ソニーは、35mmフルサイズ対応α Eマウントレンズとして、大口径望遠ズームレンズ Gマスター「FE 50-150mm F2 GM」を2025年5月23日に発売する。価格はオープン。市場推定価格は税込60万円前後。

ソニーは2024年12月に初のF2ズームレンズとなる大口径標準ズームレンズGマスター「FE 28-70mm F2 GM」を発売。本製品はそのラインナップに追加される。

モデルコンセプトとしては、単焦点レンズにおける50mm、85mm、135mmの3本分の焦点距離を1本でカバーすることを想定している。60万円という価格は、単体で見ると高額に捉えられる可能性があるが、単焦点レンズ3本分と考慮すると、価格に見合う価値があると判断される。

焦点距離50mmから150mmは、多様な被写体に対応可能と考えられるが、特に婚礼やスポーツ、室内スポーツといったシーンにおいて、その焦点距離域が適していると想定される。

商品説明を5つのポイントで順番に説明をしていこう。

ズーム全域で単焦点レンズに迫る高い描写性能

本製品の特長の一つとして、ズーム全域で単焦点レンズに匹敵する高い描写性能が挙げられる。提示されたMTF曲線は、単焦点レンズと比較しても遜色ない解像感を実現していることがわかる。

    テキスト
※画像をクリックして拡大
    テキスト
※画像をクリックして拡大

2枚のXA(超高度非球面)レンズと2枚の非球面レンズを含む、高度な光学設計により解像感低下の要因となる諸収差を最小限に抑え、コンパクトな光学系を実現する。

    テキスト
※画像をクリックして拡大

開放F値2の明るさに加え、大きなボケと滑らかな自然なボケ味が特徴であり、新設計の11枚羽根絞り機構により、2段絞り込んでも円形に近い形状を維持する。

また、最新の光学設計により、色収差が極小化されている。さらに、「ナノARコーティングII」を採用することで、フレアやゴーストの発生を抑制している。これにより、逆光条件下においてもクリアで鮮明な撮影が可能になる。

近接撮影性能に関しても、焦点距離50mmから150mmのズーム全域において高く、最短撮影距離は広角端で0.4m、望遠端で0.74mである。最大撮影倍率は0.2倍である。

周辺解像度においても、単焦点レンズに迫る性能を有している。広角端50mm、中望遠85mm、望遠135mmの各焦点距離における比較では、本製品とそれぞれの単焦点レンズとの間で、周辺部の解像度にほとんど差が見られない。これらの比較から、本製品はズームレンズでありながら、単焦点レンズに匹敵する高い描写性能を実現していると考えられる。

開放F2通しズームながら小型軽量。高い機動性を実現

第二のポイントとして、小型軽量設計が挙げられる。本製品の重量は1340g(三脚座別)である。重量を比較すると、先行して発売された「FE 70-200mm F2.8 GM OSS」のI型よりも軽量であり、F2通しのズームレンズとしては非常に軽量であると言える。

手持ち撮影に適したバランスを実現。ズーム回転角が少ないインナーズーム機構で、F2通しの大口径と合わせ、室内スポーツ撮影に最適としている

小型軽量化は、電子補正に依存せず、最新の光学設計を用いることで光学性能を維持しつつ達成されている。

また、インナーズーム機構を採用しているため、ズーム操作時に全長が変化せず、安定したバランスで操作が可能である点が特長である。筐体は一見大きく見えるものの、グリップ部分のクリアランスが確保されており、操作性は良好であると考えられる。

軽量であることとインナーズーム機構の採用により、動画撮影においても取り回しの良さが期待できる。

ボディの高速性能を最大限に引き出すAF性能

第三のポイントは、オートフォーカス(AF)性能である。本製品はフローティングフォーカス機構を採用し、計4基のXDリニアモーターを搭載している。

これにより、F2という大口径レンズでありながら、高速かつ正確なAF駆動を実現している。ソニーのαシリーズの特長である、高速性、高精度、静粛性を備えたオートフォーカス性能が確保されていると考えられる。

また、α9 IIIが持つ最大120コマ/秒の連写性能にも対応している。

映像クリエイターのニーズに応える動画性能

第四のポイントは、動画性能である。動画撮影においては、リニアレスポンスMF(マニュアルフォーカス)機構を搭載。動画撮影において重要な要素であるフォーカスブリージングに関しても、電子補正に頼らず大幅に抑制されている。

「リニア・レスポンスMF」に対応。メカニカルに連動したリングに近いダイレクトな操作性を実現し、動画撮影中、ピントリング操作によるフォーカスコントロールが違和感なく容易に行える

手ブレ補正については、純正ボディとの組み合わせにおいて効果を発揮する。アクティブモードとダイナミックアクティブモードの手ブレ補正機能により、歩きながらでも安定した動画撮影が可能としている。純正レンズとボディの組み合わせにより、安定した動画撮影をサポートすると考えられる。

使用環境を選ばない優れた操作性・信頼性

第五のポイントは、操作性と信頼性である。操作性に関して、本製品には計3つのフォーカスホールドボタンが搭載されている。レンズには、フォーカスリング、ズームリング、絞りリングの3連リングが採用されている。フィルター径は95mmである。

三脚座は取り外し可能であり、ストラップが製品に同梱されている。防塵防滴に配慮した設計となっており、レンズの表面にはフッ素コーティングが施され、埃が付着しにくい仕様となっている。

    テキスト
フォーカスモードスイッチ、フルタイムDMFスイッチ、アイリスロックを搭載
※画像をクリックして拡大
    テキスト
絞りリングクリックON/OFFスイッチを搭載
※画像をクリックして拡大

FE 50-150mm F2 GM/FE 70-200mm F2.8 GM OSS IIスペック比較

スペック ソニー FE 50-150mm F2 GM ソニー FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
開放F値 F2 F2.8
レンズ構成 17群19枚 14群17枚
非球面レンズ XA 2枚/非球面2枚 XA 1枚/非球面1枚
ED非球面レンズ ED非球面 1枚
EDガラス スーパーED 2枚/ED 3枚 スーパーED 2枚/ED 2枚
レンズコーティング ナノARコーティングII、フッ素コーティング ナノARコーティングII、フッ素コーティング
最短撮影距離 (W) 0.4m-(T) 0.74m 0.4m
最大撮影倍率 0.2x 0.3x
絞り羽根 11枚 円形絞り 11枚 円形絞り
最小絞り値 22 22
アクチュエーター XDリニアモーター XDリニアモーター
フォーカスシステム インナーフォーカス、フローティングフォーカス インナーフォーカス、フローティングフォーカス
ズーム方式 インナーズーム方式 インナーズーム方式
手ブレ補正(OSS)
フォーカスレンジリミッター ○(FULL/∞〜3m)
フルタイムDMFスイッチ
リニアレスポンスMF
フィルター径 95mm 77mm
レンズフード 丸型バヨネット式 VX9569 フィルター窓あり 丸型バヨネット式 ALC-SH167 フィルター窓あり
三脚座(ネジ穴・脱着) ○ 1/4(1),3/8(1)脱着可 ○ 1/4(2)脱着可
外形寸法 Φ102.8×200 Φ88×200 mm
質量(約) 1340g(三脚座除く) 1,045g(三脚座除く)
防塵・防滴
テレコンバーター 非対応 対応
価格 市場推定価格 税込60万円前後 ソニーストア価格 税込385,000円