
パナソニックは、フルサイズミラーレス一眼カメラLマウントシステム用交換レンズ「LUMIX S 24-60mm F2.8」を2025年6月中旬に発売する。希望小売価格は税込143,000円。
ズーム全域開放F2.8の明るさがもたらす多彩な表現力
本製品は、静止画および動画撮影に対応したハイブリッド型のF2.8大口径標準ズームレンズ。小型軽量でありながら、明るい開放F値を持ち、高い描写性能を有することが特徴として挙げられている。
表現力の観点から、開放F2.8の明るさが特徴として挙げられる。これにより、暗所においても比較的速いシャッタースピードでの撮影が可能となり、また、大きなボケ表現を実現できる。そのため、スナップ撮影やポートレート撮影など、幅広い用途での活用が想定されるレンズである。

広角24mmから標準域60mmまでの焦点距離をカバー
焦点距離は24mmから始まる点を特徴とする。24mm開始という仕様は、動画制作において広角で撮影し、編集時にクロップするなどの後処理に対応可能である。また、電子手ブレ補正使用時の画角狭窄を考慮すると、レンズ本来の広角性能が高い方が有利であり、その点においても扱いやすいと言える。
望遠端は60mmであり、一般的な24-70mmの焦点距離を持つレンズと比較するとやや短い。しかし、標準域の60mmをカバーしている。
特筆すべき機能として、LUMIX S9、S5II、S5IIXには「ハイブリッドズーム」が搭載されている。これは、光学ズームとクロップズームを組み合わせることで、ワイド端の焦点距離を維持したままズームリング操作で高倍率のズームを実現するものである。静止画・動画撮影時において、最大187mm相当、S1RII使用時には最大252mm相当の望遠ズーム撮影が可能となる。
ハイブリッドズームを用いることで、187mm程度までの望遠撮影を維持しつつ、光学的には広角側を重視した設計となっている。広角性能と小型化を両立させたサイズ感において、この24-60mmという焦点距離は一定の魅力を持つと考えられる。
サイズに関しては、全長99.9mm、重量544gと小型を実現。同社の小型高倍率ズームレンズ「LUMIX S 28-200 mm F4-7.1 MACRO O.I.S.」や機動性の優れた「LUMIX S 20-60 mm F3.5-5.6」と比較しても、大きな差異は見られない。携帯性に優れるレンズという位置づけになる。
フィルター径は77mmと、他機種と比較してやや大きいものの、大口径レンズとしてはコンパクトな部類に属する。
S-R1428 | S-R2060 | S-E2460 | S-R28200 | |
焦点距離 | 14-28mm | 20-60mm | 24-60mm | 28-200mm |
開放絞り | F4-5.6 | F3.5-5.6 | F2.8 | F4-7.1 |
直径 | Φ84.0 mm | Φ77.4 mm | Φ84.0 mm | Φ77.3 mm |
長さ | 89.8 mm | 87.2 mm | 99.9 mm | 93.4 mm |
重量 | 約345g | 約350g | 約544g | 約413g |
フィルター径 | Φ77mm | Φ67mm | Φ77mm | Φ67mm |


ズーム全域で中心から周辺まで高い解像性能を実現
レンズ構成は12群14枚で、非球面レンズを3枚採用している。小型軽量ながら、画面中心部から周辺部にかけて高い解像性能を実現する設計となっている。
同社のフラッグシップ大口径標準ズームレンズである「LUMIX S PRO 24-70mm F2.8」と比較しても遜色ない性能を有すると評価されている。価格帯や小型であることを考慮すると、十分な性能を備えていると言える。
ボケ表現については、一般的に非球面レンズの枚数が増加すると、輪線ボケなどが発生しやすい傾向がある。しかし、本製品では非球面レンズの技術により、円形に近い滑らかなボケ味を実現している。
周辺部の描写においては、大口径レンズであるため、軸上色収差の影響が懸念される。しかし、本レンズは比較的コンパクトにまとまっており、軸上色収差も抑制され、円に近いボケ形状であるため、ボケ味を活かした表現に適していると考えられる。
操作性においては、フォーカスリングがコントロールリング化され、ファンクション機能を割り当てることが可能となった。オートフォーカス使用時にも、任意の機能を呼び出して使用できる。

フォーカスリングの回転方向は、右回りまたは左回りを選択でき、個々のユーザーに合わせた操作が可能。レンズ本体にファンクションボタンが搭載されており、任意の機能を割り当てて使用することができる。防塵防滴構造および耐低温性能を有しており、S1IIなどの対応機種と組み合わせることで、屋外での使用に適している。
動画性能については、Sシリーズ共通の特徴として重視されており、本レンズも同様の設計となっている。フォーカスブリージングの抑制や絞りのマイクロステップ制御といった機能が搭載されている。また、マニュアルフォーカス時には、ピント調整とズーム操作を同時に行うことが可能である。これにより、カムコーダーと同様の操作体系が一部実現され、映像表現の多様性や撮影手法の選択肢が広がる可能性がある。
仕様
レンズ構成 | 12群14枚 |
特殊レンズ | 非球面レンズ3枚、UEDレンズ1枚、EDレンズ2枚 |
絞り羽根 | 9枚羽根/円形虹彩絞り |
最短撮影距離 | 0.19m(W端~焦点距離30mm) / 0.33m(T端) |
最大撮影倍率 | 0.30倍(焦点距離30mm) |
フィルター径 | Φ77mm |
アクチュエータ | デュアルフェイズリニアモータ |
O.I.S. | – |
防塵防滴 | 〇 |
耐低温 | 〇 |
スイッチ類 | 〇(AF/MFスイッチ、フォーカスボタン) |
サイズ | Φ84.0mm×約99.9mm |
重量 | 約544g |

