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アドビは、Adobe MAX Japanにおいて、Adobe Illustratorでの作業をさらにスピードアップし、パフォーマンスを向上させ、モダンなエクスペリエンスを実現する、さらなる機能強化を発表した。
今回の機能強化は、ユーザーのアイデアから生まれた機能である「モックアップ」から、画像トレースによるより正確なベクターグラフィックへの変換、「パス上オブジェクト」を使用した新しい作成方法まで、すべてはユーザーのクリエイティブワークフローの最適化を目指したものだという。より速く、正確に、パワフルに、優れたベクターアートワークをデザインできるようになるとしている。
Adobe Illustratorの新機能
パフォーマンスの向上
Adobe Illustratorでのクリエイティブなワークフローでは、特に複雑で容量の大きいファイルを扱う場合、日常的な作業のパフォーマンスが非常に重要である。Adobeはユーザーのクリエイティブフローに沿うよう、Adobe Illustratorでの日常的なワークフローを大幅に高速化し、円滑化する新しい方法を常に模索しているという。
速度と応答性の向上に向けた機能強化として、私たちは基盤となるアーキテクチャの抜本的な変更に着手した。これにより、これまで以上の速さで実験やイテレーション、デザインを行い、高品質でカスタム性の高いベクターアートワークを作成できるようになる。
この取り組みの第一段階では、Adobe Illustratorにマルチスレッド機能を導入することに重点を置いており、特に画像や効果を使用する一般的なアセットワークフローにおいてその改善が実感できるとしている。
- リンクされたファイルの埋め込み:リンクされた画像を埋め込み画像に変換する際のパフォーマンスが最大10倍高速化
- 画像の操作:読み込み、ドラッグ&ドロップ、アートボードへの画像配置など、最大5倍の高速化(JPEG、PNG、TIFF、Photoshopファイルの場合)
- 効果の処理:最も使用頻度の高い5つの効果(ドロップシャドウ、ぼかし、光彩(内側)、光彩(外側)、ラスタライズ)の処理が最大5倍高速化
- レイヤーパネル:非表示、再表示、拡大、縮小、上下スクロールなど、よりスムーズで高速なレイヤー操作
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次の段階では、より高速な書き出しが実現する。その結果、Adobe Illustratorでの日常的な作業を高速化でき、例えばクライアントからのリクエストに迅速に対応したり、ブランドに沿ったシステムをより短時間で完成させたりできるようになる。
Retypeでフォントを素早く特定
「Retype」は、完璧なフォントを見つける苦労を解消する機能だ。外出先でクールなフォントが使われているのを発見した、あるいは自分の昔のデザインで使われていたフォントを使いたいけれど名前が思い出せない、といったときにRetypeを使用すれば、ラスター画像やアウトライン化された静的なテキストで使われているフォントを素早く特定し、類似のフォントを探索できる。
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Retypeは30,000以上のAdobe Fontsライブラリだけでなく、ローカルのフォントライブラリも検索するため、適切なフォントが見つかれば、あとは簡単に編集できる。
プレリリース版に関したフィードバックを基に、Retypeをさらに改善し、わずか数ステップでフォントを一致させ、一致したフォントをお気に入りのフォントに追加してプロジェクトで使用できるようにした。
グラフィックデザイナー兼インストラクターのモニカ ガウス氏は、次のようにコメントしている。
ガウス氏:Retypeが素早くフォント名を特定してくれることに何度も驚かされました。初回で特定できなかった場合でも、思考と学習を重ねて正確に特定できるようになります。本当に学習の進行とそれが時間の節約につながる過程を見せてくれるのです。
さらに、言語サポートも追加された。Retypeは英語に加え、日本語、フランス語、ドイツ語にも対応するようになった。
日本語の文字組みがより効率的に
豊かなタイポグラフィで知られている日本語のデザインにおいて、ユーザーは日本語組版の標準に近づけるために、かなりの時間を費やし手動でタイポグラフィを調整していたという。ユーザーからのフィードバック、専門家との積極的な対話を通じ、日本語の組版を大幅に改善できたという。
