想像以上に寄れるマクロ機能

筆者の所属するライズカンパニーは、TV番組の技術協力の他、映像制作、Web動画制作・配信、DVD制作など、映像に関する全ての業務を幅広く手掛けている制作会社だ。主な制作実績は、「ゲームセンターCX」「よじごじDays」「WBS(ワールドビジネスサテライト)」など。最近は配信業務が増加傾向にある。

そんな筆者が「ideaCam S1 Pro」を手にとるのにいたったのは、マクロ撮影がきっかけだった。

マクロ機能は、手軽に使えて大変便利だ。例えば、過去ロケ技術で参加した動物バラエティ番組では、動物専門家がドックフードを解説するのに「◯◯が含まれています」と解説するカットで、PowerPointを使ったスライドショーよりも演者が手元カメラを使って「原材料・成分」のラベルを映像に映して紹介した方がわかりやすかった。ideaCam S1 Proは、そんな手元撮影のシーンで活躍する。

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ideaCam S1 Proを手元カメラとして使用

業務用途として必要な機能を搭載

お掃除番組や肌チェックなどでマイクロスコープを使う番組制作でよく悩まされるのは、多くの場面で「出演者に見せてリアクションを狙う」ということが多く、モニタリングが必須になる場合だ。その際に、簡易なマイクロスコープの多くは小さな画面で操作者しか映像を確認することができず、外部出力もないので複数人で見るためには「撮影→取り込み→再生→モニタリング→リアクション」と、ライブ感が薄れてしまうという問題があった。

ideaCam S1 Proでは付属のマクロレンズを取り付けることで簡単にマクロ域の撮影が可能になり、操作者はUSBでキャプチャーしたPCで確認、リアクションを取る出演者にはPCを一緒に覗いてもらう、もしくはPCの外部出力をモニターに繋ぐことで簡単にライブのリアクションを狙うことが可能になるのも嬉しい点だ。

さらにマクロ撮影をする際、多くのマイクロスコープでは音声の記録ができないが、ideaCam S1 ProはWebカメラとしてPCに認識させることでマイクを生かすことができる。マクロ撮影は文字通り対象物を超接写するため、似たような素材が続く場合、どの映像がどの体験者のものなのかを現場できちんと管理する必要があり、それなりの手間がかかる。しかし、ideaCam S1 Proは初めにマクロレンズを外した状態で体験者や場所の情報を撮影してからマクロレンズを装着するため、素材の管理が簡単になり、編集時の困惑を減少させることもできた。

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付属のマクロレンズはマグネットで簡単に着脱可能
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照明が内蔵されているためライティングが不要

また、ideaCam S1 Proがその他の簡易マイクロスコープと異なる点は「マニュアル設定の豊富さ」だ。量販店などで入手できる簡易マクロカメラはフルオートの機器が多く、こちらの意図とずれた状態での収録が発生することに悩まされていた。ideaCam S1 Proは、もちろんオートでの撮影でも良好な結果を得ることができたのだが、専用アプリケーションのEnSpireを使用することでホワイトバランス/ブライト/コントラスト/サチュレーション/シャープネス/ヒューを調整可能。業務用途の観点では「任意のフォーカス距離で固定できる」というのは最もありがたい点だ。これは、レンズによってフォーカス距離が固定されてしまっていることが多い簡易マイクロスコープカメラにおいて画期的であるといえる。

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マニュアルでのフォーカス調整が可能
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調整項目
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収録に関して専用アプリケーションの「EnSpire」を使用することで静止画、動画共に可能だが、リゾリューションに関わらず画素数が1440×838となってしまうため、折角の解像度が保たれないものとなってしまう。

筆者はMac環境を使用しており、QuickTimeでカメラをideaCam S1 Proに指定し、EnSpireで画像の調整をしながらムービー収録を行うことで1920×1080での取り込みが可能となることがわかった。ここまで高解像度で簡易にマクロ撮影ができるマイクロスコープは他に知見がない。

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EnSpire使用時は1440×838での取り込みとなる
    テキスト
QuickTimeを使用することで高画素に取り込める
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QuickTime使用時は1920×1080での取り込みが可能

簡易に高画質なマクロ撮影が可能となった

まとめ

現場を担当するスタッフとしては、ideaCam S1 Proはこのサイズ感で、パソコンさえあればマクロ撮影をしたいと思った時に対応できるのが非常に魅力に感じる。思いつきに対応できるというのは、撮影現場にとって大変重要なことだ。

例えば、「スローで撮りたい」と思った時に、最近多くの現場で使われているソニーILME-FX6なら240fpsまで撮影可能だ。スローで撮った方が「面白いよね」とか「綺麗なイメージになるよね」と思った時に、身近なカメラやすでに使用しているカメラに標準搭載しているのは大変にありがたいことだ。

それと同じで、「ここはマクロで撮ろう」と思った時に、ideaCam S1 Proがあれば対応が可能になる。手のひらサイズのコンパクトさなので、使う・使わないに関わらず、常時携帯することもさほど苦ではない。しかも、いまやノートパソコンは現場の必需品なので、ほぼ制作は全員持ってるし、設置に関してもUSBを繋げばそれで完了。「思いつきに対応できる」という意味でも、制作現場で頼りになるカメラとなりそうだ。

府川由教

株式会社ライズカンパニー所属。1993年創業。ロケの撮影技術を中心として映像製作に携わり、現在では中継 / 配信業務、番組制作、企業や行政のPR、Vtuber、展示施設のコンテンツ制作など映像で「こんなことがしたい」を実現できるアイディアと 積極性を持ったスペシャリスト集団を目指して日々活動している。筆者は2005年入社。

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