2010 NAB Show(全米放送機器展、主催・全米放送事業者協会=National Association of Broadcasters、http://www.nab.org/)が、10日(米国太平洋時間)から米ラスベガスで今年も開幕した。毎年、土曜日・日曜日はプレスカンファレンスが数多くスケジュールされているが、数年前までのようなホテルのボールルームを借りて行うような大規模なものは少なくなった。会場であるラスベガス・コンベンションセンターのミーティングルームやカンファレンスルームを使っての、プレゼンテーション中心のプレスカンファレンスばかりとなってしまっている。

そのため、製品発表とはいっても実機デモが行われることも少なくなり、パワーポイントを使った機能面のプレゼンに終始することも少なくない。製品は展示ブースで見て欲しいという案内がされることが頻発しているためか、プレスカンファレンスに出席する取材記者の数も年々減り続けている有様だ。そんななか、聞くところによると、逆に完全招待者限定プレスカンファレンスで、アジアパシフィックでは5社計5人(うち日本枠2社2人)の記者しか参加できないというものもあったという。メーカーにとっても新製品発表のありかたを再考する時期として、試行錯誤しているようだ。

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とは言っても、まったく新鮮味のないプレスカンファレンスかと言えば、そうではない。パナソニックのカンファレンスでは、パナソニックソリューションズカンパニーでセールス担当バイスプレジデントを務めるジョセフ・ファッチーニ氏が、4/3型センサーを使用するAVCCAMカメラレコーダーAG-AF100のモックアップを手にして現れた。2010年末に登場するこのレンズ交換式カメラレコーダーは、デジタルシネマ制作で注目を集めそうだ。

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パナソニックのカンファレンスとその後のソニーのカンファレンスの双方にオーバーラップしてカンファレンスを開催していたのがクォンテル。優れた2D制作ワークフローであっても3D制作で優れているとは限らないとし、ステレオスコピック3D制作用に開発したブロードキャスト向け新制作システムを提案した。エンタープライズsQをステレオスコピック3Dに対応させるもので、既存のsQシステムもアップグレード可能。3Dタイムライン編集機能、3Dオンライン編集、3D対応サーバコンフィギュレーション機能などを搭載し7月に投入するという。

参加者が増えようが減ろうが、毎年必ず新しい動きを見せてくれるNAB Show。ステレオスコピック3Dやライブ配信サービスへの対応など、市場に新たな制作への動きが出始めている今年。しっかりと見ていきたいと思う。