
iPhone 16 Proで撮影を行う是枝裕和監督
鎌倉が舞台のタイムトラベル・ラブストーリーを、iPhoneの最新技術で映像化

是枝裕和監督による最新短編映画「ラストシーン」をApple TVアプリで公開した。本作は、「Shot on iPhone」の最新作でありiPhoneのみで制作された作品だ。
舞台は春の鎌倉。映画「ラストシーン」は、是枝監督にとって初のタイムトラベル・ラブストーリー。「未来に何が残り、何が消えるのか」をテーマに、日常の中の選択が未来に与える影響を描く。仲野太賀と福地桃子が主演を務め、黒田大輔、フランキーらが共演。撮影監督には、是枝作品を数多く手がけてきた写真家・瀧本幹也氏が参加し、映像表現にも深みを加えている。「ラストシーン」本編および舞台裏映像は、Apple TVアプリにて配信中。
「ラストシーン」
iPhone 16 Proが実現した新しい映画撮影のかたち
「ラストシーン」では、iPhone 16 Proの持つ最新映像技術が余すことなく活用されている。Appleの最新A18 Proチップと改良されたカメラシステムにより、モバイルデバイスとは思えない映像表現が実現されている。
シネマティックスローモーション:
最大4K 120fpsのDolby Vision撮影が可能になったことで、映画制作に求められるスローモーション表現が一段と滑らかに。新搭載の48MP Fusionカメラと第2世代クアッドピクセルセンサーにより、観覧車の中で桜入りのフィルムケースが落下する場面など、細やかな動きも高精細にとらえている。撮影後に再生速度を24fpsまで調整することも可能で、映像に詩的な余韻を加えることができる。
シネマティックモード:
人物や被写体の奥行きや感情の揺らぎを、ピントの移動とボケ味でドラマチックに演出。由比と倉田が出会うファミリーレストランのシーンでは、後からボケの強さを調整することで、空気感まで写し取るような仕上がりが実現された。撮影中・後どちらでもピントの変更が可能なのは、映画的な演出において大きな自由度を与えている。
5倍望遠カメラ:
革新的なテトラプリズム設計により、5倍光学ズームでも安定した高精細映像を実現。由比が海岸から、50年前にドラマ撮影中の祖母の姿を見つめるシーンでは、この5倍望遠が生み出す空気遠近法的な距離感が、物語に静かな情感を加えている。アクションモード:
手ブレ補正と3Dセンサーシフトにより、動きのあるシーンでも滑らかな映像を記録可能。倉田と由比が観覧車へと走る場面など、ダイナミックな移動ショットでも安定したクオリティを保っている。

是枝監督は、今回の撮影について次のように語っている。
自然でありのままの映画にしたいと思い、本当に、日常生活の中にあるつかの間の瞬間、当たり前だと思っている大切なものを撮影しました。iPhoneのカメラ機能のおかげでストーリーに深みが出て、普通のものが特別になりました。
iPhoneで映画作品を撮影する可能性

スマートフォンであるiPhone 16 Proが実現した映画制作の可能性は、新たな制作手法の指針となり得る。是枝作品に見られる、繊細な感情の交差や静謐な映像表現が、モバイルデバイスでどこまで描けるのか。その答えが、この27分のショートフィルムには詰まっていると言える。

