txt:千葉孝 構成:編集部
バイオス初のポータブルSSDが登場!
日々の撮影の現場において、データの安全な管理と運用は皆さんも頭を悩ませるところだと思います。データマネージャー(いわゆるDIT)が参加している現場では不安は少ないと思いますが、ローバジェット作品の場合、データバックアップを自分でやったり、撮影助手さんや制作スタッフさんが行っている場合も多く、過酷な現場でのデータマネージメントの方法には皆さんも頭を悩ます事が多いかと思います(もし撮影済みのデータが消えたら!恐ろしすぎてあまり考えたくないですよね)。
また最近では、多忙な現場において、ハードディスクドライブ(HDD)に替わり転送速度の速いソリッドステードライブ(SSD)を運用している方も多いのではないでしょうか?忙しい撮影現場でのファーストバックアップにはSSDドライブを使用し、撮影部から制作部にデータを移行するセカンドバックアップの時点でセキュアなHDDを使用するのもおすすめです。基本的に撮影部管理下の撮影済みデータは制作部にデータが渡った時点で破棄する事が前提だと思いますので、このようなスピード感のあるワークフローがベストかと思います。
しかしながらSSDは転送速度面で優れている一方、セキュリティーや万が一ドライブにトラブルがあった場合、データを修復できる可能性がHDDに劣るため、使用に関しては注意が必要でした。安全性を取るなら間違いなくHDDだけど、転送速度が遅い。SSDは速いけど万が一のことを考えると不安…。今まではそんなジレンマが筆者にもありました。
バイオス初となるポータブルSSD EclairPRO Portableシリーズ「EP29CB3」
そこで今回ご紹介するのは、セキュリティー面を重要視し、なおかつ耐衝撃性と防雨防塵性を搭載したバイオス社初のポータブルSSD、EclairPRO Portableシリーズ「EP29CB3」です。まずはその特徴を紹介します。
まず肝心の容量は3種類。1.9TB、960GB、480GBの製品が販売されています。
一番の特徴として、転送速度が同社のポータブルHDD「EP25CB3」と比較して約2.6倍も高速になっています。これは撮影現場では非常に重要なポイントです。データバックアップに30分掛かっていた作業が約12分で終わるのですから!この差はかなり大きいですよね。皆さんがSSDを導入する一番の理由はこのスピードの向上に尽きるんではないかと思います。
では実際の速度をHDDと比較してみます。使用するソフトはベンチマークでは定番の「CrystalDiskMark」です。比較対象は同社のHDDモデル「EP25CB3」です。結果はご覧のようになりました。
左のHDDに比べ、右のSSDは約2.6倍の早さとなりました。これはメーカーが発表しているスペックとほぼ同じ結果です。速さという点においては圧倒的な差でSSDに軍配が上がります。この速さは撮影現場で非常に助かりますね。
(左)HDDモデル「EP25CB3」、(右)SSDモデル「EP29CB3」
HDDとSSDで本体カラーが異なるため、同じ棚で管理する際にも一目で判別可能
国産SSDだからこそ実現できたセキュリティー対策、故障補償
この製品、ただ速いだけではありません!これまでの他社SSDにはない大きな特徴として、ICカードを使用したセキュリティー機能を搭載しています。この機能は同社のポータブルHDD「EP25CB3」にも搭載されていた機能で、SSDにアクセスする人のICカードやスマートフォンをあらかじめSSD本体に登録することにより、パスワードなどを入力することなくICカードでセキュリティーロックを掛ける事が出来ます。万が一使用しているICカードを紛失した場合はパスワードでもロック解除が可能です。
ICカードは別売のICカード(OP-ICCARD1)以外にも一般的に使用されいているSUICAなどの交通系ICカードやEdy、nanaco、WAONなどの電子マネー系、スマートフォンのおサイフケータイやApplePay対応のiPhoneでも使用できますので、普段から身に着けて持ち歩いているほとんどのカードが利用できます。これはかなり便利な機能です!
また、このSSDは単にICカードでハードウェアのアクセス権を設定しているだけでなく、保存したデータを強制暗号化(AES256bit)にて暗号化しているのです。作業のワークフロー上においてデータにアクセスする人数分のICカードやスマートフォンを登録しておけば、万が一ドライブを紛失しても第三者からアクセスすることは不可能。たとえ内部のSSDを解体し、ドライブ単体にしたとしても暗号化のためアクセスは出来ません。みなさんのお仕事において、撮影済みデータは非常に機密性の高い性質を持っていると思いますので、万が一の事を考えるとこの機能はとても優れていると思います。
「みまもり合図」アプリはWebサポートページから無償でダウンロードが可能
他の大きな特徴として、あらかじめドライブの故障を予測するサービス「みまもり合図」も搭載しています。この機能、専用ソフトを使用してパソコンに接続されているSSDのS.M.A.R.T情報をクラウドへ蓄積することで把握し、トラブルの予兆をユーザーに知らせてくれる便利なサービスです。あらかじめ故障リスクをユーザーに通知する事により、大切なデータを失うリスクを回避できます。HDDモデルにも搭載されていた機能ですが、ユーザーからかなり好評な機能ということでSSDモデルにも搭載されました。
また、何か予測外の原因により記録データに問題があった場合、バッファローによるデータ復旧サービスも付帯しています。これは一律固定料金でデータ復旧を行ってくれるというもの。これがあればさらに安心ですね。
ボディは頑強な高剛性シャーシと内部の衝撃吸収シリコンゴムの構造により、万が一落下させたような場合でも内部のデータを守る構造になっています。付属するケースも頑強に作られているため、耐衝撃性能の高い設計になっています。
ケースは耐雨性能(IPX3)と耐塵性能(IP5X)に準じた設計となっており、過酷な天候や粉塵から大切なデータを守る設計。
専用プラスチックケース内に付属ケーブルなどが一緒に収納でき、ケーブル類の紛失防止に便利だ
他社製ポータブルSSDは大きさを小さく作ることにより、持ち歩きに便利な特性を売りにした製品が多いと思いますが、筆者は物理的にこの位の大きさの方が紛失リスクも少なくなるので良いのではないかと感じました。やはり命より大切な撮影済みデータなので信頼性が第一ですよね!
また、オプションとして「SecureLock Manager2 BIOS」という製品もリリースされています。これは専用アプリをインストールし、USBキーをPCに接続することでより強靭な社内/社外用セキュリティー設定を行えるようになるオプションです。フォルダーやファイル毎の公開設定などより高度な設定が可能となっており、細かなセキュリティー対策が可能となります。
例えばSecureLock Manager2を使用して「マスターキー」を作成し、社内向けの使用者に対してPINコード解除機能を使用する・パスワード復元機能を使用するなどの細かい設定が可能です。同時に社外向けには、完全ロック時ユーザードライブ内を完全消去する・パスワード有効日数を30日に設定などの細やかな設定をすることで、使い勝手と高いセキュリティーを両立する事が出来ます。
さらに、管理者はオリジナルのパスワードポリシーの変更権限や、社内での使用OS制限などを設定することにより、統一した社内での運用ルールを徹底することが出来ます。社内・社外で様々なプロジェクトのデータ管理に頭を悩ましているエンジニアにはとても頼りになる機能ですね!
今までポータブルSSDを使用していたけれど、セキュリティーがなあ…などの不安を抱えてた方、スピードとセキュリティーが両立するこの製品、是非お勧めします!