Portkeysは、オンカメラモニター「BM5 IV」「BM5 IV WR」を発表した。両製品は、カメラをワイヤレスで制御できるオンカメラモニターBM5 IIIシリーズの後継機。CINENORM OSを搭載し、指先でカメラをコントロールできる。

BM5 IV/BM5 IV WRは、堅牢で汎用性が高く、コンパクトな5.5インチのオンカメラモニターで、アルミニウム製の筐体により、過酷な撮影条件にも耐えられるよう設計されている。ディスプレイ前面には強化ガラスを採用。

重量は358g(バッテリー含まず)で、前モデルよりも軽量化されている。また、画面周囲のベベル(斜面)が薄くなったことで、フォームファクターが小さくなり、外形寸法は145.4×91.6mm。

屋内、屋外を問わず、BM5 IV/BM5 IV WRは、2,000nitsの高輝度でデイライト・ビューが可能。モニターディスプレイは工場出荷時にカラーキャリブレーションされているが、必要に応じてX-Riteカラー・プローブを使用して、キャリブレーション3D LUTを作成できる。

豊かな色彩のディテールとカラーバンディングのない正確な色再現は、10ビット(8+2 FRC)パネルを使用することで、簡単に実現できるようになったという。5.5インチモニターは、フルHD 1920×1080解像度で、178°の大きな視野角、1000:1のコントラスト比を実現。

プロの映画制作者やコンテンツ・クリエーターのために設計された同モニターは、複数のビデオ入出力ポートを備え、60Pで4K DCIまでの解像度に対応する。

さらに、3G-SDI入出力ポートも装備(最大1080P60)。SDIビデオ出力は、クリーンなビデオフィードを出力でき、必要に応じて3D LUTやピーキングを施した画像出力も可能。 また、HDMIクロスコンバージョンにより、BM5 IV/BM5 IV WRは、ビデオ信号チェーンの必要な場所に設置できる。水平デュアル、垂直デュアル、左水平/右垂直、左垂直/右水平など、複数の異なる表示モードで2つの異なるビデオ信号を同時に見ることも可能。

ビデオと電源の入出力ポートをすべて装備するため、底部にはUSB-Aポートもあり、将来的なファームウェア・アップデートやカスタムLUTのロードが可能。モニターの左側には、3.5mmヘッドフォンジャックがあり、ビデオ信号をモニターできる。モニター背面には、TILTA Nucleus N/Mワイヤレスフォローフォーカスに接続できる5ピン航空コネクターポートがあり、フォーカスモーターを制御することができる。フォーカスの目盛りを表示することもできるので、フォーカス・プラーにとって便利。

BM5 IV/BM5 IV WRをカメラリグ、三脚、ジンバルに取り付ける場合、モニターの底面、上面、右側面の3カ所に1/4インチ-20の位置決めピンがある。モニター上部には、ユーザー割り当て可能な4つのファンクションボタンがあり、お気に入りのモニターツールに素早くアクセス可能。

主な機能

  • 露出:ゼブラ、フォールスカラー、ARRIフォールスカラー、LOGフォールスカラー、ユーザー定義モード、全画面表示可能な高精度波形、波形SDI出力、ヒストグラムとゼブラツールが利用可能。
  • 画像解析:Waveform、LumaおよびRGB Waveforms、Vectorscope、RGBヒストグラム、オーディオ・メーターにより、露出やホワイトバランスパラメータを確信を持って判断できる。
  • フォーカス:新しいピーキングアルゴリズムにより、ピント合わせが容易。グレースケール、カラー、エッジ強調モードも利用でき、ズーム機能も装備。
  • カラー:3D LUTモニタリングと3D LUT SDI出力。ユーザーは、モニター底面のUSBポートと付属のUSBキーでカスタムLUTをロードできる。HDR(HLG)モードも利用可能。
  • フレーミングと画像モニタリング:フレーミングガイド、グリッド、十字線、チェックフィールド、矩形クロップ、アスペクトなど、複数のツールでショットを正確にフレーミング。また、モニターは、すべての標準比率(1.33x、1.5x、2.0x)と0.25〜4.0xのカスタムアスペクト比を入力する可能性のあるアナモフィック画像のデスクイーズをサポート。イメージキャプチャ機能により、HDMIまたはSDIビデオ入力のスナップショットを撮り、モニターのメモリーに保存できる。その後、画像を呼び出して、画像オーバーレイ機能で透明度/不透明度を調整可能。
  • モニター調整:シャープネス、彩度、バックライト、色合い、色温度を調整可能。また、USBポート経由で3DキャリブレーションLUTをロードできる。

