キヤノンは2024年7月17日、「EOS Rシステム」初のフラッグシップモデル「EOS R1」とプロ・ハイアマチュア向けのフルサイズミラーレスカメラの「EOS R5 Mark II」を発表した。希望小売価格はオープン。キヤノン公式ストアの参考価格は以下の通り。

  • EOS R5 Mark II・ボディ:税込654,500円(2024年8月下旬発売)
  • EOS R5 Mark II・レンズキット:税込808,500円(2024年8月下旬発売)
  • クーリングファン CF-R20EP:税込64,900円(2024年8月下旬発売)
  • アイカップ ER-kE:税込7,480円(2024年8月下旬発売)
  • DCカプラー DR-E6P:税込11,000円(2024年8月下旬発売)
  • USB電源アダプターPD-E2:税込17,600円(2024年11月中旬発売)
  • バッテリーパック LP-E6P:税込14,300円(2024年8月下旬発売)
  • バッテリーグリップ BG-R20:税込55,000円(2024年8月下旬発売)
  • バッテリーグリップ BG-R20EP:税込82,500円(2024年8月下旬発売)
※EOS R5 Mark II・レンズキット(EOS R5 Mark II+RF24-105mm F4 L IS USM)

新発表2機種の中から、EOS R5 Mark IIの動画機能に焦点を当てて紹介しよう。

4K RAW動画をクロップなしで撮れる「4K SRAW」搭載

EOS R5 Mark IIの新機能の中でも、特に注目はRAW内部収録の進化だ。これまでのEOS R5で8K/30P、EOS R5 Cで8K/60PのRAW収録に対応していたので、8K内部記録自体は特に目新しいわけではない。しかし、EOS R5 Mark IIでは新しくRAW内部収録を4Kレゾレーションとして記録する「4K SRAW」に対応。上位機種のEOS R1にはない、EOS R5 Mark IIだけの新しい記録形式を搭載してきた。

フォーマットはRAW(CRM)、解像度は8192×4320、標準RAW、29.97の場合は2600Mbps
フォーマットはSRAW(CRM)、解像度は4096×2160、標準RAW、29.97の場合は930Mbps

今までフルサイズ8K RAW収録は8K解像度一択で、8K収録は膨大なストレージや編集環境の見直しを迫られることもあり、限られた人しか享受できなかった。RAW内部収録は歓迎だが、手を出しづらいという意見が多かった。

EOS R5 Mark IIの4K SRAWは、センサーとしてはいったん8K RAW出力を行い、映像エンジンでリサイズ処理をして4K解像度にする。読み出しはセンサーフルサイズのまま、4KにリサイズしたRAWを収録可能だ。「軽量RAW」「23.98p」ではビットレート420Mbpsのコンパクトな収録が可能で、容量的な悩みの解消やポスプロ工程でもストレスを抑えた作業が可能になる。場合によっては圧縮コーデックよりも軽くて高レスポンスな編集できそうだ。

熱の耐性を改善しつつ防塵防滴を実現

EOS R5 Mark IIの登場で、EOS R5 Cとの違いは何だろうか? そのあたりを整理して紹介をすると、EOS R5 CのアドバンテージはCINEMA EOS SYSTEM特有のしっかりした放熱ファンの内蔵だ。夏場に長時間稼働させてもメディアとバッテリーが続く限り、止まらない長時間ノンストップ記録を実現する。EOS R5 Mark II登場後も、EOS R5 CはCINEMA EOSシリーズのラインナップとして販売は継続される。

一方、EOS R5 Mark IIのアドバンテージは、防塵防滴性能だ。EOS R5 Mark IIには、温度上昇に伴う撮影時間の制限は多少存在する。ただし、初代R5から冷却機構を改善を行い、ボディ自体にもスリットを導入している。これらに加えて、これまでのR5と同等の防塵防滴性能を実現している。

CINEMA EOS SYSTEMは防塵防滴を特徴としていないのに対して、EOS R5 Mark IIは防塵防滴であらゆる環境下で正常動作する仕組みを取り入れている。この防塵防滴と長時間記録の両立も、EOS R5 Mark IIの注目ポイントだ。

熱を外に逃がす放熱構造を取り入れている
左はEOS R5 Mark II。マグネシウム合金製外装を採用。高い剛性と軽量化を両立している

8K30P撮影や4K60P撮影時に120分以上の記録を可能にするクーリングファン発売

EOS R5 Mark IIは密閉構造が高く、熱問題とは無縁のカメラではない。そんな熱問題を解消するために、クーリングファン「CF-R20EP」が同時発売する。グリップ型ファンを搭載することで、記録時間を伸ばすことが可能だ。

