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13ストップのダイナミックレンジのMFTイメージセンサーとマウントを搭載した「Blackmagic Micro Studio Camera 4K」がアップデートされた。

旧製品では同様のボディで収録機能のないBlackmagic Micro Studio Cameraと、SDI出力の代わりにSDカードスロットを備え収録機能を搭載したBlackmagic Micro Cinema Cameraが存在したが、本製品のG2モデルでは外部ストレージへの収録機能も搭載された。

外観

正面部

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本体は旧製品とほぼ変わっておらず、MFTマウントという本来小さいマウントにも関わらず正面から見ると本体のほとんどがマウント部となっている。ボタン類も旧モデルとは変わらず、RECボタンと電源ボタンを含む6つのボタンが縦に並ぶ。

側面部

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両側面にはHDMI出力とSDIの入出力がある。本体にディスプレイが存在しないため放送用のクリーンフィードとOSDが表示された操作用のモニター出力を別々に出せる。12V入力があるのでカプラーを使わずに電源を入力可能だ。ロック付きのUSB-CポートはSSDメディアを接続して収録に使用するほか、同社製のズーム・フォーカス用のデマンドを接続、またはEthernetアダプタ経由で本製品をネットワーク接続し、リモートコントロールを行うなど多岐にわたって使用することが可能だ。

また左右に大きく吸気口・排気口を備えているので長時間駆動も安心だ。

上面・天面部

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底面だけでなく天面にも1/4ネジを備えており、カメラを吊るすような使い方も考えられている。またフレキシブルアームなどでカメラを設置する場合も上下2点でカメラを保持できるので振動が多い場所でも安心してカメラを設置可能だ。

背面部

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背面部はバッテリー取り付け部となっている。旧製品と変わらずキャノンLP-E6互換となっている。個人的には最近のCinema CameraやVideo Assistと同じソニーLバッテリー互換が良かったが、そもそも外部電源前提で使われることが多くバックアップ電源としての利用がほとんどと思われるので大きく問題にはならないだろう。

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先述した通りMFTマウントを採用しているので写真用の安価なMFTレンズを使用できる。まずは手持ちのLUMIX 12-60mmの標準レンズを取り付けてみた。

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カメラが小さすぎるので上の写真を見た人は望遠レンズが付いているかと錯覚を起こしていると思う。ほぼレンズがそのまま放送カメラになった印象を受ける。

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試しに14mmの単焦点レンズを取り付けたのがこちらだ。アクションカメラかと思うほどのコンパクトさに衝撃を受ける。これで13ストップのUltra HD放送カメラというのがにわかに信じられない。

気になる操作性

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本製品のSDIはマイクロBNCコネクタとなっているので、SDIを使用するためにはアダプタが必要となる点は注意が必要だが、マイクロといってもしっかりとロック構造があるため安心して使用できる。

本体での設定操作は正面部にある4つのボタンを使用する。

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HDMIは情報表示をONにすることができるので外部モニターを接続すると見慣れたUIを確認することができる。

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上下キーで選択しSETキーで決定。MENUキーで戻る。といった一般的な操作方法なので特に操作に困ることはない。

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メニュー表示をするとBlackmagic製カメラというよりは同社製のHyperDeck Shuttle HDのようなUIが表示され、MENU/SET/上下キーで各種設定を行う。

とはいえ小さい本体のボタンでは細かい設定を瞬時に変更するのは骨が折れるが、そこはやはりBlackmagic Designのカメラだ。ATEMスイッチャーと接続することでATEM Software Controlからカメラコントロールを行うことができる(注意点としてはSDIで接続する場合はPGM OUTをカメラにリターンとして返す必要がある)。

REST APIでのリモートコントロール

旧製品ではD-Sub 15pinコネクタを使用した外部コントロール端子が存在したが本製品では搭載されていない。しかしATEM Software Control以外でリモート操作する方法がないかというとそうではない。

最近Blackmagic Designが推している機能としてREST APIがある。USB-C端子にEthernetアダプタ経由でLANケーブルを接続することでカメラをネットワークに接続し、外部アプリケーションなどでカメラのコントロールを行うことが可能だ。

REST APIについては各々で調べていただきたいが、このカメラに搭載されたREST APIを至極簡単に言うと、カメラとアプリケーション間でHTTPプロトコルを使用してJSONと呼ばれるデータ形式で情報をやり取りする。

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今回はPostmanというアプリケーションを使用して、簡単に動作確認を行ってみた。

上記写真はPostmanアプリケーションを使って「Blackmagic Micro Studio Camera 4K G2」の絞りに関するアドレスでGETしたJSONの情報の中の"apertureStop"の数値を2.8に変更してPUTしたところ、Blackmagic Micro Studio Camera 4K G2に取り付けられたレンズの絞りが2.8に変更された。

HTTPプロトコルを使用したアプリケーションはプログラミング経験者であれば割と簡単に作ることができるだろう。複数台のカメラを一括制御するような独自のアプリケーションを作ることも夢ではない。

まとめ

主に電車移動のため、日ごろからいかに機材量をコンパクトにできるか悩んでいる筆者には、複数台持ち運んでも小さいカメラバックに収まるくらいと驚くほどコンパクトなBlackmagic Micro Studio Camera 4K G2はとても魅力的なカメラだ。

REST APIを使用した外部コントロールするアプリケーションも今後有志によって続々開発されていくことも予想される。その中で現状のカメラの使い方を覆すようなアプリケーションが登場するかもしれない。とても大きな可能性が秘められている小さなボディのカメラだろう。

サカイアキヒロ|プロフィール

1984年生まれ。音響機器の開発エンジニアとして培った音響とネットワークの知識を活用し、急激に需要が高まったBtoBのライブ配信現場で配信エンジニアとして活動している。最近はYouTubeで機材レビューや配信技術などの動画を発信中。

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。