txt:松本敦 構成:編集部

GoPro HERO7 BLACKレビュー

一番手前が今回の目玉となるHERO7 BK

2018年9月20日にGoProからHERO7シリーズが発表となった。ラインナップは今回の目玉である最上位機種の「BLACK」(49,800円)、「SILVER」(37,800円)、そしてエントリーモデルの「WHITE」(27,800円)の3タイプとなる。今回HERO7 BLACK(以下:HERO7 BK)を先行してお借りしたので、使用した感想も含めてレビューしていきます(今回レビューで取り上げるのはBLACKのみになります)。

「体験をシェアする」が大幅にアップデートされたHERO7 BK

本題に入る前に、改めてGoProの魅力を考えてみたいと思います。筆者が初めてGoProを手にしたのが2011年でした。当時はまだアクションカムという言葉も聞きなれない珍しいアイテムでした。普通のカメラでは撮ることができない場所に取り付けられるということで夢中になり、気がつけばインドア志向だった自分が色んな場所へ出向くようになったのもGoProがきっかけでした。

おそらくGoProを手にしたことがある人は分かると思うのですが、「GoProを買ったから何か撮りに行こうかな」という手段が目的化するという感覚を味わったことがある方も多いかと思います。「体験をシェアする」という理念こそがまさにGoProの魅力で、今回のHERO7 BKはその軸をブラさずに時代に応じて機能がアップデートしたという印象が非常に強く、手にしたら思わず出かけたくなってしまう機能が搭載されていると言っても過言ではないでしょう!

HERO7 BKで進化した機能

オフィシャルサイトで打ち出されている機能は以下の通り(★マークはHERO7 BKの新機能)。

  • 驚異的に滑らかなビデオ。(HyperSmooth)★
  • 水につけても、落としても、ぶつけても大丈夫
  • 手がふさがってる?GoProに話しかけよう
  • 写真を超えたスーパーフォト★
  • 感動は今伝えよう。(ライブストリーミング)★
  • 動きに合わせたタイムラプスビデオ(タイムワープ)★

基本的なスペックはHERO6のブラックを継承しつつ、メインとしては「驚異的に滑らかなビデオ」としての「HyperSmooth」と「動きに合わせたタイムラプスビデオ」としての「タイムワープ」という2点が今回の大きな特長となります。そこに各種SNSでのライブストリーミング機能と、写真を綺麗に加工して撮れる「スーパーフォト」機能等が盛り込まれるという感じです。

ジンバルいらず?!の手ブレ補正効果

本国での打ち出しコピーは「Shaky video is dead」。日本語に訳したら「手ブレよさらば」と言ったところでしょうか。今回のメイン機能でもあるHERO7 BKに搭載された手ブレ補正機能を実際に何パターンかテストしてみました。

■手ブレ補正あり vs 手ブレ補正なし(歩き)

HERO6との比較になりますが、歩きでHERO7 BKの手ブレ補正をオンにしたところかなりの滑らかさを体験することができました。あと画面を見ていただくと分かるようにカメラ内での「電子手ブレ補正」になるので、画像はクロップ(拡大)される点も覚えておきたい点ではあります。

■手ブレ補正あり vs 手ブレ補正なし(走り)

続いて同じ条件で、走ってみたところかなり差が出ました。やはり走ると「縦の振動」が大きく、手ブレ補正がないとかなり見にくい映像になってしまう。

■HERO7 BK手ブレ補正 vs HERO6 BK手ブレ補正機能

HERO6の手ブレ補正もかなり効いてはいるものの、やはり走りの時だと足が着地するときの振動を拾ってしまうところ、HERO7 BKでは着地の衝撃もかなり吸収していることが分かる。

■カルマグリップは不要になったのか?!

