NikonZ8レポート説明写真

満足度の高いカメラ

先に結論から言うと、「Z 8」は「非常に満足度の高いカメラ」だ。詳細なスペックや特徴などは、公式ページに掲載されているので割愛するが、ニコンZ 8は静止画も動画も高画質で残したい方向けの最高のパートナーとなりうる一つであると言えよう。

私は、これまで複数のメーカーの様々なカメラを業務用途で使用してきたが、ニコンのZ 9やZ 8はその中でもZレンズの画質の良さとも相まって、8Kカメラとして完成度が非常に高い位置にあると評価している。

特に動画での最高画質である8.3K60P、12bit RAWは申し分のないスペックを実現している。

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Z 9の噂が出たころ、ミラーレス動画で他社に一歩遅れを取っていたニコンが、他社を出し抜いたスペックを実現してきたというのはとても驚いたし、失礼ながら動画の仕事でニコンのカメラを使うことは想像できなかった。

他社ミラーレスカメラでも8K動画を撮影できるカメラを発売しているが、60コマや12bit RAWまでのスペックは存在しなかった。それが現実となり、今私のメイン機として活躍してくれている。

欠点がないわけではない。白飛び・黒つぶれを抑えるダイナミックレンジや暗所性能で若干不満は残る。しかし、フィルターをうまく使ったり、ポストプロダクションでのノイズ処理などを行うことで、ある程度欠点は補える。

今後は(ニコンに限らず)、センサーの高画素化の方向ではなく、広いダイナミックレンジ、低ノイズの方に力点を置いてほしいと願うばかりだ。このあたりは、今後の新モデルに期待したい。

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軽いは正義

私は現在Z 9を2台運用しているが、「重たい」「大きい」のデメリットは常につきまとっていた。持っていくカバンも大型のものに制限されるし、三脚などの撮影補助機材も必然と大型になる。Z 8は、このデメリットを完全に払拭する小型軽量で登場してきた。

カメラ自体の重量差だけではなく、システム全体(三脚やバッテリー、ジンバルなど)の総重量がかなり変わるので、もっと気軽にスナップ撮影したいとか、旅先でワンランク軽い三脚、ジンバルで運用したいなどという人には、「もうZ 8しかない」といえる完成度の高いカメラである。

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縦グリップを取り去って小型軽量にしたZ 9という表現は悲観的だが、機能はフラグシップに近く、画質も一緒ということであれば、今まで「大きさと重さ」だけで二の足を踏んでいた人にはまさに待望のカメラと言えよう。

今Z 9を現在使用中で、同じように重さ・大きさで悩んで、買い替えるか迷っている方もいらっしゃるだろう。その点では、操作性もレスポンスもほぼ一緒なので、不安はないと思う。

小型軽量を実現したが、私のような男性の手の大きさでも小指が余ることなく、ガッチリとボディを支えることができるグリップも好印象だ。小型軽量になったことで、何よりも気軽に「持ち出して撮影しよう」と思えるようになった。

もう一点、フィールド撮影をしていて感じたことは、風によるブレが少ないことだ。体積が少ないので当然ではあるが、Z 9に比べて風のある日の撮影でのブレが少ないので、これも大きなメリットであると思う。

フィールド撮影ではどうしても風ブレに悩まされることがあるが、Z 9、Z 8共に手振れ補正は優秀で、完璧とまではいかないが、安定した画を得ることが可能だ。

8K動画の画に関しては当たり前ではあるが、Z 9と同様の画が得られる。色傾向などははっきり言ってユーザーの好みになってしまうが、素直な色再現で、グレーディング耐性もある。解像度も申し分なく高く、8Kの映像として満足のいく画を記録することが可能だ。

4Kにおいてもオーバーサンプリングによる撮影が可能であるので、より精細な画を得ることができる。その8K・4K映像を(制限はあるものの)長時間撮影できるのも、Z 8の大きな魅力の一つであると思う。

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気になるバッテリーの持続時間と熱問題

私は年に数回、イベントなどの長回しもするが、その際は主に4K30P・mp4 10bitを使用している。Z 9の「耐熱性の高さ」はよく知られている通りだ。Z 9は、2時間以上の収録(数回休み時間あり)でも熱警告は出るか出ないか程度である。

しかし、Z 8はテストした限りでは20〜30分で熱警告が出た。ただし、今回テストとして、22℃の室内温度で同様の4K30P・mp4 10bitでの収録を行ったが、熱警告は出るものの、公称値の125分、きっちり撮影できた(電源は外部電源使用)。

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このボディの小型化とトレードオフとして、バッテリーの持続時間の短縮と熱問題に関しては、私がもっとも気になるポイントであった。長時間撮影での停止はなかったものの警告は出るので、精神衛生上良くない。また、実際の熱耐性はZ 9の方が明らかに上なので、仕事で余裕が持てる。

もう一点は記録メディアである。SDカードスロット採用はいろいろな用途で使う方がいらっしゃるので妥協点であると思うが、これだけフラグシップの高動画性能を搭載していると不要なのでは?と思ってしまった。

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最後に質感についても触れておこう。これは軽量化に不可欠だが、全体がマグネシウム合金のZ 9に比べると、新素材の炭素繊維複合材料の部分はやや質感不足が感じられた。やはり所有欲というか満足度はZ 9の方が上であろうと思う。

最後にもう1つ気になる点として、「Z 9の小型版」に終始している点だ。この小型のボディにフラグシップの機能を余すことなく入れ込んだ技術力は高く評価できるし、その熱意には感服する。開発者の苦労も多かったと思う。ただ、Z 9登場から1年半経過しているので、Z 8ならではのサプライズを投入しても良かったと思うのは私だけではないはずだ。

いずれにしても最初に申し上げたが、このニコンZ 8は静止画、動画を現状最高の形で残せるカメラの一つだ。

それがこのコンパクトなボディに収まっているという点で、どこにでも連れ出せる最高のパートナーとなることは間違いないと思う。今後、多くの撮影場所でお目にかかることとなるだろう。

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山崎一
光を追い求める映像作家。8K風景映像作品を核としながら、人、物、事のドキュメンタリー作品、プロモーション映像を手掛ける。

WRITER PROFILE

編集部

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。