これまでアクションカメラとは無縁の撮影スタイルをとってきたが、昨年の「Osmo Action 4」をきっかけに徐々に興味を持ち、使うようになってきた。2024年9月に発売された「GoPro HERO13」と「Osmo Action 5 Pro」の最新機種を使って感じた双方の強みを紹介していきたい。
4K60fps、静止画最大解像度40MPに対応した「Osmo Action 5 Pro」
■Osmo Action 5 Proの特徴
- 47GBの内蔵ストレージ
- 1950mAhの大容量バッテリー
- 2台のワイヤレスマイクを接続
どちらも撮影をする上での基礎体力のようなものであり、これがアップデートされたことはOsmo Action 4ユーザーにとっても大きな魅力に違いない。
バッテリー容量については、GoPro HERO13 Blackと並行して使った際にも顕著に感じた。
さらに2台の「DJI Mic 2」を接続する場合には、インタビューや対談の映像を交えたバックアップとしても大活躍してくれる!これは本当に心強い。
5.3K60フレーム/秒やHyperSmoothブレ補正を備えた「GoPro HERO13 Black」
■GoPro HERO13の特徴
- 手ぶれ補正の滑らかさ
- 外付けレンズをラインナップ
■GoPro HERO13の特徴
- 手ぶれ補正の滑らかさ
- 外付けレンズをラインナップ
アクションカメラが最初に問われる性能が手ぶれ補正だとすれば、GoPro HERO13 Blackのそれはとても優秀だと感じた。滑らかさに関してOsmo Action 5 Proをわずかにだがハッキリと上回っていたと感じる。
そして剛性のある外付けのレンズキットは非常に頼もしく、特にワイドレンズについては描写性能も申し分なく常用したくなるほどだ。
悩ましいことにどちらかが一方的に劣るということではなく、必要最低限プラスアルファの基本性能を備えた上で、それぞれの個性・強みが打ち出されている。その点について掘り下げていきたい。
ハードの比較
USB-Cポートについて
GoPro HERO13 Blackはカバーを開けた時にバッテリーまでもが露出してしまうのが少し気になる。Osmo Action 5 ProはUSBポートのみ露出するので安心だ。
ワイヤレスマイクの接続性について
意外とGoPro HERO13 BlackにもDJI Mic 2は簡単にペアリングできるが、一度スリープになったり電源を落とすと再接続にエラーが生じることが多く、ここはDJIのエコシステムが圧倒的に強いと感じた。
拡張性について
GoPro HERO13 Blackの底面には1/4mmのネジ穴があり、卓上三脚にマウントする際などに非常に便利。Osmo Action 5 Proはサードパーティのものか、同時に発売されたアタッチメントをつける必要があり、どちらにしてもパーツが必要でひと手間増える。
また、Osmo Action 5 Proはケージをつけることで縦型撮影用にグリップを取り付けることができるのがとても便利。SNSのストーリー撮影などに使う目的で検討している人には見逃せない利便性だ。
ソフトの比較
Osmo Action 5 Proは4から使っているため違和感なく5に移行できたので、GoPro HERO13 Blackについての感想を述べたい。
勝手ながら食わず嫌い的にGoProブランドを敬遠していたのだが、今回手に取って使ってみた率直な印象は「扱いやすい」だ。
メニュー画面もタッチする度にヘルプ込みで遷移するのでなんとなく使えてしまった。初めてアクションカメラを使うユーザーにも配慮されているのがよい。
GoPro HERO13 Blackに触れた後でOsmo Action 5 Proを手に取ると、DJIの他のドローンやジンバルなどとも統一感のあるメニュー設計に安心するものの、どちらかといえばプロよりの仕様なのかもしれないと感じた。
どちらも不親切さはなく、できるだけ簡単に使えるようにという開発側の良心が伝わってくる。
レンズ性能の比較
レンズキット Legit Kitからも感じる描写性能へのこだわり
今回GoPro HERO13 Blackから新たに発売されたワイドレンズやマクロレンズ、NDフィルターがセットになったキットも試用してみたが、特にワイドレンズを取り付けた際のGoPro HERO13 Blackの立体感のある描写が素晴らしいと感じた。
また、Osmo Action 4では太陽などの強い光源を入れながらカメラを振った際に、あまり好ましくないフレアが出てしまうのが気になっていたのだが、残念なことにこれはOsmo Action 5 Proにも引き継がれている。
一方、GoPro HERO13 Blackで同様の動きをしてもフレアは見られず、それはワイドレンズを取り付けた際も変わらなかった。
この点を含め、GoProのレンズ設計がとても優秀なのだと感じる。Osmo Action 5 Proは広角レンズの焦点距離に重きを置いた結果かもしれないが、敬遠するユーザーは確実にいるだろう。
GoPro HERO13 Blackの専用キットのケースにはアナモフィックレンズのスペースもあり、どのような描写を見せてくれるのか発売が待ち遠しい。
収録機能の比較
どちらもLogモードでの撮影やHDRをサポートはしているが、あまり期待をしてはいけないというのが経験に基づいた持論。特に薄暗く感度を上げないといけない場面では、後でLUTを使っても色を戻せなくなる場合が多い。
かといって画質が悪いわけではなく、通常の収録モードで撮影した場合には、良くも悪くもアクションカメラらしいクリアで彩度高めのパキッとした美しい映像を撮ることができる。
特に今回のOsmo Action 5 Proはダイナミックレンジの広さをうたっているが、1インチセンサーを搭載してやっと使えるかな…というのが本音だ。
カメラそれぞれに個性があり、向き不向きもあるので、それを理解した上で使いこなすユーザーのリテラシーも求められる。
どちらが買いか…
これから冬のシーズンに向けて、初めてだったり買い替えだったり、アクションカメラの購入を検討する人が増える時期だろう。もしかするとスマホの次に手にするカメラがアクションカメラだ、という人は増えているのかもしれない。
スマホからミラーレス一眼ではなく、スマホからアクションカメラを買い足す人にとって、本体内にストレージが内蔵され、またバッテリー容量にも余裕がある。そういった人にはOsmo Action 5 Proはとても魅力的なカメラだろう。基本的なことがボディ単体で完結していることは、特にアクションカメラにとってこの上ないメリットになるからだ。
では最終的にどちらが買いか?と聞かれれば、とても悩ましいのだが、レンズのフレアの有無、この一点においてGoPro HERO13 Blackを推したい。
今回あらためて超広角レンズを通してダイナミックな景色を撮った際に太陽も写し込んで撮りたい場面が出てきた。
それは、アクションカメラの醍醐味とも宿命ともいえるわけで、そこでフレアを嫌って太陽を写し込まない構図やカメラワークを考えるのは魅力を大きく損なうことになると感じたからだ。
両機種を手にして最終的にこのように感じるとは夢にも思わなかったのだが、どちらを手にしてもワクワクしたことに違いはない。
ぜひ皆さんにも、まだまだ進化するアクションカメラを手にして、晩秋そして冬の雄大な景色の中に飛び込んでいただきたい。
宮下直樹(TERMINAL81 FILM)|プロフィール
フリーランスのフォトグラファー・シネマトグラファー。
ものづくりやブランドの世界観を伝える、写真・映像・ドキュメンタリーを手掛ける。
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