Blackmagic Designは、ソフトウェアベースのライブ・オーディオミキサーである「Fairlight Live」を発表した。同製品は、空間オーディオミキシングおよびSMPTE-2110の放送ワークフローに対応している。
Fairlight Liveは数多くのオーディオチャンネルを管理でき、標準のコンピューターオーディオまたはATEMライブプロダクションスイッチャーからのUSBオーディオをサポートしている。システムはカスタマイズ可能で、内蔵エフェクトや、キュープレーヤー、トークバックバス、スナップショットなど、プロ仕様の機能を搭載している。
なお、Fairlight Liveのパブリックベータは、Blackmagic Designのウェブサイトから無償で即時ダウンロードが可能となっている。本製品は、NAB 2026のBlackmagic Designブース(#N2502)にて展示される。
柔軟なオーディオワークフローの構築
Fairlight Liveでは、ステレオから5.1サラウンド、あるいはイマーシブフォーマットまで、各プロジェクトに適した柔軟性の高いオーディオワークフローに対応した独自のミキサーを構築できる。入力やバスは、必要に応じて追加、修正、移動が可能。
4人のホストによるトーク番組をリモートのゲスト用セットアップに変更したり、ステレオ入力をアンビソニックスバスにルーティングしたりすることも可能となっている。オーディオチャンネルはトラックインデックスで管理でき、入力やバスの表示・非表示の切り替え、並べ替えにも対応している。
番組設定とテンプレート機能
ミキサーレイアウト、ルーティング、処理、キュープレーヤー、スナップショットなど、制作の全てを一つの番組として保存できる。ファイルメニューからは、既存の番組の読み込みや新しい番組の作成が迅速に行える。
セットアップの効率化を図るため、一般的なワークフロー用のファクトリーテンプレートが用意されている。また、対応しているATEMライブプロダクションスイッチャーに合わせたレイアウトも含まれる。新機能の番組ダイアログでは、制作内容のカスタムメイドが可能。番組データには、バーチャルサウンドチェックの設定やメディアに加え、ソロモードなどの主要なシステム設定も保持される。
広範な入力チャンネルと高度な処理
Fairlight Liveは、多様なフォーマットで数百から数千の入力チャンネルをサポートしている。各チャンネルにはEQ、ダイナミクス、パンのオプションが搭載されており、入力レベルや配置、明瞭さを細かくコントロールできる。
フォーマットベースのパン機能には、1D、2D、3Dに加え、アンビソニックスおよび空間オーディオ用の球面パンナーが含まれる。各チャンネルには4つのエフェクトスロットが備わっており、ChainFXによって各スロットで6つのプラグインをホストできる。これにより、各チャンネルで最大24のプラグインに対応し、ネイティブおよびサードパーティ製のVSTやAUエフェクトを活用できる。
バス構成と出力マトリックス
標準フォーマットの信号経路を使用してバス構成をカスタマイズでき、番組の状況に合わせて動的に追加、変更、再配置が可能となっている。バス管理ウィンドウからは、メイン、サブ、Aux、ミックスマイナスバスを追加し、フォーマットや名称、カラーを選択できる。
入力からバス、あるいはバスからバスへのルーティングは、割り当てウィンドウやミキサー内で直接設定可能。複数のミキサーチャンネルを同時に設定することで作業時間を短縮できる。異なるフォーマット間の互換性については、内蔵のインテリジェンス機能が自動的にバスのアップ/ダウンコンバージョンを実行する。
出力マトリックスバスを使用すれば、メインのプログラムミックスに影響を与えず、ステージモニター、中継フィード、収録デバイスなど、複数の送信先に独自のミックスを送信できる。Fairlight Liveは最大8つの同時出力ミックスに対応しており、正確なレベルコントロールによるルーティングが可能となっている。
VCAグループと内蔵エフェクト
Fairlight Liveは最大128のVCAグループをサポートしている。番組設定ダイアログでは、フェーダーの動作やミュート、ソロのオーバーライドに関するオプションが設定可能。ネスト化されたVCAもサポートしており、一つのVCAマスターで全マイクをまとめて調整しつつ、個別のコントロールを行うこともできる。
