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パナソニックから「LUMIX S 18mm F1.8 S-S18」が登場した。望遠側から85mm、50mm、35mm、24mmで構成されたF1.8単焦点シリーズの5本目、最広角側のレンズとなる。同社のレンズラインナップとしてはより上位とされるLUMIX S PROシリーズに次ぐSシリーズとなっている。
品質・性能・価格は中堅どころながら単焦点レンズの良さ、外観や重量などシリーズ展開ならではの仕様を備えているこの製品について、ファーストコンタクトから使用感まで紹介する。
外観
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全体は艶マットな黒、各種表示刻印は白のシンプルなデザイン。焦点距離を示す数値は大きく刻印されて、シネマレンズっぽい雰囲気を醸し出している。
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レンズ装着時に天面となる部分には一本のラインが引かれている。メーカーによると「レンズからファインダーへ向かう光の道筋を表現した」とのことで、装飾の一方、取り付け時などのハンドリング指標にもなる。
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前部開口には「LUMIX」のロゴ、絞り値、焦点距離、フィルター径が刻まれている。
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側面にはフォーカスリングとAF/MFスイッチを配置。
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フォーカスリングはスチルレンズ的な仕上がりだが、カメラ側の「フォーカスリング制御」機能を併用することで映像用途にも快適に使用できる。ここではフォーカスリング操作の回転速度に対して移動量可変でピントを移動する「ノンリニア方式」と、回転量に対して移動量固定でピントを移動する「リニア方式」に切り換えが可能だ。
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統一仕様
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さて、実は前述までの仕様はLUMIX S F1.8単焦点シリーズとして先に発売済みの4本のシリーズレンズとともに、統一がなされている。
F1.8単焦点シリーズ共通仕様
- サイズ(最大径Φ73.6mm、全長 約82.0mm)
- フィルター径(Φ67mm)
- フォーカスリングの位置
- AF/MF切替スイッチの位置
サイズはハンドリング、フィルター径はフィルターの選択・使いまわし、フォーカスリングとAF/MFスイッチの位置は操作性に関係する。
重量、バランス
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詳細に移る前に、まず触れて感じたところは「とにかく軽い!」だ。平素筆者が使用するほとんどのレンズが金属鏡胴で重すぎる!ということもあるが、しっかり映る単焦点を現場でとっかえひっかえ、それもジンバル運用でということについてはこの点、ともかく大正義と言える。シリーズレンズ内で重量は以下のように50g程度の差異、範囲に収められている(295~355g)。
F1.8単焦点シリーズ重量(レンズフード、レンズキャップ、レンズリアキャップを含まず)
- LUMIX S 18mm F1.8:約340g
- LUMIX S 24mm F1.8:約310g
- LUMIX S 35mm F1.8:約295g
- LUMIX S 50mm F1.8:約300g
- LUMIX S 85mm F1.8:約355g
バランスも概ね統一されているとのことで、ジンバルならびにドローン搭載時にバランスの再調整を省略できる。実際に18mmのレンズからジンバルに搭載、バランス調整したあと85mmのものへ交換したところ、そのまま撮影を続行することもできた。再調整するにしてもジンバルのオート機能で電子的に可能な範疇だ。
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レンズフードの形状と重量のばらつきからくるバランスについてはレンズ単体時より気になるところだが、レンズフードについては特に映像撮影用途においてサードパーティー製を使用する、そもそも使用しないなど状況次第となるので、あくまで純正レンズフードにこだわるなら…というところだ。
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参考に筆者によるレンズフード重量計測結果は以下のとおり。
F1.8単焦点シリーズ レンズフード重量(筆者計測)
- LUMIX S 18mm F1.8:21.5g
- LUMIX S 24mm F1.8:25.5g
- LUMIX S 35mm F1.8:34.7g
- LUMIX S 50mm F1.8:34.6g
- LUMIX S 85mm F1.8:38.5g
概ね広角のものから望遠のものに向かって重さが大きくなっている。材質は同じもののようなので、統一されたレンズ径に向かって設計製作すると望遠レンズ用のものがより長大になりがちで重量も大きくなるということだろう。
歪曲収差
シリーズレンズ中最広画角ということなので、歪曲収差の確認用に18mmと比較用に最望遠の85mmにより写真を撮影した。
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歪曲収差は18mmのものが若干樽型のようだ。
描画(作例)
シリーズで描画、質感の統一が図られているとのことだ。18mmと85mm、それぞれでいくつかのシチュエーションと被写体を選んでタテ、ヨコの両方の写真を撮影した。
今回登場で最広角の18mmと最望遠85mmで撮影
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まとめ
このたび登場の18mmを含めたF1.8単焦点シリーズは、同メーカーのLUMIX S5(以下:S5)を中心としたシステムを想定して開発されたとのことだ。本稿執筆にあたりカメラは筆者愛用のLUMIX S1Hを併用したが、より小型軽量なS5を本体としてロケにあたるとさらに快適であると考えられる(このたび筆者はレンズとともにS5が欲しくなってしまった)。筆者的にはジンバルからさらにドローンに搭載するところまで気になるところであるので、機会があればぜひ使用してみたい。読者諸氏も、まずは三脚やジンバルへの搭載からシリーズレンズ間での交換運用を検討してはいかがだろうか。
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モデル:SASSAN、牛
伊丹迅
綺麗め女子、ネコ、風景を写真・映像で素敵に表現する作家、ドローンパイロット。「Panasonic S5/S1/S1R/S1H User’s Information Board」「Blackmagic Pocket Cinema Camera 4K & 6K info」「DJI RS2/RSC2、RONIN、RONIN 4D使用者懇談会」「DJI MAVIC・SPARKオーナーズ」などのFacebookグループを管理運営する。徳島ドローン協会 設立者/事務局長。正体は悪魔音楽集団「ギロチン伯爵」主宰/ヴォーカリストの悪魔、デーモン獄長。
WRITER PROFILE
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