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DJI RS 3シリーズに「Mini」登場

DJIからまた新たなハンドヘルドジンバルが登場した。新製品の名称は「DJI RS 3 Mini」(以下:RS 3 Mini)。まさしく、その名が示す通りDJI RS 3(以下:RS 3)の小型版である。早速、試用する機会が得られたのでDJI RS 3 Pro(以下:RS 3 Pro)と比較しながら具体的なイメージを共有してもらえたらと思う。

DJIのシングルハンドジンバルは多様化するミラーレスカメラに対応できるようにどんどん大きくなっていった。重さこそカーボン化などによって軽量化を図っているが、それによって高価にもなってしまっている。

積載可能重量が増えるとカメラもリグに載せたくなるし、フォーカスモーターやトランスミッターも着けたくなったりと、どんどん肥大化していく。

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しかし、すべてのユーザーが万能なものを求めているわけではない。単焦点レンズでカメラのAFで良いので、気軽に持ち運べて、パッと取り出して、ある程度の時間持ち続けても負担にならないものというニーズはあるように感じる。

今までスマホ+Osmo Mobileのような組み合わせで撮影していたVlogerがミラーレスに移行するなら、RS 3はちょっとハードルが高い。そんな時に「Mini」という名称が付いたこのジンバルは親しみやすさを持って迎え入れられるのではないだろうか?

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RS 3 Miniは重量850gの軽量化を実現

カメラを載せる展開状態でのサイズの印象はRS 3 Proの7割くらいといった感じだろうか。

重さにしてRS 3 Proが高さ415mmでRS 3 Miniが高さ396mm。RS 3 ProとRS 3はグリップの長さはそんなに変わらずアームの長さが変わるくらいでそんなに小型化された印象はないが、RS 3 Miniに関してはバッテリーグリップも一体化され可愛らしい印象を受ける。それでも膨張気味の自分が手にしても十分な大きさだ。

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重量はというとRS 3 Proが1.5kg、RS 3 Miniが850gというから持った印象はだいぶ違う。両方とも三脚グリップなしの状態。大抵の場合、この三脚兼延長グリップは付けたままで撮影することが多いが、その部分もMiniの方は小型軽量化されていてRS 3 Proは226g、RS 3 Miniは128gと、ここでも100g近く軽量になるのは嬉しい。

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それ以上に特筆すべきはバーチカルモードと呼ばれる縦型映像を撮影するときのセッティングだろう。RS 3 Miniはパーツが一つ少なくなって795gという800gを切る重さを実現している。これはカメラマウント部分をオプションと付け替えるRS 3 Proの半分の重さというのが謳い文句だ。

縦型映像のニーズに対応

このRS 3 Miniはパッケージ写真にもそのバーチカルモードの状態の写真が使われているように、縦型映像のニーズも考えて設計されている。今まで縦型映像といえばスマホの専売特許のような状態だったが、スマホのカメラに物足りなさを感じつつもカジュアルな感覚で撮影したいというVlogerやビデオグラファーにとってはしっくりくるスペックなのかもしれない。

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さて、ここでRS 3 ProとRS 3 Miniのバーチカルモードに変更する場合の違いを見てもらいたい。

RS 3 Pro(RS 3、RS 2も)は縦型映像を撮影するときにDJI R 垂直マウント(4,840円)というオプションパーツが必要になっていた。通常の水平カメラマウントと入れ替える構造になっているので、総重量はさほど変わらない。

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上が通常の水平パーツ、それを下のDJI R 垂直マウントと交換する

それがRS 3 Miniの場合は新設計の2層式クイックリリースプレートの採用により、水平アームを外すだけで直接、垂直アームにクイックリリースプレートを取り付けられる構造になっている。

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RS 3 Miniは下の水平パーツを外して、上に2層式プレートを付けることで縦型モードになる

今までもオプションパーツなしの縦型映像撮影用のモードも用意されていたが、バランスの悪い持ち方になったり、動きに制限があったりと使うことはほとんどなかった。

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このバーチカルモードにするときに一役買っているのが、チルト軸のアームのセッティングだろう。