GoPro製品で手ブレ補正機能アイテムとしてすでに発売されているカルマグリップの存在が気になるところでありますが、そもそもHERO7 BKはカメラ内での「電子手ブレ補正」という点とカルマグリップは「物理的」な3軸という点で構造が違います。

おそらく見た目での大きな違いが「水平をキープする」という点になるのではないでしょうか。HERO7 BK単体でももちろん可能なのですが「滑るように前進する」というような映像を撮ろうと思った場合にはやはりカルマグリップのようなアイテムがあるとありがたいところです。位置付け的には「カルマグリップはなくても全然遊べるけど、あるともっとよい」という感じになるのでしょうか(ガジェット好きとしてはカルマグリップのバージョンアップも期待したいところです)。

街歩きが楽しくなる!「タイムワープ」機能

こういう機能、待ってました!!今回のHERO7 BKでこの機能のために購入してしまう方も多いのではないでしょうか。今回搭載された「タイムワープ機能」とはいわゆる「ハイパーラプス」と言われるもので、簡単に言うと「移動しながらのタイムラプス」となります。言葉にしてしまうと簡単ではありますが、ここでこの「タイムワープ機能」がどれだけすごい技術なのかというのを説明します。

そもそもの作り方は三脚にカメラを固定した状態で1枚写真を撮り、等間隔で前進(または移動)をしながら撮影した複数の写真をあとでタイムラインに並べるという手法になります。例えば10秒間のハイパーラプス動画を作ろうと思うと、1秒間に30フレームだった場合に300枚の写真をちょっとずつ撮る必要があります(これだけでも大変)。

そして撮った写真を並べたときにどれだけ合わせたつもりでも前後のつながりで「ズレ」が生じるために編集で加工する必要があるという、「撮る前」と「撮った後」の2つの手間がかかるという点で非常にハードルの高い手法でしたが、HERO7 BKの「タイムワープ機能」がその2つのハードルを一気に解決してしまいました。

お台場のガンダム広場をタイムワープで撮影した映像はこちら。

やることは非常に簡単。「タイムワープ」モードを選択して録画ボタンを押してあとはただ歩くだけ。今回の映像では歩いた時間は約5分、約300mほどの距離ですがこれを以前の手法で撮影して編集したとしたらどれほどの時間がかかるか想像するだけで気が遠くなります。

今回のHERO7 BKでは上記でも紹介した「手ブレ補正機能」が向上したことでこの2つの手間を省いた映像を簡単に作れることが可能になりました。HERO6の「タイムラプスビデオ」でも同時に撮影したのですが、小刻みにガクガクしている状態と比べるとどれくらい滑らかになっているのかが良く分かると思います。

例えば旅行先での映像を残そうと思ったときに、何もない街並みというのはもしかしたら撮らずに終わってしまうことがあるときでも、このタイムワープ機能を使うことで非常に面白い映像が撮ることが(しかも簡単に)できることになりました。また旅先でなくてもいつも見慣れた街並みもタイムワープ機能で撮影することでまた違った表情になるかもしれません。

「おまけ」タイムワープ機能で遊んでみる

本来の使い方とは違うかもしれないですが、何かと組み合わせて新しい表現もできるかもしれません(笑)。

「楽しい」を簡単に伝える機能が進化したGoPro HERO7 BK

「体験をシェアする」というGoProの理念がさらにアップデートされたというのが今回HERO7 BKで感じた魅力です。映像を作る方なら体験したことがあると思いますが、プライベートの旅行でも「せっかくなら映像に残そう」ということでついつい色んな機材を持っていってしまうことがあると思いますが、そんな時にGoProだけ持っていって「楽しむこと」も軸に置いてみるのはいかがでしょうか?細かい設定等は気にせずに「撮りたい」と思った瞬間に反応できるという点において、自分の体の一部に近づいた感覚で撮ることを楽しむことができるでしょう。

その時しか味わえない「体験」も楽しみながら「記録」としての映像も残したい、そんな両方の願いを叶えるのが今回のGoPro HERO7 BKかもしれません。カバンにHERO7 BK一つ詰め込んで遊びに行ってみてはいかがでしょうか?

WRITER PROFILE

松本敦

松本敦

映像クリエイター。企業VPからスポーツイベント撮影まで幅広く手がける。アクションカムやドローンなどの特殊ガジェット好き。