気をつけたいのは、8K60Pの連続撮影可能時間は大きく変化しない。8K30Pや4K60Pの際には効果が高くて、連続撮影可能時間を伸ばすことが可能だ。

冷却ファンとEthernetを搭載した「CF-R20EP」。EOS R5 Mark IIの動画性能を最大に引き出す冷却ファン搭載モデル
左は冷却ファンとEthernetを搭載した「CF-R20EP」。右は縦位置撮影+Ethernet端子を搭載した「BG-R20EP」

高性能化・高機能化に伴う新バッテリー登場

EOS R5 Mark IIは、LP-E6NHバッテリーをリニューアルした。LP-E6NHの後継機で、電流容量の向上(連続最大放電電流6.0Aの放電に対応)を実現する。電力消費の高い動画記録サイズ(8K DCI、8K UHD、RAW、SRAW)の記録に対応するバッテリーだ。新バッテリーの電池容量はLP-E6NHと同じ2130mAhだが、ボディの省エネ化によって撮影枚数や撮影時間は若干改善されている。

LP-E6系新バッテリーパック「LP-E6P」

汎用性の高いタイプA型HDMIの出力端子を搭載

HDMIコネクタは、フルサイズのタイプAコネクタを搭載する。歴代EOSシリーズはカメラの小型軽量化を求めて、マイクロのタイプD採用が多かった。しかし強度や現場での耐久性に問題があり、タイプAコネクタを要求するクリエイターは多かった。

EOS R5 Mark IIは本格的な映像制作に使われるカメラとしてフルサイズのタイプAコネクタを搭載する。外部モニターと組み合わせて使いやすくなった点も嬉しいポイントだ。

汎用性の高いタイプAのHDMI出力端子を搭載

暗部の階層性の高い広いダイナミックレンジを実現するCanon log 2搭載

EOS R5 Mark IIは、従来のピクチャースタイルに加えて、CINEMA EOSシリーズと共通のカラープリセット「カスタムピクチャー」の搭載やCanon log 3、さらにCanon log 2も初搭載する。Canon log 2はCINEMA EOSにしか搭載されてなかったlogガンマだ。

Canon log 2は暗部の階調がより残るガンマカーブを持っているが、ノイズの処理も含めてノーマライズが少し難しいガンマだ。きちんとグレーディングできるクリエイターはCanon log 2を扱えるが、グレーディング初心者の方が扱うとノイズ処理に戸惑う面やノーマライズしにくいために多少の工程を必要とするという特徴がある。

それに対してCanon log 3は比較的暗部は元々絞まっていて、ハイライト側の階調は残ってる。扱いやすいのはキヤノンCanon log 3だ。案件によってCanon log 3やCanon log 2も両方から選択が可能になる。そんな面もCINEMA EOSと一緒になっている。

動画記録中に静止画を同時に記録できる動画撮影中静止画記録を搭載

動画を作りつつ、静止画を撮れる機能も新しい機能だ。ただし、この機能は8Kや4K収録時は静止画も同時に記録できるわけではない。フルHD30Pの動画撮影時に、静止画を同時に記録できる機能だ。記録できる静止画も16:9に限定される。動画と同時に3:2の画角の写真をクリエイティブとして撮りたい人には少し不満足かもしれない。

このような制限はあるものの、報道系カメラマンにうってつけの機能であろう。写真も映像もとにかく持って帰ってすぐに送る必要があるという人に最適な機能だ。スチールのカメラマンとムービーの2人体制であればいいのだが、1人体制で現場に入って即映像と写真両方を同時に残して送らなければいけない場合に最適な機能だ。

カードスロットはCFexpress Type BとSDカードのデュアルスロットを採用

EOS R1とEOS R5 Mark II、どちらを選ぶ?

同時発表のEOS R1とEOS R5 Mark II。どちらを選んだらよいのか、迷われている方も多いはずだ。やはり静止画機としてのフラッグシップの性能を求める場合は、EOS R1が最適だ。フォトグラファーとしての仕事の比率が高いカメラマンやスポーツ写真、報道写真など、プロフェッショナルな性能を要求するという場合は、EOS R1がお薦めだ。

一方、動画の比重が高くて、4Kや8Kの解像度を必要としている場合は、EOS R5 Mark IIが最適だ。4K SRAWを搭載し、8Kを選ぶことも可能。R1よりも安く購入可能で、リグとか含めた周辺機材で買い揃えるというのも選択肢としてアリだろう。

同時に発表されたEOS R1