一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)が主催するカメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+」では、プロの写真家として国際的な活躍を目指す方を対象に「ZOOMS JAPAN 2025」フォトコンテストを開催し、応募総数331作品の中から最終選考作品であるショートリスト8作品を決定した。グランプリは2025年2月21日(金)に発表予定。
ショートリスト選出作品(応募者名 作品のテーマ):※五十音順
- 佐藤幸浩 アノニマススケープ
- 柴田祐希 -family-gajog 가족 / kazoku 家族
- 竹腰隼人 寂として
- 藤井ヨシカツ ヒロシマ・グラフ – 永遠の流れ
- 松本成弘 自分に話す
- 宮田草介 川
- 村岡亮輔 COLONY
- 村上賀子 Known Unknown
Les Zooms/ZOOMS JAPAN 審査統括責任者 サイモン・エドワーズによる総評
ZOOMS JAPAN 2025写真賞の8人のファイナリストの作品には、「アイデンティティ」という共通のテーマが見受けられます。
柴田祐希は、自らのルーツを辿ることでアイデンティティを探求し、佐藤幸浩はアイデンティティの奪取という視点からその問題に迫ります。同時に、宮田草介の作品は、すべての人間が同じ源から生まれ、凍りついた白い風景を流れゆく川として表現され、「余白」と呼ばれる反省の場を提示します。
藤井ヨシカツは広島の記憶を通して、戦争の惨禍とその後の世代に与えた深い影響を描き、村岡亮輔は物体を人間と同じように分類し、それらが新たなルールに従ってハイブリッドな存在に変容する様を表現しています。
村上賀子は、家庭という空間における女性たちを捉え、個性が顔か身体か、あるいはその両者の関係によって決まるのかという問いを投げかけます。竹腰隼人の作品では、個人的な記憶がネガポジ反転を通じてシュールな風景として表現され、現実とは見た目のものではなく、感情や感覚に基づく印象であるという視点が示されています。
松本成弘の幻想的なセルフポートレートは、デジタル技術の進歩を駆使して、彼の子供時代の記憶を、時を超えた風景として再構築します。
これらの作品群は、現代社会における自己の位置づけとその役割を模索する個人的な探求の跡を示しており、同時にその過程での疑念や不安、恐れが色濃く表れています。この現象は日本独自のものではなく、今日の写真表現における普遍的な傾向としても捉えることができます。 ※敬称略
グランプリ受賞作品は、CP+2025の会場で展示するほか、2025年10月にパリで開催される写真映像機器ショー「Salon de la Photo(サロン・ドゥ・ラ・フォト)」の会場にも展示する。
グランプリ受賞者は同イベント期間中に現地パリに招待され、フランス写真界関係者と交流する。