Blackmagic Designの発表によると、近日公開の長編映画「The Cashier(原題)」が、Blackmagic URSA Cine 12K LFおよびBlackmagic PYXIS 12Kなど、Blackmagic Designのデジタルフィルムカメラで撮影されたという。また、同作の編集およびグレーディングには、編集、グレーディング、ビジュアルエフェクト(VFX)、オーディオポストプロダクション・ソフトウェアであるDaVinci Resolve Studioが使用された。
アンディ・エドマンズ氏が脚本・監督を務めた「The Cashier」は、予期せず宝くじに当たった不器用な国内テロリストを主人公に、個性豊かな登場人物たちが、欲と信仰と贖罪を巡って衝突する姿を描いている。
エドマンズ氏は、次のようにコメントしている。
エドマンズ氏:もしクエンティン・タランティーノとアーロン・ソーキンがタッグを組んで、R指定のホールマーク映画を作ったら、この映画のような作品になるだろうなどと考えることが好きなんです。
エドマンズ氏はこれまでに、映像制作において多くの役割を担った経験があり、今回は監督に挑戦した。同氏は長編映画デビューの準備をする際に撮影監督の大井邦太郎氏に直接連絡を取り、早い段階から協力体制を築いた。
大井氏:アンディは多くのプロジェクトの舞台裏で活躍していましたが、私と彼は顔見知り程度でした。
しかし、彼がデビュー作となる長編映画の制作を決めた時に、私に連絡をくれたんです。彼の気遣いには感謝しており、それが私をこのプロジェクトに惹きつけたのは間違いありません。
最新世代のBlackmagic Designカメラで撮影することを決めたのは、Blackmagic Designが長編の物語作品において大きな技術的進歩を遂げていると感じたためだと大井氏はコメントしている。
大井氏:Blackmagicのカメラがようやく脚光を浴びる時が来たと感じています。
これまでにも、長編映画のセカンダリーショットではPocket Cinema Camera 6Kを、短編映画では初期世代のURSAを使用してきました。画像は素晴らしかったのですが、私が求める飛躍を遂げるには、もう少し多くの機能が必要だと常に感じていました。
しかし、URSA Cine 12K LFとPYXIS 12Kがリリースされたことで、全てが変わりました。
フォームファクターからダイナミックレンジまで、長編のストーリーを撮影する上で私が必要としていた全ての機能が揃いました。そして、PYXIS 12Kのリリースと「The Cashier」の準備を始めたタイミングが重なったのも良かったですね。それで背中を押されて、新しいカメラシステムに挑戦するツールを得ることができました。

最終的に大井氏がこの作品に参加する決め手となったのは、脚本とエドマンズ氏からのアプローチであったという。
大井氏:脚本はこのジャンルのテンプレートに沿っていますが、この映画は非常に型破りなユーモアと雰囲気を持っています。説明するのはちょっと難しいのですが。
映画は、常に脚本に書かれている内容よりも奇妙で奥深いものになるとアンディは言っていました。「The Cashier」は、技術的にも概念的にも、自分自身に挑戦できるプロジェクトだと思いました。
撮影現場では、画質と使い勝手の良さが特に優れている点だと大井氏は指摘した。
大井氏:センサーのダイナミックレンジは、10倍の価格のカメラシステムに匹敵しますね。メニューには多くの機能が搭載されていますが、私でも操作できるくらいシンプルです。私は撮影監督としてはテクノロジーに疎いので、メニューが非常に直感的なことに驚きました。全体的に、このカメラの画質は期待を超えていました。優れたハイライトのロールオフ、堅牢なコーデック、そして光感度です。このカメラの画像に関して、妥協していると感じたことは一度もありませんでした。
大井氏はまた、PYXIS 12KをBカメラとして使用したが、典型的なBカメラのように使用したわけではなかったという。
大井氏:このカメラは、URSA Cine 12K LFを補完するのに最適です。センサーは全く同じですね。
正直なところ、このカメラをBカメラとは思っていませんでした。多くの場面で、PYXIS 12KとURSA Cine 12K LFを同じように使用し、それぞれに最も適した場所に応じてアングルを決定しました。
つまり、PYXISを標準的な映画用カメラのようにリグ組みしたんです。
全てのアクセサリを装着した後でも、カメラはまだ十分に軽量だったので、Bカメラのオペレーターは手持ちで撮影する際にもバランス調整を行う必要はありませんでした。
Bカメラのオペレーターであるバント・ヤング氏もまた、PYXIS 12Kの画質と柔軟性を称賛する。
ヤング氏:PYXISの画質は素晴らしいですね。
センサーは非常に優れており、本体は軽量です。また、適応性の高いフォーマットは完璧です。

同作のビジュアルは、ネオノワールの照明と風変わりなカメラアングルを組み合わせており、現代韓国映画の影響を受けている。
大井氏:私たちは、フレーミングと照明に関して、一貫してコーエン兄弟とパク・チャヌク監督を参考にしました。
一貫して奇妙なトーンを演出する上では、ハル・アシュビー監督の「チャンス」も、私たちにとって大きな指針となりましたね。
レンズに関しては、Sigma CineプライムレンズとTokina Vistaプライムレンズを組み合わせて使用し、16:9の8Kで撮影して1.85:1で仕上げた。準備期間が短かかったため、撮影時はカメラに同梱されたフィルムLUTをモニタリング用に使用したという。
大井氏:特に難しい状況で撮影する場合は、LUTをオフにしてログ画像をモニタリングし、カメラが適切な露出で撮影していることを確認しました。
大井氏は、URSA Cine 12K LFとPYXIS 12Kが困難な状況の撮影にも対応できたことに満足しているという。
大井氏:バージニア州のリッチモンドで真冬に撮影した際に、壁一面の窓がある会議室のシーンがあったのですが、日没に合わせて窓と部屋のバランスを一定に保つ必要がありました。
カメラのダイナミックレンジと、弱い光やコントラストの強い光を処理する能力のおかげで、困難だったかもしれない一日が、はるかに容易なものになりました。日が沈むにつれて、いくつかのパネルライトを文字通り1パーセントまで下げることで、窓から部屋の露出を同じに保つことができました。照明スタッフも特機スタッフもこのことを信じられませんでした。照明のシェイン・ギルドは、「私の仕事はなくなった?」と皮肉にコメントしていましたね。
ポストプロダクションはリッチモンドで行われ、エディターのレックス・M・ティース氏とマシュー・ウェスト氏がDaVinci Resolve Studioで編集を行った。ティース氏はまた、DaVinci Resolve Studioを使用してデイリーを制作し、撮影現場から編集作業まで一貫したパイプラインでプロジェクトを扱った。最終的なカラーグレーディングは、DaVinci Resolve Studioを使用してウェスト氏が行った。
「The Cashier」は現在編集中。映画祭や配給に関しては後日発表予定。
