txt:村上岳 構成:編集部

シンプルなデザインが人気のロングセラーモデルCRANE 2

VANLINKSは、同社取り扱いブランドZHIYUN TECHの片手ジンバル「CRANE 2S」を2020年9月18日に発売した。VANLINKSから実機をお借りすることができたので、紹介しよう。

筆者が前モデルのCRANE 2を最初に手にしたのは数年前のブライダルの現場だった。このときのジンバル選びで特に意識したのは起動時に音が鳴らないこと。CRANE 2は起動時が無音で、どんな場所でも使えることがきっかけで購入に踏み切った。

さらに海外クリエイターの使い方を見ていくと、CRANE 2はカスタマイズしやすいシンプルなデザインだと気がついた。これまで数社の片手ジンバルを使ってきたが、カスタマイズのしやすさで筆者はいまだにCRANE 2が一番である。いまだに現役で使っている。そんなCRANE 2が今の時代のニーズをくみ取りながらCRANE 2Sにアップデートした。まずは、外観の変更点から紹介しよう。

追加パーツなしで縦向きに素早く変更可能

特に大きく変わったのは、ビデオグラファーなど少人数の現場でも簡単に、素早くセッティングチェンジできることだ。垂直クイックリリース設計で、縦動画への移行のがカメラリグを持ってない人でも簡単にできるようになった。

筆者はこれまで、MVなどで縦位置の撮影をしたことがある。その時はカメラにリグを組んで、ボディ側面のネジ穴にベースプレートを付け替えてカメラを縦位置にしてた。CRANE 2Sを使えば、本編は横位置で撮っておまけのインタビューはスマホ向けに縦位置で素早くセッティングチェンジして撮影するといったことが可能かもしれない。

また、ベースプレートをホールドするベースがそもそも着脱可能なこと(CRANE 2にはなし)。そのベースの裏にもネジ穴が用意されているので、さらにベースプレートをつけることでジンバル上でバランスをいじることなく三脚とジンバルの行き来が可能になった。

パッケージ内容。Crane 2S本体、クイックリリースプレートベース、クイックリリースプレート、レンズサポートチューブ、充電器、三脚など

ニコンのZ 7との組み合わせ。カメラボディに「バッキングベース」と「クイックリリースプレート」を取り付け、ジンバルの「クイックリリースベースプレート」に固定する

付属のクイックリリースベースプレートにManfrotto 504PLONGロングクイックリリースマウンティングプレートを装着。三脚とジンバルの行き来が楽だ

他にもバランス調整を頻繁に行うベースプレートの部分などはレバーによるロックに変わった。そのレバーも完全に開かないとロックが解除されないので、事故防止とこれまで問題だったネジを回してる間にプレートがズレてしまう問題をかなり減らしている。ジンバルのロック機構と併せてかなりセッティングがやりやすくなったと感じた。

水平マウント時のベースプレートの様子。ロックラッチを多数搭載している

ロック機構でそのまま持ち歩きやすくなっている

ケースは最近増えている発泡ウレタン性の軽い素材のものに変わった。ロック機構がついたかなり薄いブリーフケース型になる。大変軽くて、開け閉めはロック機構のおかげで簡単だ。

ケースに関しては前作のCRANE 2の方が好ましい。ストラップで肩にかけることもできたし、CRANE 2Sのブリーフケースは手で持たないといけないので、手を空けておきたい少人数の現場ではちょっと邪魔になる。

CRANE 2Sはアクシズロックと呼ばれるロック機構が装備されており、ロックさせてリュックに裸のままくくりつける運び方も可能。筆者はロック機構ありのジンバルの場合、ケースは使わずに裸で持ち歩いている。

ケースは発泡ウレタン性

開け閉めも簡単にできる

各モーター軸にロックスイッチを装備

取り扱いが楽!乾電池型専用バッテリーを採用

バッテリーは「18650リチウムバッテリー」を使用する。CRANE 2とは微妙に変わっている。同じ18650リチウム電池だが、容量が異なり(旧:2000mAh、2S:2600mAh)形状も若干変わっている。CRANE 2のバッテリーと互換性はないので、注意が必要だ。充電器はカラーが黒に変更されている。CRANE 2のチープ感から、スタイリッシュになった印象だ。

CRANE 2のときもそうだったが、ZHIYUNは乾電池に似たスタイルを引き続き採用している。このデザインのメリットは、電池交換を行いやすいことと、初めてジンバルを触るアシスタントでも仕組みが理解しやすいのが安心ポイントだと思っている。

バッテリーはリチウムイオン2600mAhを3本使用

左はCRANE 2Sの充電器。右はCRANE 2の充電器

連携機能は各社ミラーレスカメラのほかに、Z CAMにも対応

カメラとの連携機能にも対応しており、標準装備で手元で録画のスタートや終了絞りなどの設定変更もできる。またフォローフォーカス用のコントローラーもついているし、フォーカスモーターさえ買えばマニュアルフォーカスが使えるのもポイントだ。

今回はニコンのZ 7と組み合わせて評価を行ったが、Z CAM社のカメラにも対応している。CRANE 2では、Z CAMはカウンターウエイトを載せたりしないとクリアランス的にバランスが取れなかったが、CRANE 2Sでは対応可能だ。バランス調整はもちろん、ブレなどもなくかなりスムーズで良好だった。

実際に使ってみて起動が大変早いのが驚きだったのと、起動時に音が鳴らないのは変わらず好感度が高い。かなり安定して撮れるし、着脱のし易さも良好だ。

さらに、今作のグリップは軽量化のためにハンドルがカーボンになり、デザインのスタイリッシュさと軽さが追求されている。しかし、片手ジンバルはやっぱり腕への負担は大きいし、筆者は汗っかきなのでカーボン素材は手汗で滑って使い勝手は良くなかった。

コントロールパネルの様子。Crane 2から大きな変更はない

ロゴマークがついたフォローフォーカスホイール

CRANE 2の魅力は、冒頭でも紹介したようにカスタマイズのしやすいシンプルな設計にあると思っている。筆者の場合、グリップ部分にテニスのグリップを巻いて使用している。握力を使わなくても手にひっついてくれるし、大変腕の負担軽減にもつながる。

また、CRANE 2で行ったトップハンドルを二つとNATOレールをつけるカスタマイズも可能だ。こうすることで、モニターの着脱も早いし、最適な位置にくる。またトップハンドルとフォーカスまでの距離感も最適で便利だ。

左がCRANE 2S。右がテニスのグリップを巻いた筆者のCRANE 2

最後にジンバル操作を行うスマホのアプリ「ZY Play」について紹介しよう。最新バージョンでは「場面モード」でジンバルの動くスピードや反応速度を名前つけて登録できるようになった。しかも日本語表記になったので、使い慣れてない方でも分かりやすくなったと思う。筆者なら、設定によく使うレンズを登録しておくだろう。これも大変嬉しい機能であった。

■ZHIYUN CRANE 2S
価格:
CRANE 2S:72,000円(税別)
CRANE 2S コンボ:78,000円(税別)
発売日:2020年9月18日
ZHIYUN TECH Japan
村上岳
撮影から編集まで手がけるビデオグラファーとして東京を中心に活動。2016年明治大学を卒業。在学中からフォトグラファーとして活動し、その後ビデオグラファーに転身。企業VPを中心に2019年は海外での撮影経験もあり。Z 7のRAW対応にテンションが上がりすぎて、3ヶ月で18本自主企画をRAWで撮影したリールをTwitterにアップ。9万再生のプチバズりしました!その映像はこちら

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。