アドビは、Adobe Maxで「Frame.io V4」を公開した。また、新しいCamera to Cloudパートナーシップとキヤノン、ライカ、ニコンのカメラとの統合により、ハードウェアの種類に関わらず、フォトグラファーやビデオグラファーにクラウドネイティブなワークフローを提供する。
Frame.io V4
Frame.ioのあらゆる面が、より速く、より高性能に、より直感的になるよう、完全に再設計されたという。アセットとワークフロー管理の新機能、レビューと承認、コラボレーション体験の強力な強化により、Frame.io V4はこれまでで最も充実したアップデートとなっているという。
クリエイティブなワークフローでは、複数のクリエイティブツールを使用し、アイデア出しから完成まで反復的されることが多いため、汎用のストレージやタスク管理アプリケーションは意図しないトラブルを生む可能性がある。Frame.ioは、クリエイター、コラボレーター、関係者、そして作業しているアセットを一箇所に集中させるために開発された。
新しいメタデータ・モデルにより、クリエイターとそのチームは、生産性を高めるカスタム・ワークフローを設計しながら、アセットを簡単に整理・管理が可能。アセットに、星評価、担当者、期限、メディアタイプ、ソーシャルメディアプラットフォームなど、すぐに使えるタグやカスタムのメタデータを付けるだけで、「コレクション」と呼ばれるスマートフォルダを簡単に作成でき、作業方法に応じてアセットを自動的に更新、整理、表示できる。たとえば、クライアントや関係者との多段階レビューや承認を促進するコレクションを作成したり、デイリー配信を管理したり、リリース日ごとにクリエイティブアセットを整理し、ソーシャルメディアプラットフォームごとに並べ替えられる。
最新のストリーミングプレーヤーは、バッファリングや中断を最小限に抑え、優れた再生を保証。新しいフレーム精度のホバーとスクラブ中の高解像度プレビューにより、希望のクリップの場所に移動しても、各ピクセルが完璧な鮮明さで表示される。
Frame.ioは、ビデオワークフローのためのツールとして認識されているが、写真、デザイン、ドキュメントにまたがる膨大な種類のファイルにも対応し、クリエイティブチームがメディアを整理、共有、エンゲージするための単一のプラットフォームを提供する。また、完全に刷新された比較ビューアとレビュー・コメントシステムは、ポイント&クリックの注釈、絵文字、コメント添付、合理化されたハッシュタグ、よりスマートな@メンションによって、より具体的なフィードバックを促進する。
Frame.ioのiOSアプリとiPadアプリはデザインが一新され、これまで以上に簡単に外出先からプロジェクトに接続できるようになった。さらに、Frame.ioは、アクセスをコントロールできる強固なセキュリティ機能を装備。TPN Gold Shield、SOC 2 Type 2、ISO 27001認証、およびエンタープライズグレードのセキュリティにより、クリエイティブな資産は、共有する準備が整うまで保護される。
4月にベータ版をリリースして以来、Frame.io V4は、実際のワークフローやクリエイティブな分野で幅広く徹底的にテストされたという。この間、ベータ版ユーザーからのフィードバックを収集し、最新バージョンに反映させた。
V4は、コンテンツ制作に関わる全ての人のために構築されたという。メディアの整理、作業の管理、レビューのための共有、コラボレーション、アセットの交換、配信など、すべてが1つのプラットフォームで実行できる。
Lightroomとの接続
以前ベータ版としてリリースされた、Frame.ioのLightroomへの直接接続が一般的に利用可能となった。Frame.ioのCamera to Cloudとお気に入りのハードウェアプロバイダとの統合により可能になった同接続は、迅速な写真ワークフローを可能にする。
フォトグラファーは、Frame.ioのCamera to Cloud経由でアップロードされたすべての画像をLightroomアカウントに自動的に転送可能となった。同サービスでは、フォトグラファーがFrame.ioでセレクトし、編集のためにベスト画像をLightroomにプッシュする新しいワークフローも可能。編集者は、どこにいてもリアルタイムで画像にアクセスすることができ、画像のレタッチや編集が終わると、Frame.ioにアップロードし直して配信や配布を行うことができる。テザーは必要なく、メディアを削除してダウンロードする必要もない。
新しいCamera to Cloudパートナーとの統合
新しいパートナーであるキヤノン、ニコン、Leicaが近日中に統合を発表し、それぞれの製品にC2C機能を導入する。
同統合により、さらに多くのフォトグラファーやビデオグラファーが、プロジェクトの迅速なターンアラウンド、リアルタイムのフィードバック、安心感を実現するCamera to Cloudワークフローのメリットを享受できるようになる。
この動きは、業界標準化の前進を意味し、カメラブランドの好みに関係なく、さらに幅広い分野のクリエイターに柔軟性と効率性を提供する。Frame.io V4のリリースとLightroomとのFrame.io接続により、アドビは、カメラキャプチャから最終的な納品までのより直接的なパスにより、メディア管理の悩みやワークフローの非効率性を軽減し、クリエイターの障壁を取り払うという。
Frame.io Camera to Cloudスタンダードを採用したキヤノン、ニコン、ライカの最初の製品は以下のとおり。
キヤノンC400とC80
ニュースやドキュメンタリーの撮影に多用途で人気のキヤノンの次世代カメラが登場し、2024年後半にはC2Cをネイティブサポートする予定。新しいC400と小型のC80は、どちらもキヤノンが新たに開発した6KフルフレームCMOSトリプルベースISOセンサーを搭載し、フルフレーム、スーパー35、スーパー16mm(C400のみ)の各モードに対応。
NX MobileAirによるニコン Z6III、Z8、Z9
ニコンのフラッグシップミラーレスモデルは、フォトグラファーとビデオグラファーのための真のハイブリッドカメラとして優れた性能を発揮するように設計されている。1000フレーム以上のRAWフレームバッファで20fpsのフリーズタイムで完璧な瞬間を捉えたり、4K 120p動画でスロー再生したり、NX MobileAirアプリを活用してFrame.ioに即座にファイルを送信し、イベントが動いている間に編集ツールに映像を送ることで、その性能と機能をさらに拡張している。ファンや視聴者は、タイムリーなソーシャルメディアへの投稿を通じて、そのイベントに参加し続けることができ、クライアントは、同統合により、これまで以上に迅速に編集の承認を得られる。新ファームウェアのリリースは2025年前半を予定。
Leica SL3
ダイナミックレンジ、60MPセンサー、8K動画機能を備えたLeica SL3は、ブランド撮影や外出先での動画・写真コンテンツに適しているという。Leica SL3は、ハイブリッドクリエイターにとって貴重な動画や画像を、距離の差に関係なく自動的にクラウドにバックアップしたり、共同制作者に送信ができる。これらのCamera to Cloud機能は、2025年に利用可能になる予定。
さらに、複数のカメラのメディアを自動的に一元化して整理したり、デイリーをレビューしたり、遠隔地のエディターや共同制作者に効率的なファイル転送が可能。アンビエントが提供する新しいワークフロー「C2C Real-Time Logging」を使えば、関係者やクリエイターは、ビデオ映像の撮影中にコメントを残して、編集者にリアルタイムでフィードバックもできる。