BM5 IVの最大消費電力はわずか16W(BM5 IV WRは17W)で、モニター背面のソニーNP-F型バッテリー1本で数時間駆動可能。

両モニターは、4ピン航空7.4V-24V電源入力ポートを装備。Vマウントまたはゴールドマウントバッテリーを使用する場合は、付属のD-Tap-4ピン航空ケーブルを使用してモニターに無限に電力を供給できる。BM5 IV WRには業界標準の2ピンLEMO電源入力ポートも装備。

BM5 IVは、前モデル同様、有線カメラコントロール機能を備えている。BM5 IV WRは、モニター背面に小型の埋め込み式ワイヤレスアンテナを搭載し、ワイヤレス(Wi-FiおよびBluetooth経由)でカメラをコントロールできる。

※ワイヤレス制御=ワイヤレス映像伝送ではないので、映像信号ケーブルを接続する必要がある。

オプションのRECキーは、BM5 IV/BM5 IV WRに接続し、録画スイッチを拡張することができる。

CINENORM OS

Portkeysは、CINENORM OSを搭載したBM5 IV/BM5 IV WRの発売と同時に、CINENORM OSオペレーティングシステムの発売も発表した。2024年2月にリリースされ、LH7P/LH7H/PT6/LH5P II(v3)/PL5オンカメラモニターに対応したMOVNORM OSと同様に、新しいCINENORM OSは一から再設計されたという。

CINENORM OSは新しいカスタム・ページ・システムに基づいている。ユーザーは7つのカスタム・ページにアクセスし、任意のモニタリングツールを追加・保存が可能。 横にスワイプするだけで、露出、フォーカス、フレーミングツールを切り替えられる。

モニター設定をUSBスティックに保存できるので、ユーザープロファイルをインポートして、CINENORM OSが動作するPortkeysのモニターに読み込むことができる。

すべてのモニターツールが、露出、フォーカス、波形、モニタリング、カラーミキシング、デュアルスクリーンの6つのカテゴリに分類。同カテゴリ分けにより、25以上のモニターツールをすべて閲覧することなく、各ページへのツールの検索、発見、追加がより迅速に行えるようになったという。

単なるビデオ監視ソリューションにとどまらず、カメラ制御機能を備えたPortkeysモニターは、8つの異なるブランドから80以上のカメラモデルの設定を調整し、制御できる。そのため、新しいカメラコントロールカテゴリーが追加され、ユーザーは有線/無線カメラの接続設定を素早く確認できるようになった。また、各カメラの適切な接続方法がカメラコントロールメニューに表示されるようになった。

ユーザーからのフィードバックに基づき、CINENORM OSは以下のような複数のカメラ制御機能も改良された。

  • ファン調整:ポートキーのモニターが比較的静かであっても、撮影現場での音は重要な場合があるという。CINENORM OSが動作するPortkeysモニターに対応カメラを接続すると、モニターのファンが最小設定まで減速し、撮影現場でのノイズを低減する。
  • RECボタン:RECボタンの位置を左下、中央、右に調整可能になった。
  • RECトリガーツール:記録を押すと、ピーキング、ゼブラ、波形など、1つまたは複数のモニタリングツールが自動的にオンになる。
  • ファンクションボタンの割り当て:カメラのコントロール設定をF1~F4の物理ボタンに割り当てられるようになった。同機能は、1回のボタン操作でISO、ホワイトバランス、絞り値の設定を素早く呼び出すのに便利だという。

新しいモニターステータスバーにより、デバイス接続、Wi-FiとBluetoothスイッチ、ビデオ入力信号ステータス、バッテリー情報、パネルキャリブレーションを明確に確認できる。ユーザーがモニターをカラーキャリブレーションし、独自のキャリブレーション方法またはPortkeysの公式方法によってキャリブレーションLUTを生成し、USBスティック経由でモニターにインポートが可能。

BM5 IV/BM5 IV WRは、マイクロUSBキー、4ピン航空-D-Tap電源ケーブル、2.4Ghzストレートヘッドアンテナ(BM5IV WRのみ)が同梱されセーフティボックスに入れて出荷される。

CINENORM OSは、既存のすべてのPortkeys BM7 II DS、BM5 IV、BM5 IV WRのユーザーに、無料のファームウェア・アップデートとして提供される。