txt:猿田守一 構成:編集部

「使いやすさ」感が外見から感じ取れるURSA Mini Pro 4.6K

URSA Mini Pro 4.6K

Blackmagic DesignよりURSA Mini Pro 4.6Kが春にリリースされた(細かい仕様はリンク参照)。

URSA Mini 4K

すでに発売されているBlackmagic URSA Mini 4Kと4.6Kシリーズに、新たにURSA Mini Pro 4.6Kが加わった。URSA Mini 4Kと4.6Kはディスコンとはならず三機種は併売される形となる。新たに発売されたPro 4.6Kは以前の機種と比較した場合、外観が大きく変わった印象を持った。普段ENGカメラを使用している筆者にとっては、一目見てPro 4.6Kの「使いやすさ」感が外見から感じ取れた。

URSA Mini Pro 4.6Kの大きな特長としてはENGカメラライクな操作性とNDフィルターの搭載、EF、PL、B4の3種類の交換式レンズマウントに対応していることだろう(今後発売予定のFマウントが加われば4種類)。質実剛健的などっしりとしたマグネシウムダイカストボディは、過酷な撮影現場でも充分耐えられる作りになっている。またボディは内部空間が大きく取られ、センサー部から発せられる熱を効率よく排出できるように設計されている。まさに現場に最適化されたカメラという印象を持った。

気になる外観をチェック

ENGカメラを触ったことがある方ならすぐわかると思うが、左レンズ側のアクセスパネルがとてもENGカメラライクな作りになっていて、前方からISO、SHUTTER、W/Bという並びになっている。また、クリアを含めた4段階のNDフィルターが装備されている。

減光量は0、2stop、4stop、6stop(0、1/4、1/16、1/64)となっている。その他ファンクションボタンやメニューダイヤルもアクセスしやすい位置に配置されている。

側面後部にある液晶パネルの外側には大型液晶パネルがあり、撮影時の感度やシャッター速度、タイムコードなどの各種データを表示している。またタイムコードの設定や音声入力レベル設定ノブなどもこの面に配置されている。記録した動画をメディアから再生する場合もこの部分から行える。

パネルを開けるとC-Fastカード×2とSDカード×2用のスロットが配置されている。オーディオ入力は上部に配置されたXLR端子から行う。本機のXLR入力レベルは-60dB(MIC)+4dB(LINE)マイク入力に関しては、+48Vファンタム電源切り替えが付いている。またAES(24bitデジタル)入力にも対応している。

上部のスリットからは内部の熱が放出される

本体パネルは4インチLCDタッチセンサー方式となっている。何ドットのサイズのパネルなのかメーカー発表資料がないので分からないが、視認性は良好であった。4K収録で問題となるピントの山はピーキングをうまく使うことで解決できそうだ。メニューボタンを押すことでグラフィカルなメニュー画面を表示する。

3タイプ用意されたレンズマウント

標準ではCanon EFレンズ用が設定されている。それ以外ではPLレンズと、放送現場でよく使われている2/3インチB4レンズマウントに対応した変換アダプターのラインナップがある。今回B4レンズマウントをお借りすることができたのでB4レンズを使用した。

まずカメラ本体からEFマウント部を取り出しB4マウントを取り付けるのだが、EFマウントとB4マウントでは固定するネジ穴が異なる。EFマウントはネジ4本。PLマウントとB4マウントはネジ穴が5つ空いている。これはレンズのグリップに手を入れてカメラを保持するENGカメラライクな使い方でも強度不足を起こさないための構造のようだ。

このB4レンズマウントには1.1倍のエクステンダーレンズが付いている。スーパー35mm相当の本機撮像版(グリーン)と本来2/3インチ用B4マウントレンズのセンサーサイズ(青)とでは図のようなサイズの違いが出来てしまう。実際に本機でFHDサイズでの撮影をする際にはセンサーの中心部分からのFHDサイズは赤い部分となるため、2/3インチレンズのイメージサークルを若干拡大する必要がある。そのための1.1倍のエクステンダーレンズと理解してよいだろう。

