txt:岩沢卓(バッタネイション) 構成:編集部
H.264&H.265エンコーディングをリアルタイムで実行するSDカード・デュプリケーターBlackmagic Duplicator 4Kを実際の現場で運用してきたので、使用して感じた点などをまとめてみた。
イベントでの即時販売を視野に入れた実験、果たして…?
今回の現場は、ライブハウスからアーティストのライブをYouTube Liveなどで生配信を行うというもの。将来的に、ライブ会場やファンクラブなどを通じて映像販売を行うことを視野に入れた実験として、Blackmagic Duplicator 4Kを現場で実際に使用した。
操作は拍子抜けするほど簡単
本体での操作は、Video Formatを選択して前面の録画ボタンを押すだけというシンプルなもので、25枚までのSDカードに一気に収録が可能になる。今回は使用しなかったが、アペンド収録ボタンという黒丸に+が書かれたボタンを使用することで、複数のシーンを単一ファイルに統合することも可能になっている。ワンカメのオペレーションなどで使用する場合には重宝するような気がするが、スイッチングアウトが前提であれば、録画したままでも問題はないように感じた。
パッケージも重要。付加価値でコピー対策を
SDカードケースに、イベントの情報やアーティストのサインなど、映像コンテンツのみではない付加価値を付けることで、商品価値をアップさせることができるだろう。今回のライブ配信をディレクションしていた加賀誠人氏(Project 92/LiveNinja)が、レーザーカッターで制作したオリジナルカードケースをイベント関係者用配布物に使用した。
デジタルデータ販売では、コピー対策が心配になるという意見もあるとは思うが、この製品に関しては、生の収録データを渡すことになるので、コレクター視点で購入したくなるものや、販売数が読みやすいものなどでの活用が良いと感じた。DVD/Blu-ray化の予定があるものほどイベント終了後すぐに持ち帰るメリットを打ち出せば、編集されたものとは別の価値を感じてもらえるのではないかと期待したい。
配信よりも高画質で持ち帰れる利点
即時性を重要視すると、イベント終了後に帰りの電車で再生したいというニーズも多いように思う。特にライブストリーミングを行っているイベントの場合、会場で生で見ている人にとっては、配信された動画は見ていないので、改めて(しかもストリーミングよりも高画質で)見れることは大きい価値になるだろう。
microSD+アダプターで収録する意義
購入後すぐに見たいというニーズに応えることを考えると、再生装置はスマホやタブレットとなるので、今回の収録は、SDカードだけでなくmicroSDカードにSDカードアダプターを用いて収録テストも行なった。今回の構成での収録を保証するものではないが、問題なく収録も行え、提供・販売の可能性も広げられるように感じた。メーカー側でも是非動作確認リストなどの公開をお願いしたいところだ。
ライブスイッチングとの相性
ライブストリーミングの場合は、そもそもがリアルタイムでスイッチングし、テロップなども入れているので、現場で完パケをしているという意味では、今回のような製品との相性は良いと言える。とくに音楽ライブやパフォーマンスの収録といった場合には、限られたスペースでオペレーションをする必要があるので、1Uに収まる機器というのは導入しやすいように感じた。