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2024年6月6日、日本でLUMIXのマイクロフォーサーズセンサーを搭載するGシリーズのフラッグシップモデル、GH7が発表された。

GH7

  • 2024年7月26日発売
  • ボディのみ:274,200円前後(税込)
  • 標準ズームレンズキット(LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-60mm F2.8-4.0付属)347,500円前後(税込)
  • 2520万画素裏面照射型CMOSセンサー搭載
  • 5.7K30p FHD240p収録
  • 像面位相差(PD)AF搭載
  • Apple ProRes RAW内部収録に対応
  • 32bit float音声収録に対応 ※オプションのDMW-XLR2装着時
  • LUMIX Lab、リアルタイムLUTに対応
  • プロキシ収録対応
  • Frame.io対応

今回GH7を触って感じたことは「一機完結」型のカメラということだ。従来のミラーレスカメラではRAW動画や32bit float音声の収録には必ず外部の映像・音声収録用のレコーダーが必要で、リグを組むことが一般的だった。

GH7がApple ProRes RAWの内部収録と32bit float音声収録に対応したことで、カメラシステムとして小型軽量になり、メディアやバッテリー管理も簡略化され、これまでの問題が一気に解決した。

RAW動画と32bit float音声収録の撮影をするためにはカメラにレンズ、DMW-XLR2とマイクを取り付けるだけでよい。XLRアダプタとカメラはホットシュー経由で電源供給も含め接続されるので煩わしいケーブルの接続も不要だ。

従来、マイクロフォーサーズシステムの利点は小型なレンズを活かして機動性の高いカメラシステムを構築できる点にある。最高画質・最高音質を追求してもその利点を維持できるGH7は、取り回しの良いカメラシステムを求めるユーザーにとって間違いなく最適解と言えるだろう。

今回はそんな「小型軽量」というカメラシステムの魅力をお伝えすべくGH7のテスト撮影を行ってきた。

今回のセットアップ

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DMW-XLR2とマイクを取り付けたGH7には、12-60mm/F2.8-4と50-200mm/F2.8-4の2本のレンズを使用した。50-200mmには2倍のテレコンバーターを取り付け、これにより100-400mm/F5.6-8相当(35mm換算:200-800mm相当)のレンズとして使用できるようにした。

驚くべきことに、これほどの超望遠レンズが取り付けられているにも関わらずコンパクトに収まっているのがおわかりいただけるだろう。

抜群の手ブレ補正

テストした動物園での撮影では公共の場所ということもあり三脚の使用は制限される。通常、35mm換算800mmという超望遠域での撮影は手持ちでは難しいとされているが、7.5段分のボディ内手ブレ補正に加えてレンズ手ブレ補正を組み合わせたDual IS 2を使用することでご覧の通り手持ち撮影とは思えない手ブレ補正がされた。

進化した像面位相差AFとリアルタイム認識AF

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GH7はAF性能も大幅にアップデートされた。像面位相差AFと認識する被写体をあらかじめ設定しておくことで、より正確に被写体を自動認識してフォーカスを合わせることができる。今回は動物園での撮影なので、認識する被写体を「動物」に設定した。

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この設定で実際撮影した様子をみると。被写体であるシロクマの目がAFエリアに入ったタイミングで瞳認識となり、エリアから外れてもGH7はシロクマ全体を「動物」として認識していることがわかる。

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被写体認識機能は非常に優れており、動物園でよく見られる鉄格子越しの撮影でも問題なく機能する。AFエリアを変な場所に設定ミスした状況にも関わらず、設定エリアから近い被写体をしっかりと認識、合焦していた。

AFの追従速度・粘りを自在に設定可能

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また、被写体の前を人が横切るといった状況で、被写体にAFを合わせ続けるのはこれまでもAFの課題であった。今回は動物園の外でストリートライブが行われていたので、行き交う人々越しに演奏者を撮影した。

粘り・追従速度を設定したおかげか横切る人に影響されることなくフォーカスを合わせ続けている。

ミスのない音声収録を実現する32bit floatオーディオ収録

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動物園近くの広場に野外ステージが設営されており、アイドルグループのライブが行われていた。ここでカメラの音量設定を動物園内での撮影時から一切変えずに撮影した。スピーカー近くではレベルメータは振り切れている。一般的にはレベルメータは緑→オレンジ→赤と表示されるが、float形式で収録時、実際に収録データ上クリップしていない状態では全て緑で表示される。

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収録したファイルを編集ソフトで開くと当然クリップしているような波形が表示された。

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ところがこの状態からオーディオレベルを15dBほど下げると波形がしっかりと戻ってくる。実際に再生してみるともちろん破綻のない音声を聞くことができた。

まとめ

正確なオートフォーカスとジンバルと見紛う手ブレ補正に加え、音声収録においても強力なアップデートがされ、完全無欠なカメラにまた一つ近づいた。これが今回GH7を使用した感想だ。前述した通り、RAW動画の内部収録・32bit Float録音は、レンズを含めたシステムがフルサイズやAPS-C機よりも小型にできるマイクロフォーサーズというシステムと相性が良い。カメラ全体の重量が減ることで、ジンバルや三脚といった特機類も小型化することができ、結果として機材総量を大幅に軽量化することができる。

機動性の高い軽量なシステム、編集耐性の高いRAW動画、録音レベルの設定ミスの少ない音声収録ができるGH7は、確実に撮影の強い相棒になることだろう。

サカイアキヒロ|プロフィール

1984年生まれ。音響機器の開発エンジニアとして培った音響とネットワークの知識を活用し、急激に需要が高まったBtoBのライブ配信現場で配信エンジニアとして活動している。最近はYouTubeで機材レビューや配信技術などの動画を発信中。

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。