ナブブラリVol.01 序曲編

3D? 4K? 業界の明日を占うPanasonicとSONYの動向

小寺信良(ポスプロ関連担当)

現地時間で日曜日となる本日は、NAB2011の開場を前に各社のプレスカンファレンスが集中している。筆者としてはやはり日本の代表的な映像機器メーカー、パナソニックとソニーが気になるわけで、この両社のプレスカンファレンスに足を運んだ。

昨年パナソニックは、AVCCAMラインナップでツインレンズ方式の3Dカムコーダを出してきたが、今年はその下準備を終え、いよいよ本丸ともいえるP2HDでの拡充を図ってきた。発表された新製品のうち、最もインパクトがあったのがショルダー型ツインレンズ3Dカムコーダ「AG-3DP1」で、まともにツインレンズ方式でショルダー型を作ればまあこうなるわな、というようなサイズである。同行の岡氏に担いで貰ったが、このサイズがドドドドと2~3台で迫ってきたら大抵の人はまず泣く。

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まさに巨大戦艦「AG-3DP1」

現状はまだモックだが、この秋に発売予定だという。さらにP2HDのハンドヘルド「AG-HPX250」、AVCCAMの新型「AG-AC160」は、撮像素子や画像処理などかなりの部分を共通化することで、開発スピードを上げるなど、これまでのプロ機作りのセオリーである「すべてがいちいちカスタム仕様」を打ち破る合理化を図っている。

一方SONYは、これまでチラ見せしてきたショルダー型ツインレンズ機をいよいよ正式発表した。型番は「PMW-TD300」。XDCAM EXフォーマットでの記録となっており、スポーツなどの市場はこれとAG-3DP1の一騎打ちになってきそうだ。

しかしソニーの今年の目玉はやはり8Kの撮像素子を備えたPLマウント機、「F65」であろう。これだけ高画素の撮像素子だと高速読み出しは難しいはずだが、最大120fpsでの撮影も可能としている。まさにカスタム仕様の頂点とも言える技術力で、他社の追従を許さない。

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さらに上へと進化を極めるCineAlta「F65」

また8Kのワークフローそのものが存在しない現状では、8K収録の4K現像ということになるだろうが、将来的には4K以上の画像処理もあり得るだろう。そこまで来たときにはじめて、本当にフィルムを超えることになるのかもしれない。

実は初体験のNABに見るカメラメーカーのプレスカンファレンスに思う

岡英史(ファイルベース関連担当)

今回始めてのNABはラスベガスと言う街も踏まえて非常に魅力的なイベントいうのがここに来てからの第一印象だ。そもそも街のビデオ屋が何故こんな所にいるのかと言えば、同じくPRONEWSにて執筆をしている小寺信良氏に昨年から「NABに来ないでジャーナリスト気取りしてると潰すよ」散々脅され…と言うのは冗談で、何時も懇親にして頂いているメーカーの方に是非一度遊びに来て下さいと背中を押されたのが一番の理由かもしれない。取り敢えず今日はメイン会場がまだオープンしていないので2大メーカーのカンファレンスに参加をして来た。

まずはPanasonicだが昨年はコンシューマーも踏まえて3Dを大々的に押して来た印象が強いが今回はそれよりも高画質ハンディカムを持って来た事が好印象だ。丁度昨年キヤノンXFシリーズが登場した時と同じような感じだ。早く実機でシューティングが楽しみな一台でもある。

逆にソニーは昨年来から参考出品しているENGタイプの3Dカメラ更にリファインして登場させて来た。同時にハンドヘルドタイプの業務用3Dカメラも発表。この間販売された民生機にキャノン入力を付けただけに見えるが、NX70の時の様に似ていても全くの別物と言う例もあったのでまずはじっくりと見たい機種でもある。

ということでFantastic4のナブブラリもスタートよ!

待望のKカメラ『F65』はF35を小型化したイメージ

石川幸宏(デジタルシネマ&DSLR関連担当)
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いよいよ始まった2011 NABShow。本日はエキジビション開催直前の、恒例プレスデーだ。NABでは毎回月〜木の4日間を展示会にあてているが、その前日の日曜日はプレスデーとして、主要メーカーがこのNABで発表する様々な新製品を1日早くプレスに向けて公開する。この日は毎年主要大手の数社がプレスカンファレンスを開催するが、今年は開催時間の都合などで、パナソニックとソニーの2社のみに参加した。

最も大きく注目を集めていたのは、ソニーから登場した、シネアルタの新ラインナップである4Kカメラ『F65』。同社プレスカンファレンスの最後に登場したこのカメラは、今年初旬に発表された『PMW-F3』の兄貴分というよりも、F35を小型化したイメージ。65mmサイズを意識したネーミング『F65』は、独自新開発の8KCMOSセンサーを搭載、ボディは小型ながらこの新センサーは水平画素8K、総画素数約2000万画素を配置することで、スーパー35mmカメラとして業界最高の解像度を実現している。収録は、こちらも新発表されたHDCAM SRのメモリー版と言える『SRMASTER』で収録。SRMemoryカードに対応するポータブルレコーダー『SR-R4』を後部に接続し、16bitのRAWデータで収録できる。

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この『F65』のデモ映像は、早速明日のNAB会場のソニーブース内に設置された専用4Kシアター(4K”SXRD”デジタルシネマプロジェクター『SRX-R320』使用)で上映される予定。撮影を担当したのは、全米撮影監督協会員で、技術委員会のチェアマンでもあるカーティス・クラーク(Curtis Clark, A.S.C.)氏が担当。プレスカンファンレンス終了後にはご本人も登場し、『F65』とともに写真撮影などに囲まれていた。発売は今期第3四半期を目指しているとのこと。価格などは未定。