以上の説明でピンと来ていると思うが、本機でB4レンズを使用し明るさを落とさないように撮影する場合の推奨はFHDとなる。しかし裏技的発想でB4レンズのエクステンダーを使用し、イメージサークルを強制的に拡大することでUHD(3840×2160)までなら何とか撮影可能ということがわかった。ちなみに4K DCI 4096×2160サイズではケラレが出てしまった。今回使用したレンズはFUJINON HA18×7.6。

3840×2160エクステンダー使用

4096×2160エクステンダー使用(両角にケラレが出ている)

注意したいのは、UHD撮影の場合エクステンダーを使用するので2段暗くなってしまうことが懸念される。厳密にいえばマウントアダプターの1.1倍のエクステンダーによる影響もあるので2.2段暗くなるというのが正解かもしれない。HDでの収録ではレンズ側のエクステンダーは使用しなくて済むので若干の明るさの低下があると思えばいいと思う。

やはりこの手のズームレンズがあれば寄り引きは簡単にでき、アイリスもマニュアル操作で簡単に合わせられるのでストレスが少ない。B4レンズを使用する場合オートアイリスや電動ズームを使用するためにはレンズに電源を供給する必要がある。本機ではB4レンズ用の12ピンのコネクタが準備されているので、そこにレンズからのケーブルを挿せばオートアイリスやデマンドを使ったズームなどが使えるようになる。

またEFマウントでのEFレンズ使用の場合はオートフォーカスにも対応する。本体側面のFOCUSボタンを押すだけで画面中心部にフォーカスを合わせてくれる。

オプション扱いになるのだが有機EL型のビューファインダーは是非一緒に使っていただきたい。1920×1080の画面は大変解像度が高く明るさも十分だ。上部ファンクションボタンにはいくつかの便利機能を登録できる。例えば解像度チャートを表示させることで、ビューファーの視度補正を楽に行える機能などがある。今回気になったのがアイカップが簡単にクルクル回ってしまう現象だ。これはNAB SHOWで展示されていた機種でも同等な感じだったのでメーカーサイドで何とかしてもらいたい。

今回個人的にえらく気に入った部分があった。それはビューファインダー用のSDI OUT端子に接続するためのビューファーからのSDIケーブルコネクターだ。指で摘まんでいる部分を回すのだが通常のコネクターと違い大変綺麗にデザインされまとめられている。

またこれもオプションとなるのだがShoulder Mount Kitも使いやすい。ショルダーパッドを前後させることができ、肩にカメラを乗せた時の前後バランスをこの部分で調整ができる。Sonyの三脚アタッチメントに対応しているので、今までENGカメラ中心だったカメラマンさんやプロダクションさんではありがたいことかもしれない。

今回も紙面の都合で画質の評価や細かい機能までの照会ができなかったことをお詫びしたい。実際にこのカメラで撮られたデモ映像では、実にダイナミックレンジの広い絵が撮られていることに驚いた。是非皆さんもメーカー主催のセミナーやショールームなどで、実際に撮れる絵を確認してほしい。

あとひとつ、気づいた点としては、このカメラはグローバルシャッターは搭載していないがローリングシャッターにしてはあまり歪みがなく、素晴らしいので確認していただきたい。

今回発売されたURSAmini proはHD B4レンズ資産がある個人や会社にとってとても気になる存在なると思う。レンズマウントをEF用に戻せばシネライクな高品質4K映像を簡単に撮影することができてしまう。またBlackmagic Designのスイッチャーシステムと組み合わせることで、スタジオカメラとしての運用も可能だ。オールマイティーにこなせる高画質ヘビーデューティーなカメラが結構お得なお値段で手に入ることを驚かずにはいられない。

WRITER PROFILE

猿田守一

猿田守一

企業、CM、スポーツ配信など広範囲な撮影を行っている。PRONEWSではInterBEE、NAB、IBCなどの展示会レポートを行った経験を持つ。