すべてのチャンネルにはフルセットの内蔵エフェクトが搭載されている。各入力チャンネルおよびバスには、6バンドのEQ、エクスパンダー/ゲート、コンプレッサー、リミッター、パンナーが備わっている。
また、ディエッサー、リバーブ、ディレイなど、30種類のネイティブプラグインのライブラリが用意されており、サードパーティ製のAUおよびVSTプラグインも利用できる。ChainFXプラグインを活用することで、エフェクトスロットを最大24のプラグインまで拡張可能。
ライブプロダクション向けの放送機能
ライブ制作に必要な放送用機能を網羅している。4つのトークバックグループを管理でき、キューやカンファレンスモードでの通信、ミックスマイナスバスを使用したクリーンフィードの送信が可能。オンエアモードでは重要な機能をロックし、リモートゲインではソース側のマイクプリアンプを調整できる。
入力遅延機能により信号を同期させ、タイミングの精度を高めることが可能。チャンネルとバスの切り替えに対応したオーディオ・フォロー・ビデオ(AFV)や、冗長構成のデュアル入力なども搭載されている。
キュープレーヤーとバーチャルサウンドチェック
2種類のキューに対応したキュープレーヤーを内蔵している。ジングルやスティンガー用の16個のオーディオキューに加え、照明などの外部機器を制御するための16個のMIDIキューをサポート。これらはショートカットや専用コンソール、サードパーティ製デバイスからトリガーできる。
内蔵の収録・再生システムにより、ライブパフォーマンスやリハーサルのキャプチャーが可能。これらの収録データをバーチャルサウンドチェック(VSC)に使用することで、ライブミックスを再現しながらの調整が可能となり、本番のミスを低減できる。エンジニアは放送前にレベルやEQ、パンなどを微調整することができる。
スナップショットによる状態管理
スナップショット機能は、ミキサーの全状態を保存・呼び出しできるツールである。実況解説や音楽パフォーマンスなど、異なるセグメントの設定を順に並べることが可能。トランジションコントロールによって、スナップショット間を滑らかにフェードできる。特定のパラメーターを呼び出し対象から除外するなどの柔軟な運用も可能となっている。
SMPTE-2110への対応と接続性
Fairlight LiveはSMPTE-2110ワークフローに対応し、IPベースの放送プロダクションへの統合が可能。主要なI/Oをサポートし、ST 2110ネットワークから特定のオーディオストリームを抽出できる。PTPクロック同期やサンプルレベルの遅延補正により、ビデオとの正確な同期を実現している。
USB経由でATEMライブプロダクションスイッチャーと接続すれば、直接のコントロールやオーディオ変更が可能となる。最大100台のカメラからAFVを選択でき、双方向マイクのゲインコントロールにより一貫したレベル維持が可能。対応するATEMモデルには、デフォルトのミキサー設定やテンプレートが含まれている。
接続インターフェースとしてUSBまたはThunderboltを使用し、Fairlight Live Audio Panelやサードパーティ製デバイスに接続できる。MacではCore Audio、WindowsではSystem AudioおよびASIOドライバーをサポートしており、最小限の設定で多様なデバイスをミキサーに直接接続可能となっている。
Fairlight Live Audio Panelによる拡張
サウンドエンジニアの協力により開発された「Fairlight Live Audio Panel」は、ワークフローを補完し、ソフトウェアの機能を物理的に拡張する。タスクベースのデザインを採用し、10フェーダーごとのグループに大型タッチスクリーンを搭載。パネル上の動作をグラフィックで確認できる。
画面にはチャンネルストリップ情報、レベル、EQ、ダイナミクス処理、プラグインのインターフェースなどが表示される。利用規模に合わせて、3つのモデルが展開されている。
Blackmagic DesignのCEO、グラント・ペティ氏は次のように述べている。
ペティ氏: Fairlight Liveは、高度な機能を持つライブオーディオミキサーです。ソフトウェアベースであるため、従来のハードウェアシステムのような制限を受けにくく、使用するコンピューターの性能を最大限に活用できます。
プロ仕様のミキサーを初めて使用するユーザーから、数百のチャンネルを扱うエンジニアまで、必要なツールが揃っています。専用のAudio Panelを追加して運用することも可能です。このシステムがどのように活用されるかを楽しみにしています。