4Kを超えるそのむこうには!
NABの展示会場は16日から19日の4日間だが、最終日は午前中早い時期に撤収してしまうブースも少なくない。ということで開場2日目の今日は実質的には中日とも言える。初日に初公開の新製品に群がった人たちも一息つき、何か面白いものはないかと会場内にまんべんなく広がる時期である。
すでにHDの次を見据えた製品がベンチャーだけでなくメジャーな企業からも発売されるようになり、カメラやレコーダーだけでなくモニターやカラーグレーディングといった直接制作にかかわるような製品からその他まで広く広がっている。
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HDを超えるというとすぐに思い浮かぶのはレゾリューションで、4kとか8kといったことになるが、ダイナミックレンジという方向性もある。ただ多くがRAWとか12bitとかの表現が多いのでわかりにくいということはあるかもしれない。ダイナミックレンジが広くなることで、フィルムに近い表現が可能となりデジタルシネマ収録には都合がよい。
RAWデータは撮像素子から読みだした状態のまま記録されるので、単板式だとベイヤーの状態のままとなる。デジタル現像はそれを通常のRGB画像に変換するのだが、微妙な色補正などRGBに変換する以前にコントロールしたほうがよいので、カラーグレーディングがその役割を担うことになる。
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BMDのカメラにDaVinci Resolveが付属していたり、ソニーやキヤノンなどカメラメーカーがこうした後処理を行うソリューションを自社のブースで展開しているのもそのためといえる。ダイナミックレンジの広さはフィルムにしたときにだけ生かされるのかといえばそうとも限らない。たとえば、ウェディングドレスの質感を出しながら髪の毛が真っ黒に沈まないようにして肌色がきれいに見えるように調節するような芸当は従来のビデオでは不可能だったはずである。
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マスターモニターも4k対応の制作を行う上での必需品といえる。キヤノンとパナソニックから参考出品されていた
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シネガンマとかフィルムガンマとかビデオカメラに装備されるようになってきたことで、かなり改善されてはいるものの、カメラのこうしたガンマがあらゆるシーンで適応できるわけではない。カメラによっては複数のガンマが切り替えできたり、ガンマカーブを細かく設定することができるようになっている機種もあるが、撮影現場でこうした設定を正確に行うのはほとんど不可能だ。フィルムに匹敵する広いダイナミックレンジをビデオでどう活かすのか。カメラを始めとした周辺機器が対応した現在、豚に真珠にならないよう使いこなしていきたいものである。
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