Blackmagic Designは、DeckLink IP 100Gを2025年7月より発売する。希望小売価格は税込298,800円。

この新しいPCIe Gen 4カードは、ST 2110ベースのシステムにおいて、最大8チャンネルのHDまたはUltra HDビデオを同時にキャプチャーおよび再生する能力を備える。また、100GイーサネットQSFPポートを2基搭載しており、冗長性を確保し、2つの100Gイーサネットスイッチへの接続を可能にする。冷却システムも内蔵されている。さらに、DeckLink IP 100GはGPUDirect RDMAをサポートしており、DeckLinkとGPU間でメモリを直接転送できるため、GPUによるビデオ処理時のPCIe帯域幅の利用効率が向上し、遅延が大幅に低減される。

DeckLink IPカードは、ST 2110ベースのIP放送システムにおいて、ビデオを直接キャプチャーおよび再生するための簡便なソリューションである。他のDeckLink製品と同様の機能をサポートしており、既存のソフトウェアで使用可能。DeckLink IPカードは複数のビデオチャンネルに対応しており、各チャンネルで同時にキャプチャーと再生を行うことができる。これにより、放送グラフィックやバーチャルセットの生成、あるいはGPUベースのAI画像処理を行うサーバーラックの構築と、ST 2110ベースのIP放送インフラへの直接的な統合が可能となる。DaVinci ResolveをST 2110ベースのIP放送用編集ワークステーションとして使用することもできる。DeckLink IPは高速なPCIe接続に対応しているため、最新のMac Pro、Windows、Linuxコンピューターで使用可能。

DeckLink IPカードは、IPビデオ規格であるSMPTE 2110に準拠している。この規格は、IPネットワークを介した放送用ビデオ、オーディオ、補助データの伝送、同期、および定義を規定するものである。ビデオソースの同期にはPTPクロックが用いられる。DeckLink IPは、SMPTE-2110-20の非圧縮ビデオ、SMPTE-2110-21のトラフィックシェーピング/タイミング、SMPTE-2110-30のオーディオ、SMPTE-2110-40の補助データに対応している。SMPTE 2110の主な利点は、全てのビデオ、オーディオ、補助データがネットワーク上を個別に伝送されることである。

コンピューターとST 2110ベースのIPビデオネットワークにおける潜在的な課題は、悪意のあるソフトウェアやハッカーに対する脆弱性である。これは、コンピューターのイーサネット接続に対して、あらゆる主体がデータ送信を行えることに起因する。しかし、DeckLink IPはフレームバッファーを用いて全てのビデオを伝送するため、この問題は発生しない。これは、あたかもビデオ専用のファイアウォールが搭載されているかのように機能する。具体的には、DeckLink IPのイーサネットポートは、ビデオおよびオーディオ以外のデータから隔離されている。代わりに、他のDeckLinkカードの機種と同様に、ビデオとオーディオはDeckLinkのフレームバッファーへ転送され、そこでビデオの再生が管理され、その後ST 2110のIPビデオチャンネルへ変換される。この仕組みにより、悪意のあるソフトウェアやハッカーがST 2110ベースのIPネットワークに直接アクセスすることは不可能となる。

DeckLink IPはホストコンピューターとの高速接続に対応しており、モデルに応じて複数のHDおよびUltra HDビデオチャンネルを扱い、各チャンネルを同時にキャプチャーおよび再生できる速度を提供する。PCI Express接続は非常に低い遅延を実現し、ビデオをキャプチャーまたは再生しているソフトウェアとの極めて正確な時刻同期を可能にする。

DeckLink IPの接続はマルチレートに対応しているため、機種に応じて、あらゆるSD、HD、Ultra HDフォーマットをサポートする。SDフォーマットにおいては、525i59.94および625i50の両方に対応している。HDフォーマットにおいては、全てのDeckLink IPモデルが1080p60までの720p、1080i、1080pビデオフォーマットをサポートする。Ultra HDフォーマットは、2160p60までの全てのフォーマットに対応している。ビデオフォーマットは各チャンネルで個別に設定でき、Desktop Videoユーティリティのデフォルトビデオフォーマット設定を使用して瞬時に切り替えたり、あるいはDeckLink SDKを通じて直接切り替えたりすることが可能である。

DeckLink IPカードは、高品質なビデオ処理に対応するよう設計されている。広く普及しているApple ProResやDNxHDといったビデオフォーマットに加え、10-bit非圧縮でのキャプチャーおよび再生もサポートしており、特定のファイルフォーマットに制約されることはない。10-bitは、8-bitビデオの4倍の精度で色情報を表現できるため、放送業界で広く採用されている。10-bit非圧縮ビデオを使用することで、全てのイメージはソースと完全に一致するピクセル単位のコピーとなり、常に最高品質での作業が可能となる。これにより、精度の高いグリーンバックキーイング、自然なVFX合成、および高度なカラーコレクションを実現できる。

