NAB 2026のSaramonicブースで、思わず視線を奪われたのがスマートフォン向けワイヤレスマイク「Saramonic Air SE」である。これまでのレポートでも触れているが、ワイヤレスマイクの進化は一巡したのではないかと感じていた。しかしAir SEは、その認識を覆す製品であった。速報レポートでも紹介したが、本稿ではその詳細を改めて解説する。
本体は非常にコンパクトで、従来のマイクとは異なる存在感を放つ。実機を手に取ると、その軽量さが際立ち、取り回しの良さが直感的に理解できる。サイズは親指ほどで、重量はわずか約5g。スマートフォン取材が中心となる現場において、このサイズ感は極めて実用性が高い。強力なマグネット機構により幅広い場所へ固定可能であり、他社製品を想起させる要素もあるが、質感や操作性を含めて独自の使い勝手に仕上がっている。
特徴的なのが、クリップ式とハンドヘルド式の両方に対応するデュアルモードである。本製品は充電ドックに装着することで、クリップ式からハンドヘルド型へと即座に切り替えが可能だ。ドックに取り付けるだけでインタビュー用マイクとして使用でき、取材現場で即座に録音したい場面において高い機動力を発揮する。
マグネットの保持力は十分に強く、多少の動きでは外れない安心感がある。さらに表裏どちらの向きでも装着できる柔軟性を備えており、実際の運用を踏まえた設計であることがうかがえる。
スペック面では、Saramonic独自のAIノイズキャンセリング機能を搭載し、最大40dBの背景ノイズ低減に対応する。48kHz/24bitの高解像度オーディオ、S/N比80dB、最大音圧レベル120dBといった仕様を備え、小型ながら十分な音質性能を確保している。
さらに内蔵リミッターと-12dBのセーフティトラックを搭載し、音割れを防ぐ二重の保護機構を備える。加えて3種類のEQプリセットにより用途に応じた音質調整が可能であり、モノラル/ステレオ出力の切り替えにも対応する。モバイル中心のクリエイターや制作チームにとって導入しやすい価格帯も魅力の一つである。
コンパクトさと機動力に優れた本製品は、大型機材の運用が難しい環境や迅速さが求められる現場において、有力な選択肢となる。現場での使い勝手を重視した、新たなマイクの方向性を示すモデルである。