Blackmagic Designの発表によると、ファウンドフッテージ心理スリラー映画「CAIMAN(原題)」の撮影にあたり、監督兼撮影監督のジョセフ・デイビス・キャッスルベリー氏は、高解像度のイメージ、高速なセンサー読み取り速度、そして多用途性を備えたBlackmagic URSA Mini Pro 12KとBlackmagic Pocket Cinema Camera 6Kデジタルフィルムカメラを採用したという。

同作の撮影には過酷な撮影条件でもシネマライクな映像を得られるだけでなく、映画の中でカメラ自体が積極的な役割を果たすカメラを見つける必要があったという。そのため同氏は、撮影はプエルトリコのビエケス島で行われた。スタッフの人数や機材が限られていたため、いくつかの課題があったが、これらのカメラを使用したことで希望のルックと必要な機動性の両方を得られた。

ファウンドフッテージに適したカメラ

「CAIMAN」は、悲しみに暮れる男がビエケス島に戻り、婚約者を殺したと信じている生き物を狩る姿を追う。シカゴを拠点とする制作会社、Lumin8 Productionsのオーナーであるキャッスルベリー氏は、この長編映画が自身のクリエイティビティの限界を押し広げ、制作上の課題を提示する作品であり、興味をそそられると感じたという。

キャッスルベリー氏は次のようにコメントしている。

キャッスルベリー氏:チャールズ・ボルグの脚本を読んで夢中になりました。ファウンドフッテージの映画だったので、監督、撮影監督、カメラマン、アシスタント、そして時にはスクリーンに登場したりと、複数の役割をこなすことになりました。

プリプロダクションの段階での大きな決断は、どのように撮影するかということでした。カメラ自体が"出演者"でもあるので、適切な機材を選ぶことが非常に重要でした。すべての技術的決定は、ストーリーとリアルさの両方に寄与する必要があったので、レンズ、照明、カメラの選択に関して、技術的そして創造的な観点から話し合いを重ねました。また、プエルトリコのような暑くて湿度の高い遠隔地で、少人数のスタッフと限られたリソースで撮影することも考慮する必要がありました。

キャッスルベリー氏にとって、ファウンドフッテージは初めての挑戦だったため、同氏はプリプロダクションでこのジャンルを綿密に研究したという。

キャッスルベリー氏:2か月以上かけて50本以上のファウンドフッテージ映画を鑑賞しました。そして、視聴者が何に共感し、何に共感しなかったのかを理解するために、ネット上でファンのレビューもチェックしました。そのリサーチのおかげで、ストーリーのアイデアが生まれ、最終的には映画のルックとそれを実現するのに必要な機材が決まりました。そこで、Blackmagic Designのような高性能カメラが役に立つことになりました。私たちが必要としていたのは、手持ちでシネマライクな映像を得られ、厳しい条件にも対応でき、機動性を維持できるカメラでした。

キャッスルベリー氏は、最終的にAカメラとしてURSA Mini Pro 12Kを選択し、特定のシーンではPocket Cinema Camera 6Kも使用することにした。

キャッスルベリー氏:撮影のペースが速く、湿度や暑さなどの厳しい条件を想定して、最初にURSA Mini Pro 12Kを選びました。高速なセンサー読み取り、効率的な冷却、RGBWセンサーにより、フルセンサー4Kで、最低限の圧縮設定で撮影することができました。これにより、データ使用量を抑えながら、ポストプロダクションに素晴らしい品質を提供できました。20日間の撮影で使用したデータは14TBほどでしたね。

また、光がほとんどないシーンや、カメラが何度か衝撃を受けるような激しいシーンでは、2台目のカメラも必要でした。ここで役立ったのがPocket Cinema Camera 6Kです。以前にも、雨や、高温、氷点下の雪などの様々な状況で、このカメラを酷使したのですが、不具合により撮影できなくなることはありませんでした。数フィートの高さからカメラを砂の中に投げ込むこともあったので、このプロジェクトにとって完璧なカメラでしたね。誤解のないように言っておきますが、Pocket Cinema Camera 6Kを酷使することをお勧めしているわけではありません。しかし、私のカメラは、ほとんどの機材では耐えられないような過酷な条件にも耐え、完璧に持ちこたえました。

次に決めたことは、作品のルックでした。数十本のファウンドフッテージ映画を観て、その多くが球面レンズで撮影されていることに気付きました。私は、カメラの後ろで演じるジョセフを、流行の機材に夢中になる撮影監督だと想像しました。

彼はおそらく、作品に"映画的"なエッセンスを加えるために、予算に優しいアナモフィックレンズを選ぶだろうと私は考え、アナモフィックを使うことに決めました。特に車やチャーター機のような狭い空間での撮影は大変でしたが、やりがいがありました。

低照証明条件とアクションのバランス

キャッスルベリー氏によると、照明条件のせいで特定のシーンが特に難しかったという。

キャッスルベリー氏:撮影現場で、カメラの後ろで静かに喜んだ瞬間が何度かありました。

特に覚えているのは、ろうそくの明かりと、暗い部屋の隅にある60ワットのキッカーライトひとつで照らされた、テーブルに座る2人の親密なシーンです。キッカーは、わずかに光を加えるために5パーセントに設定していました。URSAのISOを3200まで上げましたが、センサー設計、低圧縮設定、拡散フィルターのおかげで、映像は美しく仕上がりました。緻密で質感のあるグレインとシネマライクで滑らかなグローエフェクトは、そのシーンにぴったりでしたね。

キャッスルベリー氏によると、URSA Mini Pro 12Kは、暑くて湿気が多く、明るい桟橋でのシーンでも活躍したという。

キャッスルベリー氏:2人の主演俳優が桟橋に沿って歩き、海と澄んだ空を背に日陰と日向の間を歩いているシーンです。

URSA Mini Pro 12Kはこのシーンでその真価を発揮しました。ハイライトの維持力が強いため、変化する光にも容易に対応でき、冷却システムのおかげでスムーズに動作しました。間違ったカメラを使っていたら大惨事になっていたかもしれませんが、URSAを使用したことで簡単に対処できました。監督、そして撮影監督として、私は常にハプニングに備えていますが、今回の場合はカメラに関しては何も心配ありませんでした。

映画のクライマックスは、Pocket Cinema Camera 6Kの真価が試された瞬間でもあった。

キャッスルベリー氏:クライマックスのシーンは、日没後にビーチで撮影しましたが、準備はほとんどなく、まさにゲリラスタイルでした。速いペースのアクションに対応できるよう、Pocket Cinema Cameraを軽量で移動しやすいショルダーリグに組み込みました。このシーンにはいくつかの課題がありました。砂利道を走る車の中から始まり、その後、真っ暗なビーチに飛び出すシーンへと移りました。

非常に限られた照明の中で、砂の上を走る長いショットがあったのですが、グリップギアでカメラに取り付けた小型の60ワットのキューブライトのみを使用して、集中的なスポットライト効果を生み出しました。最終的にはカメラをわざと地面に落とし、さらに海に投げ込むことがわかっていました。言うまでもなく、私はこのカメラを酷使しましたが、必要な映像を撮ることができました。