Blackmagic Designの発表によると、トーマス・アルフレッドソン氏がDaVinci Resolve Studioを活用したクラウドコラボレーションを使用し、「アルフィー・アトキンス」の制作を行ったという。

トーマス・アルフレッドソン氏の「Bara knyt, Alfons!(原題)」までの道のりは、編集室から始まった。エディターとしてキャリアをスタートし、映画「裏切りのサーカス」で監督を務めたアルフレッドソン氏は、制作の判断をできる限り現場で行うことを大切にしてきたという。スウェーデンで長年親しまれてきた児童文学のキャラクター「アルフィー・アトキンス」を映像化するにあたり、同氏が目指したのは、原作が持つ、読者との親密な関係性をそのまま映像に反映することだった。

アルフレッドソン氏は次のようにコメントしている。

アルフレッドソン氏:私自身はすでに大人になっていましたが、うちの三人の子どもはそれらの物語を読んで育ちました。

それらの物語やキャラクターに、子どもたちがどれほど深く引き込まれるかは、すぐに分かりますよ。

2022年のシリーズ第1作では、アルフレッドソン氏はその感覚を大切にしながら、少人数のクルーとミニチュアセットを用いて、Blackmagic Pocket Cinema Camera 6Kで撮影を行った。その際は、収録からポストプロダクションまで一貫してBlackmagic RAWが採用された。SSDに収録されたラッシュは、DaVinci Resolve Studioに取り込まれ、3本の30分作品として構成された後、10本の12分エピソードへと再編集された。これは、原作者であるグニラ・ベリストロムのイラストの世界観に忠実であるための、実践的なアプローチであった。

シリーズ第2作では、同じアプローチとルックを維持しながら、チームの共同作業の方法が見直された。エディターとしてのバックグラウンドを持つアルフレッドソン氏は、常にシンプルな制作ワークフローを好んでおり、Blackmagic Cloudを活用したコラボレーションの可能性に強い関心を抱いていた。

第1作と同様に、アルフレッドソン氏は撮影からポストプロダクションまで単一のコーデックを採用し、Blackmagic PYXIS 6Kデジタルフィルムカメラで撮影を行い、編集、カラー、VFXの各工程をDaVinci Resolve StudioとBlackmagic Cloudで完結させた。以下では、アルフレッドソン氏からの、制作チームを大いに助けた実践的なヒントと、DaVinci Resolve Studioのコラボレーション機能を最大限に引き出すアドバイスを紹介する。

――Blackmagic Designのエコシステム内ですべてを完結させたのは意図的でしたか?

アルフレッドソン氏:

間違いなくそうです。最初のシリーズを始めた当初から、Blackmagicだけで何かを作れるかを試すことが目的でした。その結果、サウンド以外はすべて作ることができました。サウンドチームは彼らの望むソフトウェアを使用しましたが、それ以外はすべてBlackmagicで完結しました。SSDに直接収録し、それらのドライブから編集しました。すべてDaVinci Resolve Studioで行いました。プログラム間の書き出し、トランスコード、バウンスは一切なしで済みました。すべてを一つのエコシステム内に収めた運用は、非常にうまく機能しました。

――技術的な面で、各部署はどのように連携しましたか?

アルフレッドソン氏:

3台のBlackmagic Cloud Store Mini 8TBをローカルストレージとして使用しました。メインの一つは編集用で、他はVFXチーム用でした。カラリストとポストハウスはBlackmagic Cloud経由でつながり、全員が最新の更新を共有しながら、同時に作業することができました。ポストプロダクションの進行に合わせて、共有プロジェクトはメディアファイルを減らした軽量なバージョンへと継続的に整理しましたが、必要に応じて、常に過去のバージョンやすべてのソース素材にアクセスできる状態を維持していました。

――Blackmagic Cloudは、制作プロセスをどのように変えましたか?

アルフレッドソン氏:

Blackmagic Cloudシステムは、制作に大きな柔軟性をもたらしてくれました。小規模かつ低予算の制作だったため、ポストハウスは、映像を固定する前であっても、空いた時間にいつでもプロジェクトを開いて作業を進めることができました。タイムライン上で直接、カラーの調整やエフェクトの確認、修正を行うことができました。従来は、すべてが確定してからでなければカラーグレーディングを始められませんでしたが、今回は並行して進めることができました。大型のグレーディングモニターで確認した際に、エフェクトや小さなアーティファクトなど、何か違和感があれば、その場でVFXショットを開いて修正を行い、すぐに結果を反映させることができました。従来のワークフローであれば、ベンダー間でファイルをやり取りしながら、数週間を要する作業でした。その結果、制作における自由度が増し、いつでも任意のクリップに戻って調整できるという安心感が得られました。

――各日のレビューやコラボレーションは、どのように進みましたか?