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Adobe Illustratorの日本語組版はすべて、日本の標準規格に沿った、改善されたレイアウトになった。これらの改善により、ユーザーの貴重な時間を手作業による調整ではなく、デザインに使えるようになる。また、古いドキュメントを扱う際には、「文字組み更新機能」(2024年10月のAdobe MAXで発表)という新しい機能があり、古い文字レイアウトを改善されたものに更新する際にユーザーに情報を提供し、サポートする。
Adobe MAX Japanでは、新しい日本語のバリアブルフォント「百千鳥」も紹介している。これは、可変の仮想ボディとカラーグリフを特徴とする画期的な新しい日本語フォントだ。併せてAdobe Illustratorでも可変の仮想ボディとCOLR形式フォントのサポートも追加された。これにより、ユーザーは OSレベルで提供されているこの種のフォントを自動的に使用できるようになる。さらに、Adobe Fontsライブラリには数十種類の新しい日本語フォントが追加され、現在では1,300種類以上の日本語フォントが含まれている。
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ブックデザイナーの祖父江慎氏は、「百千鳥」について次のようにコメントしている。
祖父江氏:ももちが、すぎょいことになってます!ももちとは、アドビで開発中の新しい「百千鳥」ってフォントのことですっ!ぼくがかってに「ももち」とよんでるだけで、ふぉんとは「ももちどり」ですっ!なにがすごいかって、もうフォントというものが、美しいとか組みやすいだけの話では、なくなってきちゃったのです!そこで、ももちやこれからのフォントが、いったいどんな進化に向かおうとしているのかを開発してるりょんりょんから直接(!)にわかりやす〜〜く説明をしてもらっちゃいます!
りょんりょんとは、西塚涼子さんというアドビフォントのプリンシパルデザイナーさんですっ!みんなからかってに「りょんりょん」とよばれているだけで、ほんとは西塚涼子さんですっ!ちなみに「プリンシパルデザイナー」というのは、ざっくりもっとも重要なデザイナーってことですっ!このフォントのなにがすごいのかっていうと、まず、スライダーグリングリンするだけで、かなりいろいろ遊べてしまうのですっ!だから、仕事を忘れてしまいます。
「スライダーグリングリン」ってのは、何かっていうと、言葉で説明しにくいので、ぜひ見に来てくださいっ!ぼくはももちとは、まだまだ遊び切れてないんですけどミミズ食べてる雀っ!が、かわいいすぎるのでぜひとも見てほしいんですっ!フォントの未来がここにっ!!!!
また、グラフィックデザイナーの名久井直子氏は次のようにコメントしている。
名久井氏:西塚涼子さんと友人のよしみで、試用させてもらってから、早10年。 熟成に熟成を重ね(と近くから見ても感じます)、百千鳥は満を時して誕生しました。変幻自在な姿とともに、個性豊かな雰囲気ですが、使ってみると、すんなりその世界に馴染んでくれる、稀有な書体です。絵本の仕事では、本文すべてに百千鳥を使用したものもありますが、どの絵本にもそれぞれに効力を発揮してくれました。もしご覧になりたい方がいたら、絵本の賞を三つも受賞した、ザ・キャビンカンパニー(小学館)さんの「ゆうやけにとけていく」をどうぞ。1行ずつのテキストが絵と同じくらい強い絵本ですが、百千鳥がしっかりと支えています。これからも百千鳥で遊んでゆきたいと思います。
日本語のタイポグラフィの改善に加え、韓国語のタイポグラフィも大幅に改善し、地域の標準規格に準拠し、デザインの重要な分野で生産性を向上させるとしている。
ユーザーからのリクエストに応じた3つの分野での機能強化
最新のAdobe Illustratorリリースでは、ユーザーがワークフローの改善のために求めていた3つ分野の機能強化を含む、多数のアップデート行った。
- パターンと勾配:気に入ったパターンとカラー勾配をAdobe Creative Cloudライブラリに直接保存することができ、チームやクライアントに素早く共有が可能(HelpX URLを追加)
- 範囲の計算:シェイプや閉じられたパスの範囲を簡単に計算できる
- フォント:Adobe Illustratorのファイルに直接フォントを組み込めるようになり、特定のフォントをダウンロードしていない端末でファイルを開いても、フォントが変わることはない
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