Blackmagic Designによると、ディレクター兼撮影監督であるボビー・ヒューイット氏が、エイリアン・アント・ファームの最新シングル「Storms Over」のミュージックビデオを、Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K Proデジタルフィルムカメラで撮影し、編集、グレーディング、ビジュアルエフェクト(VFX)、オーディオポストプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioを使って仕上げたという。

ヒューイット氏は、バンドOrgyの旧メンバーであった。エイリアン・アント・ファームとOrgyは合同でツアーを行っていたため、ヒューイット氏は、バンド時代からエイリアン・アント・ファームのことを良く知っていた。「かなり昔のことですね」とヒューイット氏は振り返る。ミュージシャンからディレクター/撮影監督の道に進んだヒューイット氏は、現在は幅広いCMやミュージックビデオなどの作品で知られているが、エイリアン・アント・ファームとの交流は続いていた。

ヒューイット氏は、次のようにコメントしている。

ヒューイット氏:彼らから最近連絡が来て、彼らのミュージックビデオの撮影に興味があるかどうか聞かれたんです。もちろん答えはイエスです。

エイリアン・アント・ファームのメンバーは最高なので、コラボして一緒に何かクールなものを作りたかったんです。

他の多くのミュージックビデオと同様に、予算には限りがあったため、ヒューイット氏は少ないツールで、魅力的で視覚的に洗練されたルックを作り出すことに挑戦した。

ヒューイット氏:最終的にプロデュース、演出、監督、撮影、編集をすべて担当しました。

もう一人のスタッフは、アシスタントカメラマンであり、ミュージックビデオの一部で提案されているビデオスクリーンの映写技師である照明のマイク・ピーダセン氏であった。

ヒューイット氏:そしてもう一人、撮影中ずっと路地でファンを説き伏せて手伝ってくれたアシスタントディレクター兼制作アシスタントがいました。

ラッキーなことに、最終的にすべてのロケ地は無料だったのですが、クルーが少人数だったことが課題でしたね。

今回のプロジェクトでヒューイット氏は、フォームファクターと画質の両面から、Pocket Cinema Camera 6K Proを採用した。

ヒューイット氏:大型のカメラを使用していたら、上手くいかなかったと思います。

予算面ではもちろんのこと、小型で柔軟性が高く、シネマライクなイメージが得られるPocket 6Kは完璧なソリューションでした。

撮影中に照明の状況が様々に変化するため、ヒューイット氏はBlackmagic RAWで撮影することにしたという。

ヒューイット氏:RAWで撮影することは不可欠でした。稲妻から暗いシルエットまで、全体のコントラストがとても強かったんです。ダイナミックレンジとハイライトを維持する必要があったのですが、その点Blackmagic RAWは理想的でしたね。

このミュージックビデオでは、ロケ撮影のシーンと大きな倉庫で行われた演奏シーンがミックスされている。

ヒューイット氏:このミュージックビデオに対する私のビジョンは、エイリアン・アント・ファームによるライブ演奏の生のエネルギーをキャプチャーすることでした。

彼らのライブ演奏は本当に素晴らしいので、パフォーマンスを輝かせる必要がありました。

倉庫では、感動的で深い歌詞を引き立たせるために、背景に稲妻のプロジェクションを使用してドラマチックなフレアを演出しました。稲妻は雰囲気を作るための鍵だったので、全体的な照明は抑え目にしました。トップライトにはピーコックジェルを使い、キーライトや稲妻と組み合わせてダイナミックな効果を狙いました。

予算に関わらず、適切な場所を見つけることが重要であった。

ヒューイット氏:"まあまあ良い"場所は選択肢に入りませんでした。

一つひとつのショットがストーリーを高める必要がありました。最後の荒地のシーンでは、早朝にロサンゼルスを出て、ロケ地を探しながらハイ・デザートへと向かいました。適切な撮影地が見つかったことを他のメンバーに伝えると、彼らはリバーサイドからすぐにやって来ました。現場で合流して撮影したんです!

ヒューイット氏は、撮影した内容を熟知していることを活かして、適切なペースや雰囲気に仕上げるために、自身で編集することもよくある。

ヒューイット氏:ミュージックビデオの編集に対する私の取り組み方は、最初にすべてのテイクを同期させ、次に各レイヤーをチェックして、ベストな瞬間やハイライトを繋げていきます。そして次のセットアップ、つまり今回はポーチのシーンを追加します。

このミュージックビデオのクライマックスは、荒地のシーンになることがわかっていました。このシーンは1週間遅れて撮影したこともあって、他のシーンとは分けて扱いました。

今回のプロジェクトでは、編集はすべてDaVinci Resolve Studioで行いました。私がResolveで気に入っているのは、ユーザーフレンドリーである点です。過去7年に渡って使用していますが、本当に素晴らしいツールだと思います。

編集が終わると、ヒューイット氏は、コロンビアのCrayon Filmsのカラリストであるホルヘ・ローマン氏とプロジェクトを共有した。

ヒューイット氏:ホルヘはResolveを使って映像に命を吹き込みます。

ヒューイット氏にとって、エイリアン・アント・ファームのミュージックビデオの制作は、仕事を超えたものであった。

ヒューイット氏:彼らと再び繋がれたこと自体が素晴らしいことです。この映像を完成させるために、各自が自分のやるべきことを遂行しました。

一人ひとりの演奏シーンを撮影している時、バンドの他のメンバーはモニターをチェックして、興奮したり喜んだりしていました。編集が終わった時は、その出来栄えに驚いていましたね。