの湾曲したLEDウォールは、メインスペースの心臓部だ。また、ナレーションやインタビュー用のラウンジエリアや、8名のスタッフが作業できるマスターコントロールルーム、サーバールームなども設置されている。2つ目の領域は小さめのグリーンバックが設置されたエリアで、製品の撮影を行う領域や4人での使用を目的としたオーディオビジュアル・ポッドキャストスタジオから成る。
同プロジェクトは、同社のコミュニケーションにおける能力を拡大することになるが、同時にオーディオビジュアルのハードウェアやディスプレイのテクノロジーが必要であったという。
それゆえ、スペースは限られていました。既存の会議スペースを改造して、多機能スタジオにしたんです。
また、建設中の最大の難関は天井の高さだったという。
ロス氏：そういった理由からLEDウォールの高さが3mに制限され、照明トラスがウォールの真上に設置されています。また、これらの機材は多くの熱を発するので、古いエアコンを撤去し、騒音が問題になったので、他の建物に新しいものを設置しました。
これらの問題が解決した後、マスターコントロールルームの建設とセットアップが行われた。そこに設置されるビデオハードウェアのサプライヤーのひとつとしてBlackmagic Designが選定された。
ロス氏：同社のブランドと製品を別の拠点で使用した経験に基づいて、Blackmagicのハードウェアを選択しました。同様に、シングルリンク12G-SDIは最低限のケーブルを使うだけで、弊社の2160p50の制作ワークフローに必要な要件を満たしました。
多才な撮影ソリューション
同社はその汎用性の高さを評価し、URSA Broadcast G2カメラを導入することに決めた。
ロス氏：配信用の放送スタイルの4Kライブプロダクションと被写界深度の浅い6Kのシネマライクな制作の2つの異なる特徴を併せ持っているカメラです。
Blackmagic Fiber Converterと共に使用することで、各カメラのチャンネルに必要なのは、カメラ用のケーブルとトラッキングシステム用のケーブルのわずか2本だけである。
同氏にとってのもう一つのチャレンジがモアレが生じないようにすることだった。
ロス氏：予算に見合い、モアレが発生せず、可能な限り高い画質のカメラとLED解像度を割り出すためにテストを行いました。その結果、BlackmagicとSamsungで、これらの要件で最適なバランスが取れると分かりました。
それに加え、Blackmagic Studio Camera 4K ProとBlackmagic Studio Converter、21インチのテレプロンプターが使用されている。
ロス氏：小さめのセットアップに優れたカメラです。一本のCat6Aケーブルで使用でき、床にイーサネットポートさえあれば、あらゆる場所に設置できます。
適切なミックスを割り出す
コントロールルームでは、ATEM Constellation 8KライブプロダクションスイッチャーとATEM 2 M/E Advanced Panelが制作を取り仕切っており、ビデオのルーティングにはSmart Videohub 12G 40×40が使用され、ATEM Camera Control Panelがリモートカメラのコントロールを行っている。
ロス氏：ATEMの導入はすぐに決まりました。4K50pに対応でき、通常、制作では30のソースと22の出力を扱うので、それをサポートできる機器が必要でした。また、4つのマルチビュー出力にも助けられています。ビデオエンジニアが3つを使用し、残りの1つを舞台の出演者用またはオフィスでのプレビューに使用しています。
同社のバーチャルセット・ワークフローは、DeckLink 8K Proキャプチャー・再生カードを搭載した複数のコンピューターを用いて、ライブのカメラフィードをUnreal EngineおよびVentuzにインジェストしている。
ロス氏：専用のトラッキングソリューションから両方のシステムにカメラのトラッキングデータが送信されています。また、3台のコンピューターを用いてバーチャルセットのレンダリングを行っており、それぞれをLEDウォールのバーチャルのバックグラウンド、バーチャルのオブジェクト/フォアグラウンド、合成に使用しています。
バーチャルのフロアが必要な場合は、グリーンバックのスペースでBlackmagic Ultimatte 12 4Kでリアルタイムで合成されたバーチャルセットを使用している。
現在では、様々なフォーマットを扱えるようになりました。適切なツールを見つけることで、創造性を最大限に活かせるようになり、短時間のセットアップで、多数の機能に対応したセットを用いて制作が行えるようになりました。結果に非常に満足しています。
