いよいよCP+2026が始まった。初日からたいへんな賑わいである。各メーカーのブースには自慢の製品が並び、来場者にアピール。かつてのような派手な演出は少なくなっているが、その分じっくりと見てもらおうとする姿勢は好感の持てるものである。筆者(大浦タケシ)も初日の午前から会場に入り取材を行っているが、ここでは自分なりのCP+の印象を2回にわたり書き留めておきたい。

まずはアナログ回帰、銀塩回帰が増えたことだろう。カメラに関して言えば、フィルムカメラやレンズ付きカメラを展示するメーカーが以前に増して目に付くようになった。なかでも極め付けはロモグラフィーの「MC-A」。往年のフィルムコンパクトカメラを彷彿とさせるボディに32mm F2.8の単焦点レンズを搭載する。フィルムコンパクトカメラは欲しいけど、中古じゃなくて新品がいいと思うユーザーや、本格的にフィルム写真を楽しみたいユーザーに訴求できるものだろう。同社はそのほかにもチープなイメージのフィルムコンパクトカメラも展示するほか、フィルム現像タンクやスマートフォンを使ってフィルムをスキャンするスタンドなども見ることができる。フィルムで撮影を楽しむ(楽しみたい)写真愛好家にはたまらないブースとなっている。

ロモグラフィーが扱う35mmフィルムカメラ。プラスチッキーでチープなつくりだが、その分手軽に楽しめるのが魅力。同社の扱うフィルムカメラには様々なものがあり、写真はその一部
同じくロモグラフィーのフィルム現像タンクのキットと、スマートフォンを使用したフィルムスキャナーのスタンドキット。カメラやフィルムのほか、このようなアイテムが用意されているのは心強い
ロモグラフィーが最近リリースを開始したコンパクトフィルムカメラMC-A。往年のフィルムコンパクトカメラらしいスタイルが魅力と言える

北海道を拠点に日本中にフィルムを送り届けるかわうそ商店も見逃せないブース。取り扱うフィルムのほか、現像タンクをはじめフィルム現像に必要なアイテムを所狭しと展示。100フィートの35mm長尺フィルムをパトローネに巻くフィルムローダーなどもあるので、経済的にフィルム写真を楽しみたい写真愛好家は見逃せない。さらに現像薬品なども置いており、見ていて飽きることがないものである。

かわうそ商店が扱うフィルム現像のアイテム。現像タンクはパターソン。リールは35mm/ブローニーのほか、アゴー社製の4×5フィルム用のものなどを用意。100フィートの35mm長尺フィルムをパトローネに装填するフィルムローダーなども展示
かわうそ商店が取り扱っている現像薬品。モノクロフィルム現像の標準とも言えるコダック製のD-76現像液などもあるそうだ

ヤシカというカメラメーカーをご存知だろうか。かつてはフィルム一眼レフやコンパクトカメラ、そしてコンタックスブランドのカメラを精力的にリリースしていたが、京セラに吸収されヤシカというブランド名は消滅した。しかしながら近年母体は異なるものの、ヤシカブランドのカメラが復活。そのなかにフィルムコンパクトがラインナップされているのだ。もちろん今回のCP+でも小さいブースながらそれらの展示を行っている。ヤシカのロゴを見て懐かしいと思うひとも、新しいと思うひともぜひ覗いてみるとよい。

ヤシカの扱うレンズ付きフィルム。外装にはヤシカボーイが描かれている。今後メーカーではこのキャラクターを積極的に展開する予定とのこと
グラフィックが楽しいヤシカのフィルムカメラ。ファッションブランドのグラフィックなどが描かれており、ディスプレイとして部屋に飾ってもよさそう。価格も手頃

今や富士フイルムの写真部門の根幹を支えるひとつがチェキ。そのハンズオンコーナーも賑わっていた。話題の中心は「instax mini Evo Cinema」で、チェキの新しいアプローチとして注目は高い。もちろん、いわゆるチェキの展示も行っており、そのコーナーは終日大賑わいである。また、今回のCP+ではポラロイドも出展。カメラは懐かしいスタイルが中心で、往年のポラロイドカメラを思い起こした来場者も少なくないことだろう。

発表されたばかりの「instax mini Evo Cinema」も展示。フィルムカメラと言うよりは、往年の8ミリカメラを思い起こすスタイルであるが、これも銀塩回帰のひとつとみることができそうだ
ずらりと並ぶチェキ。市場での人気は未だ高く、特にフィルムは品薄状態が続いている。メーカーは速やかに解決してほしいところだ
ポラロイドのインスタントフィルムカメラ。一際カラーバリエーションが豊富だ。往年の写真愛好家のなかには、このインスタントカメラを過去使ったことのあるひとも少なくないだろう
ポラロイドのインスタントフィルムカメラの上位モデルPolaroid I-2。精度の高いインスタント写真撮影が楽しめる。ガイドには"プロ仕様のカメラ"と記されている

フィルムカメラのテイストを纏ったデジタルカメラを展示したのが、現在のカメラ業界の雄、キヤノン。ハッセルのような中判フィルムカメラのようなスタイルで、ファインダーを覗くと左右逆像。しかもマニュアルフォーカスでアナログライクな撮影体験が楽しめるものである。同社係員の話によると生成する画像は粒状感たっぷりで、フィルムで撮影したかのようなものになるという。参考展示ではあったものの、ハンズオンが可能で、めざとく見つけた来場者が順番待ちの列をつくっていた。

キヤノンが参考出品として展示していたフィルムカメラのような撮影体験の楽しめるデジタルカメラ。レンズから入った光を直接イメージセンサーで読み取るのではなく、一眼レフのようにミラーを介してマット面に像を表示、それをイメージセンサーで読み取る。外装の異なる2モデルを展示(性能は同じ)
同カメラのハンズオンコーナーの様子。来場者の反響をみて発売するかもしれないとのことであったが、係員の話を熱心に聞く来場者が多く、近い将来市場に登場する可能性は低くないように思えた

銀塩の写真がかつてのような状況になることはないと思うが、未だ根強い人気を誇るとともに、趣味として楽しむ層は徐々にではあるが増えてきている。あくまでも筆者の肌感からだが、それに応えるかのようにフィルムカメラやそれに付随するアイテムなど展示するブースが増えてきているように思われる。ここに紹介したもののほかにも、そのようなアイテムを展示するブースがあるかと思われるので、興味ある向きはぜひCP+2026の会場を注意深く探索してみることをおすすめしたい。

カメラアクセサリーを扱うキングが提案するCABINブランドのフィルムスキャナー。様々なタイプが揃っている
韓国のHaninが提案するインスタントカメラ。ボディ内に昇華型のプリンターが内蔵されており、撮影後プリントを開始する。ポップなカラーが見ていて楽しい
台湾のPlustekのブースで見たフィルムスキャナー。中央と右は35mm用、左は中判用とする。かつては日本のカメラメーカーからもこのようなタイプのフィルムスキャナーがリリースされていたことを覚えている読者の方はいらっしゃるだろうか

大浦タケシ|プロフィール
宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、雑誌カメラマン、デザイン企画会社を経てフォトグラファーとして独立。以後、カメラ誌をはじめとする紙媒体やWeb媒体、商業印刷物、セミナーなど多方面で活動を行う。
公益社団法人日本写真家協会(JPS)会員。