ISE 2026において、ワークプレイス、ライブイベント、コンテンツ制作向けのオーディオソリューションを展開するShureブースを訪れた。そこで、同ブランドにとって極めて重要な転換点を目撃することとなった。
プロオーディオの象徴として君臨してきたShureが満を持して市場に投入したのは、ビデオ機能を統合したオールインワン・ソリューション「IntelliMix Bar Pro」である。ブランド初であり、市場にとっても意欲的な試みとなる本製品は、同社の伝統的な音声技術と最新の映像技術が高次元で融合した象徴的な一台といえる。

筐体前面に整然と並ぶ4基の4Kカメラは、実に計算された構成である。中央の2基が室内の広域を捉える一方で、両サイドのカメラが個々の表情を精緻に切り取る。これにより、話者を追尾する「アクティブスピーカー・モード」や、最大4名の参加者を画面上に等しく配置する「参加者モード」において、従来のシステムとは一線を画す高精細なフレーミングが可能となっている。4Kカメラの解像度を余すことなく活用し、常に最適な構図を維持する様子には、映像デバイスとしての妥協なき姿勢が窺える。


もちろん、Shureの真骨頂である音声技術についても一切の隙はない。本体に内蔵された強力なソフトウェアベースのDSPは、AIによるノイズ低減や残響除去、高度なアコースティック・エコー・キャンセラー(AEC)を統括している。複雑なオートミキシングまでもがこの一台で完結する仕組みは、プロオーディオで培われた同社の矜持を感じさせるものである。
システム基盤には、マイクロソフトとの強固なパートナーシップに基づく「MicrosoftのMDEP(Microsoft Device Ecosystem Platform)」が採用されている。このプラットフォームはバー本体だけでなく、付属のタッチパネルでも稼働しており、一貫性のあるシームレスな操作感を実現している。カラーはホワイトとダークの2色が用意され、設置空間の意匠を損なわない配慮がなされていた。
背面に目を向けると、豊富なポート類を備えつつも、配線を一切外部に露出させない独創的なケーブルマネジメントシステムが構築されている。将来的な拡張性を担保しながら、機能美を追求したこの設計は、現場の運用を知り尽くしたメーカーならではの解答といえる。音と映像、そして設置性までを統合したこの新機軸は、これからの会議空間の在り方を定義する基準となることを予感させた。