1994年リレハンメルパラリンピックで初登場して以来、パラアイスホッケーは、そのアクション性の高さ、激しい動き、試合展開の速さにより、すぐに人気のスポーツとなった。パラアイスホッケーの競技ルールは国際アイスホッケー連盟(IIHF)のルールに多少の変更が加えられたもので、選手はパックが下を通過できるダブルブレードのスレッジに乗り、こぎ進むためのスパイクが付いたスティックとシュート用のブレードが付いたスティックの2本を使用する。
各試合は15分間の3ピリオドで構成され、試合のペースが速くダイナミックであるため、放送用の堅牢なライブプロダクション・ワークフローが欠かせないだけでなく、特にリプレイにおいて、柔軟性と効率性が必要とされる。
Blackmagic Designの発表によると、タイの制作スタジオであるWorkflow Productionは、バンコクで開催された2024年世界パラアイスホッケー選手権のライブ配信において、これらの要件を考慮して制作を行ったという。Blackmagic Replayにアップグレードすることで、ライブプロダクションを依頼してくる顧客に対して、リプレイの効率と品質を大いに改善できているという。
Workflow Productionの社長であるナタナポン・チョカピナンタナ氏は次のようにコメントしている。
チョカピナンタナ氏:これまで、数多くの国内および国際卓球イベントや選手権を含む、複数の国際スポーツイベントでBlackmagic Designの機器を使用してきたため、この選手権を制作する前からBlackmagic Designの製品は使い慣れていました。以前にBlackmagic Designの製品を使用したことがあったので、イベントの配信と放送におけるライブリプレイにBlackmagic Replayを簡単に導入でき、慣れ親しんだワークフローを使用して、円滑に操作できました。

拡張可能で効率的なリプレイシステム
世界パラアイスホッケー選手権は、アイスホッケー連盟や国内の複数のスポーツ協会の公式FacebookやYouTubeチャンネルを含む、複数のデジタルプラットフォームで生中継され、同時にスポーツチャンネルのTSportでも放映されたため、国内外で幅広い視聴者が試合を観戦できるようになっていた。Workflow Productionは、FacebookとYouTubeへのライブ配信を担当し、他のプラットフォーム用にプログラムフィードを地元のテレビ局と共有した。
チョカピナンタナ氏:メインボードのPCIeが8スロットしかないことが大きな問題となっていたハードウェアシステムとリプレイソフトウェアを使用した以前のセットアップと比較して、システムの柔軟性が優れていることがBlackmagic Replayを導入した理由です。DeckLink 8Kカードを取り付けられるスロット数が限られていたので、カメラの入力数に制限が生じ、スイッチャーに出力を送り返すプロセスが複雑になっていました。Blackmagic Replayは拡張可能で効率的なので、これらのハードウェアの問題を解決しました。
Blackmagic Replayでは、リソース管理の改善などで予期しない利点も得られたという。それは、特にストレージにおいて顕著だったと同氏は語る。
チョカピナンタナ氏:専用のモニタリングツールにより、担当者がハードディスクの使用量とリプレイをリアルタイムで確認できます。Blackmagic Replayはオールインワンで、リプレイ用のインターフェースが搭載されているので、サードパーティのプラグインを使用したり、細工したりする必要はありません。また、編集を迅速に行えたことには非常に助けられました。担当者が瞬時にクリップにアクセスし、必要に応じてトリミングを行い、追加のステップを踏むことなく、直接書き出せました。

氷上のアクションを撮影
ライブ配信には、3台のBlackmagic URSA Broadcast G2カメラに加え、Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2、Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K、Blackmagic Pocket Cinema Camera 6Kデジタルフィルムカメラが氷上のアクションを捉えるために使用され、全カメラの信号がATEM Constellation 8Kライブプロダクションスイッチャーに送信され、操作にはATEM 1 M/E Advanced Panel 10が使用された。
チョカピナンタナ氏:汎用性の高いことと、ライブプロダクションでシネマライクな映像が得られることからURSA Broadcast G2を選びました。画質に妥協せず、プロ仕様の機能が得られるコスト効率が高いカメラなので、大規模なスポーツ制作において、極めて効率的なソリューションです。長年ATEMスイッチャーを使用してきていますが、先日、入出力の多いATEM Constellation 8Kにアップグレードしたことにより、これまで以上に多くのカメラやビデオソースを同時に接続できるようになりました。入出力数が多いので、今回のような複雑なマルチカム制作に最適です。
リプレイのワークフローには、HyperDeck Studio HD Mini、HyperDeck Studio HD Plus、HyperDeck Studio HD Pro、HyperDeck Studio 4K Pro放送デッキが使用され、Blackmagic Cloud Store Mini 8TBネットワークストレージを介して、URSA Broadcast G2とPocket Cinema Camera 4Kの収録を共有ストレージに送信し、UltraStudio 4K Miniキャプチャー・再生デバイスとDaVinci Resolve Replay Editorコントロールパネルが、DaVinci Resolve Studioにおけるリプレイを行った。
チョカピナンタナ氏:HyperDeckレコーダーを導入することで、セットアップを最適化し、収録したフッテージが効率的に管理され、制作における特定の要件を満たすようにしました。このアプローチにより、リプレイの質が向上しただけでなく、ワークフロー全体の効率も改善しました。
この選手権に関わった上で最もやりがいのあったことの一つは、制作ワークフローの構築でした。特に、カメラの配置とシステムの統合においては、視覚的に引きつけるショットを撮影するために細心の注意を払いました。最終的な出力が視聴者とアイスホッケー連盟の両方にとって素晴らしい映像になったことを誇りに感じています。的確なカメラアングルを用いて、円滑な操作で大規模なスポーツの生放送を成功させたことに非常に満足しています。
