Blackmagic Designによると、世界で最も人気のある電子楽器メーカーの1つであるコルグ株式会社傘下のプロフェッショナル・アーティスト向けリハーサル・スタジオを運営する株式会社ジーロックスが、都内にBlackmagic Design製品を中心とした最先端の収録およびライブ配信用のスタジオを構築したという。

「Studio Extreme Tokyo」と名付けられたこの新スタジオでは、グリーンバック撮影から、ハイファイオーディオによる高品質な配信、ライブパフォーマンスの収録/配信まで、あらゆる用途にBlackmagic Designのスイッチャー、ルーター、コンバーター、モニターが使用されている。

コルグは、シンセサイザーやデジタルピアノなどの電子楽器メーカーで、1960年代から音楽界の大物アーティストに使用されており、彼らのパフォーマンスの一部となっている。世界最高のミュージシャンたちとの協力の一環として、同社はリハーサル・スペースの構築と改善を継続的に行っており、最近では高音質・高画質配信システム「Live Extreme」を開発しパフォーマンスを4Kで撮影し、配信している。

同社は以前より傘下企業として東京都下高井戸にG-ROKSという音楽リハーサル・スタジオを構えており、このリハーサル・スタジオの好評を受け、そこに隣接していた自社倉庫を昨年リフォームし収録から配信までできるStudio Extreme Tokyoをオープンした。

スタジオには収録部屋だけではなく、コントロールルームや立体音響を体感できる待合室なども完備されている。同社では「Live Extreme」という最大4Kまでの映像とロスレス・オーディオやハイレゾ・オーディオの配信が可能な配信システムを開発しており、Studio Extreme TokyoでもこのLive Extremeを活用した配信が可能となっている。

同スタジオにはライブスイッチング用のATEM Constellation 8KスイッチャーおよびATEM 1 M/E Advanced Panel 10コントロールパネルや、Teranex Mini IP Video 12Gコンバーター、SmartView 4Kモニター、HyperDeck Shuttle HDデスクトップレコーダー、Mini ConverterやMicro Converterといった製品が導入されており、Blackmagic DesignのDeckLinkやUltraStudioキャプチャー・再生デバイスがLive Extremeのシステムに組み込まれている。

Studio Extreme Tokyoの責任者をつとめるコルグ技術開発部の山口創司氏はBlackmagic Design製品を導入した経緯について、次のようにコメントしている。

山口氏:弊社では、以前からBlackmagic製品を幅広く使っています。Blackmagic製品は価格帯が手頃で、(いろいろなメーカーの製品との)互換性の高さもメリットです。

また、このスタジオは貸しスタジオとして運営していることもあり、自分たちだけでなく様々なクライアントがこのスタジオに訪れます。その時に皆さん使ったことがある機材を入れた方が良いと考えました。

例えばスイッチャーは様々なメーカーのものがありますが、Blackmagic製品を触ったことがない人はほぼいません。

ATEM Constellation 8Kは、4Kを伝送できるというのはもちろんですが、例えば隣のスタジオに持っていった時や追加でBlackmagic Designのカメラを購入するとなった時にルーティングしたり、スイッチのハブとして使えたりできる点が選定の決め手です。出力数も多いので、まとめてマルチビューをカメラの脇のモニターに出すといった用途も考えています。

スイッチャーはコントロールパネル、ATEM 1 M/E Advanced Panel 10を使って操作している。

同スタジオでスイッチングのオペレーターを勤めているG-ROKSのファン・オジン氏は、次のようにコメントしている。

オジン氏:ATEM Advanced Panelは、使う人を考えて設計されていると感じます。実際に使う前はボタンが多くて戸惑ったのですが、触ってみたら逆に直感的に操作しやすかったんです。基本的にATEMシリーズはどのモデルでも操作に統一性があるので扱うモデルが変わっても、操作を覚え直したりする必要もありません。

またBlackmagic Designのサポートも手厚く、機材のレクチャーやトラブル発生時のサポートの対応もいいですね。

同スタジオのワークフローの中核のひとつとして、Teranex Mini IP Video 12Gを使用し、隣接しているG-ROKSスタジオと同スタジオ間をIP伝送して、カメラコントロールなどを行っている。

ファン氏:G-ROKS内で音声をミックスすることは難易度が高いため、こちらのスタジオでその作業を行っているのですが、建物からケーブルを何本も引いてくるということは現実的ではありません。

NDI (Network Device Interface)という選択肢もあったのですが、NDIにしてしまうとお客様がパソコンでコントロールせねばならず、使いづらいと考え、IP伝送することにしました。その際にIP伝送に対応しているTeranex Mini IP Video 12Gを導入しました。

山口氏:このようなIP伝送を行っているスタジオはまだ少ないです。Blackmagic Design製品でなければ実現が難しかったワークフローでした。音楽配信ができるスタジオですが、音楽配信はもちろん、それ以外の様々な用途でも多くの方々に使っていただければと考えております。