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日本カメラ博物館は、特別展「昭和100年記念 昭和のカメラ物語 第二部:1955-1989」を2026年2月10日(火)から6月21日(日)まで開催する。

2026年は、昭和元年(1926年12月25日~)から起算して「満100年」にあたる。同展示は、昭和100年を記念して2025年に開催した特別展、「昭和のカメラ物語 第一部:1926-1954」に続く第二部だ。

昭和30(1955)年から昭和が終わりを迎えるまで、日本を中心としたカメラ発展の歴史を、現代の視点であらためて俯瞰しながら紹介する。

「昭和」は、日本をはじめ世界の写真産業、カメラ産業が大きく展開した時代だ。前年の昭和29(1954)年に日本写真機検査協会(現:日本カメラ財団)と日本写真機工業会(現:カメラ映像機器工業会)が設立、昭和30年代には日本製カメラは技術や品質面でも大きな発展を遂げ、日本の工業製品を代表する主要輸出産業として製造が急速に拡大した。

昭和の終盤にはフィルムカメラの技術は発展から成熟期を迎え、デジタルカメラの原点となる電子画像を撮影するカメラも発売されるなど、「メイド・イン・ジャパン」のカメラは先進的な技術で世界を席巻していく。昭和の中ごろから終わりを迎えるまでの30余年は、日本のカメラ産業が高度成長期から隆盛期へと移りゆく時代だった。

戦後日本の復興とともに発展し、経済成長にも大きく貢献したカメラ産業は、きわめて高い技術力とブランド力により世界のカメラ市場で主要な位置を占め、スマートフォンが普及した現在でも大きな存在感を示している。

同特別展は、昭和中期から後期に製造された日本製カメラを中心に、一部外国製も含めながら紹介し、「カメラ」という視点から昭和という時代をふり返り、読み解く企画だ。

なお、会期中、今回展示される資料を収めた図録を制作し、日本カメラ博物館受付にて販売する。通信販売も利用できるという。

主な展示予定品(一部)

  • ミランダT:昭和30(1955)年 オリオンカメラ(日本)。35ミリ一眼レフにペンタプリズムを搭載した国産最初の製品
  • フジペット:昭和32(1957)年 富士写真フイルム(現富士フイルム・日本)。120フィルムに60×60ミリ判画面を撮影する初心者向けカメラ。〇△□を基調としたデザインや分かりやすい操作系などから人気を博した
  • ヤシカ44:昭和33(1958)年 八洲光学工業(現京セラ・日本)。スーパースライド(40×40ミリ判)の流行に応じて発売された二眼レフカメラ。グレー仕上げの外装が「ローライフレックス4×4」に似ており問題となった
  • ニコンF:昭和34(1959)年 日本光学工業(現ニコン・日本)。ニコン最初の一眼レフカメラ。豊富な交換レンズと周辺機器が用意され、このカメラから報道カメラマンの機材が一眼レフへと切り替わっていった
  • ペトリフレックス7:昭和39(1964)年 ペトリカメラ(日本)。絞りとシャッターに連動するCdS露出計を内蔵。レンズ上の大きな受光部が特徴的な一眼レフカメラ
  • アサヒペンタックス6×7:昭和44(1969)年 旭光学工業(現リコーイメージング・日本)。レンズ交換式60×70ミリ判一眼レフカメラ。操作性を35ミリ判一眼レフカメラに近づけ機動性を持たせ、長期にわたり人気を博した
  • ゼンザブロニカEC:昭和47(1972)年 ゼンザブロニカ工業(日本)。ミラーが上下に分割するクイックリターンミラー機構を備えた一眼レフカメラ
  • キヤノンAE-1:昭和51(1976)年 キヤノン(日本)。電子化、部品のユニット化、組み立ての自動化などで高性能、低価格を実現させた一眼レフカメラ
  • オリンパスXA:昭和54(1979)年 オリンパス光学工業(現OMデジタルソリューションズ・日本)。スライド式レンズバリアを備えレンズキャップを不要とした“カプセルカメラ”。後継機の「XA2」(1980)はカメラとして初めてグッドデザイン大賞を受賞した
  • ミノルタX-7:昭和55(1980)年 ミノルタカメラ(現コニカミノルタ・日本)。絞り優先AE機構、電子音による手ぶれ警告などを採用した一眼レフカメラ。俳優の宮崎美子氏を起用したテレビコマーシャルが大ブームとなった
  • コンタックスT:昭和59(1984)年 京セラ(日本)。ポルシェデザインによるボディに38ミリF2.8単焦点レンズ、京セラ製人工サファイア使用のシャッターボタンなどを備えた高級コンパクトカメラ
  • ソニー スチルビデオカメラレコーダー マビカ MVC-C1:昭和63(1988)年 ソニー(日本)。撮像素子にMOSを使用し、一般ユーザー向けに発売されたスチルビデオカメラ。画像は2インチFDへの磁気記録だがデジタルではなくアナログ方式

開催概要

開催期間 2026年2月10日(火)~ 6月21日(日)
展示品 昭和30年(1955)から昭和64年(1989)に発売されたカメラを展示。日本製カメラを中心に、一部外国製カメラも含めながら時代ごとにカメラとその技術を紹介。(展示点数約200点を予定)
常設展等 常設展として「日本の歴史的カメラ」、世界最初の市販カメラ「ジルー・ダゲレオタイプカメラ」、「ライカコーナー」、「カメラのおもちゃコーナー」、ピュリツァー賞を受賞した報道写真家・沢田教一のカメラなどを展示
開館時間 10:00~17:00
休館日 毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日の火曜日)
※ゴールデンウィーク期間中の4月26日(土)~5月11日(日)は休まず開館
入館料 一般 300円、中学生以下 無料
団体割引(10名以上)一般 200円