NTTコミュニケーションズブースは、リモート“バーチャル”プロダクションやDirect Liquid Cooling(液冷方式)のサーバー機器の実機展示、遠隔地から音楽・映像・触覚をリアルタイムで伝送など多岐にわたって興味深い展示が多かった。その中でもっとも注目を集めていたのは、リモートプロダクションとバーチャルライブを合わせたリモートバーチャルプロダクションのデモだ。
Interop会場である幕張メッセ、NTT西日本が運営する大阪のオープンイノベーション施設「QUINTBRIDGE」、東京・大手町のワークプレイス「OPEN HUB Park」の3拠点をNTTの次世代情報通信基盤「IOWN」で接続。これにより、東京-大阪間約700kmの距離を遅延5msec以下で接続が可能になる。これにより、3拠点が一緒に同じ場所に行って喋っているような空間モンストレーションを実演していた。
本来、このような音声と映像を低遅延に悩まされずに滞りなく届けようとするとなると、映像品質の劣化を防ぐために用途ごとの通信回線の敷設が必要であったが、NTTの次世代情報通信基盤「IOWN」を使えば低遅延かつ大容量で実現が可能になる。今回の遠隔リアルタイムデモは、本来であればカメラや音声など、何本も必要としていたものを1本のIOWNで全て繋げられるというポイントだ。まだ実験段階だが、これから実際に使えるように実証を進めていき、放送業界に提供できるような状況を目指しているという。
もう1つお伝えしたいデモは、手の触った感覚、触覚を伝送する触覚伝送技術だ。遠隔コミュニケーションに触覚伝送を組み合わせた体験が可能になっていた。
大型モニターに出演しているのは大手町本社ビルのスタッフで、用意したテーブルに振動を感知するデバイスを設置。大手町側で目の前のテーブルに手を置くと、幕張メッセのテーブルでその感覚を感じ取ることができるようになっていた。ある意味、大手町側がマイク、幕張メッセ側はスピーカーの感じで、大手町側でトントンと叩くと、幕張メッセ側でトントンと再生される。ほぼリアルタイムで、遅延はない感じだ。
もしわずかでも遅延があったりすると、人間の感覚は遅延に対して敏感のため、違和感を覚える。それがIOWNの低遅延性を活用することにより、非常に自然な感じで伝わってくる。遠隔操作の現場で、微妙な感覚が必要な現場で重宝されそうな期待の技術だ。