今までは下に伸ばしたアームに横出しのアームがつながっていて、そこにクイックリリースプレートが付くというシステムだったが、今回からはチルト軸モーターから出ているアームはカメラ後方に延び、そこに下に延びるアームが付くことで前後のバランス調整をクイックリリースプレートの前後ではなく、アームの調整で可能にしている。

ただ、これに関しては評価が分かれるところだろう。軽量化には功を奏しているが、前後バランスはレンズを変えるごとに微調整するのが基本なので、RS 2以降に採用しているクイックリリースプレートをダイヤルで微調整できる方式は画期的に使いやすく、セッティング時間の短縮に役立っていた。ジンバルのセッティングには4か所の調整が必要になるが、前後だけは手間のかからない調整方法が良い。

自動軸ロック機能は未搭載

あと、もう一つRS 3 ProやRS 3にはあるのにRS 3 Miniにない機能が自動軸ロックだ。

バランスをとっているときは常にモーターを動かし続けているので、ジンバルはバッテリーを消費している。RS 3に関してはボタン一つで3カ所の軸をホームポイントに戻してロックするという機能があった。バッテリー容量の少ないRS 3 Miniにこそ付いてほしい機能だけにちょっと残念に思う。

これらは軽量&小型化と低コストを実現するために犠牲になった部分だと思う。確かにあると便利だが、なくても問題はない。他にも持っていても使わないだろうな、と思えるようなパーツはスッキリ省いて価格を税込51,480円に押さえている。これはRS 3の72,600円、RS 3 Proの108,900円に比べると割安感を感じる。

そうそう、本体両側に付いていたNATOポートも左側だけになっている。電子接点は廃されているが、スマホホルダーを付けたり、外部モニターを接続するには問題ないだろう。

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ただ、RS 3 Miniで新しく採用されて良いと思ったのは、2層式プレートもそうなのだが、カメラに設置するクイックリリース部分の突起である。今までRS 2をずっと使用してきて、一番問題に感じていたのがカメラとの接点が1本留めになってしまうということだった。それがこのRS 3 Miniで初めてレンズ支えのような形状の突起が採用されたのだ。これがあることによってカメラボディと接触させることで一本留め特有のねじれを抑制することができる。

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積載重量は最大2kg

ただ、積載重量が最大2kgというのに心もとなさを感じる人も多いのではないだろうか?

ソニー α7シリーズにFE 24-70mm F2.8 GMの組み合わせが1.5kgくらいだろうか?メーカーも小型化、軽量化は突き詰めたいが、ジンバルを使うミラーレスのハイエンドセッティングであるこの組み合わせをクリアするということが目標値に設定されていたのではないかと思う。

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比較的、縦構図の方がバランスをとりやすいバーチカルモードならもっと重いカメラでもいけそうだ

ただ、今回、富士フイルムX-T3+16-55mm F2.8という約1.2㎏のカメラでテストしたが、バランス的にはギリギリの印象を受けた。でも、そんなGMレンズを使うようなユーザーはRS 3 Proを使用するのが賢明だ。最大重量というのは完全にバランスを取り切った状態での使用を考えているので、ズームを動かしたりフィルターを取り付けたり、液晶の開く角度が変わるだけでもズレてくる。そんな些末なことに気を取られるよりも、オーバースペックのパワーで抑え込める方が安心できる。

VLOGCAMやミラーレスでも単玉1本で通す撮影には向いている。そのくらいの積載重量ならDJI特有の安定したジンバルワークが実力を発揮する。余分な機能はいらない、シンプルな構成で機動力重視で考えるなら選択肢の一つに加えてもよいのではないだろうか?

WRITER PROFILE

小林基己

小林基己

CM、MV、映画、ドラマと多岐に活躍する撮影監督。最新撮影技術の造詣が深く、建築と撮影の会社Chapter9のCTOとしても活動。