アルフレッドソン氏:

全体として、非常にうまく機能しました。3人のVFXアーティストが、それぞれ異なる場所から、同じプロジェクトで直接作業を行っていました。これは、技術的にも、制作に対する考え方という意味でも、非常に革新的でした。大規模スタジオの制作パイプラインなしでも、プロジェクトのバージョンをリアルタイムで共有できるのは大きかったです。必要に応じてポストハウスまたはVFXアーティストに連絡し、「新しいバージョンをチェックしてほしい」と伝えれば、彼らが数分以内に確認して応答するという流れでした。非常にスムーズで連携の取れたプロセスでした。

――Blackmagic Cloudによって、レンダリングやファイルのやり取りは改善されましたか?また、その際に求められる管理意識は何でしょうか?

アルフレッドソン氏:

概ね信頼性は高かったですが、管理意識は常に必要でした。ファイルを正しいフォルダーに整理し、適切な名前を付けて管理する必要があります。急いでいる場合、状況を見失いやすくなります。

――編集とグレーディングの現場では、何が変わりましたか?

アルフレッドソン氏:

DaVinci Resolve Studio 20の大きな進化として、カラリストがシーケンス内の全レイヤーにアクセスし、個別に分離してグレーディングできるようになった点があります。これは素晴らしい進化ですね。技術的な要求はありますが、コントロール性と創造性の両面において、より大きな自由が得られます。
Fusionページの新しいトラッカーやその他の機能は大幅に改善され、DaVinci Resolve Studio 20ではキーフレームエディターのメジャーアップデートもありました。安定性と直感性が遥かに向上したように感じられます。このプロジェクトはバージョン19から始めましたが、安定性の向上は非常に大きいと感じています。

――撮影にPYXIS 6Kを選んだ理由は?また、ミニチュア撮影ではどのような効果がありましたか?

アルフレッドソン氏:

Blackmagic PYXIS 6Kをメインカメラに選びました。モーションコントロールリグやLaowaのプローブレンズと完璧に機能しました。これらのレンズはミニチュアセットの小さな隙間を通すことができ、モデルの世界を撮影する本作において、これは非常に重要でした。PYXIS 6Kは、非常に信頼性が高く、堅牢で、プロフェッショナルなカメラでしたね。以前使用していたPocket Cinema Camera 6Kと比べて、筐体の作りや操作性の面で別次元でした。
また、私たちはモーションコントロールシステムもアップグレードしたので、現在はより洗練されたものになっています。本作は幼い子ども向けの映画なので、彼らは違いを言葉で説明することはできないかもしれませんが、感じ取ることはできます。すべてがより滑らかで、生き生きと感じられ、作品全体があらゆる面で良くなったと思います。

――この新しいコラボレーションの進め方によって、制作の結果が変わった具体的な例はありますか?

アルフレッドソン氏:

編集はタイミングがすべてです。未完成の素材やグリーンスクリーンを使用する際や、エフェクトが未反映の状態、音楽のない状態で作業する場合、テンポを判断するのは困難です。しかし、このセットアップでは、簡単な合成をすばやく作成して、シーンのリズムを体感できます。これは非常に価値があります。物語を形作っている段階で、予算を膨らませることなく、感情のタイミングを調整できるからです。素材そのままの状態と完成版を並べて見せ、その違いを示すこともできます。

――Blackmagic Cloudの最大のメリットは何ですか?

アルフレッドソン氏:

最も顕著なメリットは、創造的な自由度です。いつでも変更できると分かっているのは非常に大きいです。技術的な制限に縛られることがないですからね。従来、編集とエフェクトの作業は特定の段階でしか行えませんでした。家の建築に例えると、基礎、配管、屋根の工事順が決まっているようにです。しかし、Blackmagic Cloudが登場したことで、すぐに屋根の工事を開始できるような感覚です。編集、グレーディング、合成を同時に行えます。これはクリエイターにとって非常に大きく、時間も費用も節約できます。

――クラウドの利用に不安を感じている映像制作者たちに、何か伝えたいことはありますか?

アルフレッドソン氏:

映画業界の意思決定者の多くは保守的です。しかし、このテクノロジーは、費用を削減できるだけではありません。品質も向上し、作業プロセスがより人間的になります。創作しながら試行錯誤を重ね、同時にチームと協力できる自由を与えてくれます。私からのアドバイスとして言えることは、心をオープンにし、数人のキーパーソンと協力して、実際に始めてみることが大事だと思います。本格的に取り入れれば、制作のあり方そのものが変わります。