DeckLink IPシリーズの全機種は、チャンネルごとに10Gイーサネットの帯域内に収まるSMPTE-2110 IPデータレートに対応しており、小型、低消費電力、低価格のダウンストリーム製品の利用を可能にする。しかし、2160p59.94または2160p60のUltra HDフォーマットを扱う場合、非圧縮10-bitビデオのデータレートは10Gイーサネットの帯域上限を超える。この課題に対応するため、Blackmagic IP10コーデックが開発された。DeckLink IP 100Gに搭載されたオープンスタンダードのコーデックであるIP10は、わずか8サンプルの遅延で2160p59.94および2160p60テレビフォーマットのデータレートを低減する。極めて軽量なコーデックであり、FPGAリソースの使用量が少ないため、SMPTE-2110 IPビデオ製品のコスト抑制に貢献する。

DeckLink IPは、広く普及しているビデオソフトウェアをサポートしているため、ユーザーは慣れ親しんだツールで作業できる。DeckLink IPは、DaVinci ResolveをST 2110ベースのIP放送に対応した編集およびカラーコレクションソリューションとして活用するのに適している。DeckLink IPはキャプチャーと再生を同時に実行できるため、DaVinci Resolveのライブグレーディング機能を用いて、ビデオのキャプチャー、カラーコレクションの適用、そして出力を並行して行うことも可能である。また、Final Cut Pro、Media Composer、Premiere Proといった主要な編集ソフトウェアとも連携して動作する。さらに、Fusion、After Effects、Photoshopなどのアプリケーションを用いて、高度なVFX制作を行うこともできる。Windows環境向けのWDMドライバーも同梱されている。

DeckLink IPは、DaVinci Resolveとの親和性が高いソリューションである。DaVinci Resolveは、ハリウッド品質の編集、カラーコレクション、VFX、オーディオポストプロダクション機能を単一のソフトウェアに統合している。また、macOS、Windows、Linuxに対応しており、無償でダウンロード可能であるため、月額ライセンス費用は発生しない。編集作業は、トラックベースのレイアウトで行い、豊富なトリムツールや編集ツール、高品質なトランジション、エフェクト、タイトルテンプレートを利用できる。その後、DaVinci Resolve上でプロフェッショナルなカラーコレクションを適用できる。DaVinci Resolveは、フル32-bit浮動小数点YRGB処理に対応しており、プライマリー、セカンダリー、Power Window、3Dオブジェクトトラッキング、高度なAIツールなどの機能を用いたカラーコレクションが可能である。

放送グラフィックやタイトル制作においては、グラフィックデザイナーが慣れ親しんだツールを使用することが望ましい。これにより、創造性を最大限に発揮でき、新たなツールの習得にかかる負担を軽減できる。DeckLinkカードの全機種は、DaVinci Resolveに統合されたVFXソフトウェアであるFusionに加え、Adobe After EffectsやPhotoshopとも互換性を持つ。Fusion Studioは、強力なノードベースのVFX合成ツールであり、2Dおよび3D環境、数百種類のエフェクトに対応している。また、FusionはDaVinci Resolveに無償で含まれている。同梱のBlackmagic Media Expressソフトウェアを使用することで、ビデオをファイルとしてキャプチャーおよび再生し、Fusion、After Effects、Photoshopへ読み込むことも可能である。

DeckLink IPは他のDeckLinkカードと同様に機能するため、広く利用されているビデオおよびオーディオ配信ソフトウェアとの完全な互換性を有する。これにより、配信ワークステーションを構築し、世界中の多数のオンライン視聴者に向けてライブ配信を行うことができる。macOS環境では、Open Broadcaster SoftwareやWirecastといった配信ソリューションが利用可能である。Windows環境では、Open Broadcaster Software、Xsplit Broadcaster、Wirecastを使用できる。DeckLink IPを用いることで、ST 2110規格に準拠したあらゆるIPフィードをライブストリームに変換し、必要な数のオンラインプラットフォームへ送信できる。あるいは、ATEM Streaming Bridgeと併用することで、遠隔地の放送ネットワークと連携させることも可能である。

DeckLinkカードには、macOS、Windows、Linuxに対応した高度なデベロッパーSDKが無償で同梱されている。このデベロッパーSDKを利用することで、社内利用または他の放送局への販売を目的とした独自のソリューションを容易に開発できる。DeckLink SDKは、柔軟性が求められる場合にはハードウェアの低水準制御を可能にし、一般的なタスクについては、使いやすい高水準のインターフェースで作業できる。Blackmagic Design社のDeckLinkカードは、数多くのメーカーやデベロッパーの製品に採用されており、DeckLink SDKは安定した基盤を提供するため、信頼性の高い商用品質の放送ソリューション開発を行うことができる。

Blackmagic DesignのCEO、グラント・ペティ氏は次のようにコメントしている。

昨年リリースしたDeckLink IPカードは、皆様から大変ご好評をいただいております。しかし、マルチチャンネルのIPビデオを扱える、よりハイエンドのカードを求める声が多く寄せられていました。新製品のDeckLink IP 100Gは、マルチチャンネルのビデオを同時に簡単に処理できます。これはエキサイティングなキャプチャーカードで、ソフトウェアがこのカードで何ができるのかを見るのは興味深いです。新しいAI処理が豊富にある今日において、皆様がどのように使用するのかを拝見するのが非常に楽しみです。