Blackmagic Designによると、New Zealand Sons Filmの新作「Zombie Repellent」の制作に、DaVinci Resolve Studio、Blackmagic Cloud、Blackmagic Pocket Cinema Camera 6K G2デジタルシネマカメラが使用されたという。同作のポストプロダクションの過程では、「フェイス修正」や「UltraNRノイズ除去<」などの多数のDaVinci Neural EngineのAIツールが使用された。
同作は、ホラーとロマンチックコメディを融合した作品で、チャド・マーレン氏とオリビア・ローズ氏が主演を務めている。New Zealand Son Filmsの共同創始者であり、父と子であるショーン・キング氏とテイラー・キング氏の両氏が制作した本作は、近日中に劇場および配信サービスにて公開予定だ。
両氏は、共同で同社の19本の映画すべての脚本、監督、製作を手掛けており、Amazonプライム、Apple TV、Tubi、Flix、Plex、その他16プラットフォームで160カ国において上映されている。
監督と撮影監督を兼任したテイラー・キング氏は、Pocket Cinema Camera 6K G2を用いてアナモルフィックで3週間かけて同作を撮影した。また、Pocket Cinema Camera 6K G2には、Laowa 35mm Nanomorphアナモルフィック1.5xレンズが取り付けられた。
プリプロダクションにおける現場でのLUTの作成を含め、制作全体を通してDaVinci Resolve Studioが使用された。
ショーン・キング氏:新作を制作するたびに、様々なルックを試したいと思っています。本作は、典型的なロマンチックコメディのように始まりますが、10分が経過する頃には、劇的に異なる方向にこの二人の物語は展開します。その部分で、Resolveの新しいAI機能である「フィルムルック・クリエイター」を使用して、ロマンティックコメディから、作品の残りの部分で使用される、より彩度が低く、粒子の粗いルックに変えました。
「オズの魔法使い」が白黒からカラーに変わるほど劇的なものではありませんが、そのワンショットで、映画のトーンが変わっていることは間違いなく感じられます。
同社の制作においては、Blackmagic Cloudが重要な役割を果たしている。作業が能率的になり、場所を問わず、世界中の才能溢れるアーティストと仕事を行えるという。本作の編集はシカゴで、音響とカラーコレクションはDaVinci Resolve Studioを用いて米国の別の州に拠点を置くアーティストにより行われた。
ショーン・キング氏:各撮影日の終わりに、撮影時に収録されたオーディオとBRAWビデオでタイムラインを作成しました。Resolveは瞬時にバックグラウンドでプロキシの作成を始め、撮影時のオーディオと共にCloudにアップロードし、カラリストやオーディオエディターは、作業に必要なフッテージを数分で受け取ることができました。通常2時間以内に、丸一日分の映像がダウンロードされ、すべてのワークステーションで利用できるようになりました。
世界中の作曲家、カラリスト、サウンドデザイナーと場所を問わずコラボレーションでき、それらのアーティストはすぐにデイリーを確認できます。異なる州でサウンドデザインとカラーコレクションがResolveを使用して行われますが、これらの変更は即座に更新され、セッションを開いた人にダウンロードされます。この機能は、本当にゲームチェンジャーとなっています。
同作の制作において欠かせなかったDaVinci Resolve Studioのツールは、DaVinci Neural EngineのAIによる「フェイス修正」フィルター、「UltraNRノイズ除去」、「フィルムルック・クリエイター」、「音声分離」などだったという。
ショーン・キング氏:DaVinci ResolveのAIツールは、正にAIがあるべき姿です。創造性を発揮するための時間がより多く得られることを目的に作られており、創造の過程自体を乗っ取ったり、もっと悪い場合には、私たちが一生懸命作成したものを盗んだりするためのものではありません。
本作は夜間を舞台にしており、カメラが対応している限界値の低照明で撮影したので、UltraNR」には本当に助けられています。「フェイス修正」では、俳優の顔の気になる箇所やメイクの異なる箇所を修正できました。面白いことに、ゾンビには逆の方法で使用し、より恐ろしいルックにしました。
各ショットで使用したNeural Engineの機能は「音声分離」です。非常に低い設定でも、アーチファクトが生じることなく雑音を十分に除去でき、より高い設定では、数年前では諦めるしかなかったオーディオを使用できるようにします。
全く異なるジャンルの撮影を手掛けてきた同社は、能率性を維持するためにDaVinci Resolve Studioに頼っているという。
ショーン・キング氏:弊社にとって最大のブレイクスルーの一つであり、Resolveの使用を開始したのは2年前で、これはResolveのカラーマネージメント・ワークフローを発見した時です。これにより、様々なプロジェクトにおいて、異なるルックを得るための可能性が無限に広がっています。
昨年新たに追加された「ColorSlice」と「フィルムルック・クリエイター」により、同じカラーマネージメント・パイプラインとノードツリーでジャンル間を移行できるようになり、通常のカラーコレクションのワークフローを変えることなく、限りない数のルックを作成できるようになりました。
過去5年間、Resolveを使用してきて分かったことは、Resolveは絶えず進化を続けるソフトウェアであり、新しいツール機能が数ヶ月ごとにリリースされるということです。毎週YouTubeを検索して、カラリストからのアドバイスやチュートリアルを探し、新機能を確認し、そこから学んだことを自分のワークフローに導入しています。