OM5からの正統進化のOsmo Mobile 6登場
DJIの製品の中で最も親しみやすいスマートフォン用ジンバルの「Osmo Mobile 6(以下:OM6)」が2022年9月22日に発売された。
2021年大幅な進化を遂げて発売されたDJI OM 5(以下:OM5)だったが、今回発売されたOM6はOM5をベースに信頼性アップと若干の機能アップに重点を置いた正統進化版と言える。ポケット等に入れて持ち運べるに折りたためるコンパクト設計はより洗練され、ボディーカラーもOM5では明るいカラーの二色から選べたが、OM6はストレートグレーの一色で存在感と信頼性が増した感がある。そんなOM6を紹介していこう。
OM6を展開するだけでクイック起動
OM6はOM5の形状や折りたたみの機構等を踏襲。格納する場合には、アームを折りたたみ所定の位置にセットしロックすることで、ポケットやポーチに収納し手軽に持ち歩くことができる。もちろんDJI OM 磁気スマートフォンクランプ(第三世代)も踏襲されているので、スマートフォンクランプが引っかかったり邪魔になることもなく、ストレスになる要素はない。
また新機能の「クイック起動」は、格納した状態から展開するとそのままOM6が起動し、そのままスマホを装着すればすぐに映像や写真を撮影することができる。これは直ぐにOM6を使って撮影を行いたい時にはかなりのアドバンテージになる。ただしスマートフォンで「DJI Mimo」を起動しておく必要がある。
状態を一目で確認できるステータスパネル
OM5から形状は大きく変わってはいないものの、小さな気の利いた進化はクイック起動だけではない。OM6が今どの状態で動作しているのか、スマホと接続が正常に行えているか等が一目で判る「ステータスパネル」もその一つだ。太陽の下でも視認しやすく、起動状態、バッテリー残量、接続状態、ジンバルのモード等が一目で確認できる。ステータスパネルの右側にある「Mボタン」を押してジンバルのモードを切り替え、長押しでOM6のON/OFFをコントロールする。
そしてRECボタンや切り替えボタン、スティックも右手の親指だけで操作しやすい配置と大きさになっており、ボタン操作で手元を確認することが格段に減るだろう。OM5のスティックに比べ、操作しやすさは格段に上がっているので、これも小さな気の利いた進化と言えるだろう。
ズームだけでなくフォーカスもコントロールするサイドホイール
OM6で一番大きな機能の拡張がズームとフォーカスをコントロールする「サイドホイール」だ。OM5でのズームコントロールは微妙な操作が難しかったが、OM6はサイドホイールでズームをコントロールするので、よりスムーズに微妙なズームコントロールが行えるようになっている。
ただし、シングルレンズのスマートフォンであればシームレスにズームコントロールが行えるが、広角・標準・望遠と、3レンズのスマートフォンを使用する場合では、ズームの倍率により使用するレンズが切り替わるため、最広角から標準、最望遠に移り変わるところで息継ぎ現象が出てしまうため、気をつけなければならない。ただし使用するスマートフォンにより息継ぎの症状が強く出るか弱く出るかは変わってくるだろう。
そしてズームと共にフォーカスも絶妙にコントロールできることがうれしい。動作モードにより制限が掛る場合が有るが、フォーカスのイン・アウト等が容易に行える。OM6を使用して思ったことは「ズームよりもフォーカスの方が使いでがあるかも」だった。これも機種によると思うが、かなりのボケを瞬時にコントロールできるのがうれしい。
また、設定でサイドホイールの回転方向を変えることもできるので、自分の好みで回しやすい回転方向で操作することも可能だ。
アクセサリと連携で自撮りも「良い音」「良い明るさ」で収録
「DJI Mic」を使い連携して撮影すればVlog等でもクリアな音声を収録することができる。スマートフォンのみで撮影を行った場合、予期せぬ雑音が収録音声に混ざり、自分の声を綺麗に収録することは難しい。自分の音声を視聴者に良い状態で聞いてもらいたいと思うのであれば、一番簡単にそれを行えるのがDJI Micだ。
そして音声と共に自分の表情だって綺麗に撮影したいのは当然だ。そんな時に役立つのが「DJI OM 補助ライト内蔵スマートフォンクランプ」だ。Vlog等を撮影し慣れている方々は様々なライトを駆使しながら撮影を行っていると思うが、OMのようなスマートフォン用ジンバルで撮影を行う場合にはライトで自分を照らすことは難しい。
右手でジンバルを持ち、左手でライトを持ってでは両手がふさがれ、暗い中での撮影などではとても危険だ。そこでスマートフォンと一緒に動くクランプ自身がライトになれば両手がふさがることはない。あくまで「補助ライト」と表記されているが、光量は三段階、色温度も三種から選択できるのも気の利いた機能だ。
また今回アップデートされた「ActiveTrack 5.0」ではフロントカメラでも被写体を追従させてジンバルを作動させることができるので、歩きながらの自撮りも自分の顔を外すことなく撮影を行える点は、Vlogを撮影するうえでは特に欲しかった機能かも知れない。
DJI製品を統合してコントロールするDJI Mimo
DJI製品を使用するうえで切っても切れない存在となっているのが「DJI Mimo」だ。今回のOM6を使用するうえでもMimoは必須だ。MimoはOM6で撮影を行うための様々な支援や撮影後に編集を行うこともできる。アプリの特性上、常時アップデートされ、新しい機能や新しい製品の情報、接続なども支援してくれるアプリなので、アップデートされる時にはできる限り早めにアップデートしておいた方が、すぐに使いたい時などにストレスを感じることはないだろう。
より印象的な作品を作れるようになった
今回のOM6は、前バージョンのOM5から一年で投入されているがゆえに、大幅な進化は感じられなかったが、その分信頼性の向上や小さいが気の利いた進化を感じられた。スマートフォンが様々に進化していく中で、映像に特化したスマホや汎用性の高いスマホなど、それぞれのスマートフォンを同じように動作させることはかなりの困難があるかと思う。そんな中でOM6はできる限り個々のスマートフォンの持つスペックを引き出せるように作られていることには賞賛を送りたい。
またスマートフォンの中古市場等も活発になってきている点から、映像に特化した一世代前のスマートフォンを使って映像制作を行うことも容易になっている。中学生や高校生、むしろ小学生でもフォーカスを簡単にコントロールして映像作品を作り上げることができるだろう。
ただ一点難を言えば、OM6をOFFにした時に自動でスマートフォンの撮影画面もDJI Mimoに切り替わってくれると、筆者はより気が利いていると思える。