NAB2012も今年は14時に幕を閉じあっさりと終わってしまった。しかし会期中の熱は冷めやらずHigh Resolution時代を確実に迎える我々の行く道は悲観的な物ではない事は確信した(昨年の3Dは、異常だった…)。HDだけでも1080/720、1440/1920、24p60pなどといったパラメータがある上に圧縮コーデックも各社固有のものも含めると順列組み合わせを考えると気が遠くなってくる。そこへ来て2k4kが入り乱れさらにRAWデータやらLogだのがでてくるともう何がなんだかという感を受ける方も多いだろう。

今年のNABはある意味熱かった!その理由は…

VTR時代は特定のメーカーが特定のフォーマットのVTRでしのぎを削っていたがファイルベース時代になり非常にオープンな時代になった。VTRはメカと電気の組み合わせだけでなくテープという記録媒体も必要で、必然として大きなメーカーでなくては作ることができなかった。ファイルベースの世界ではある規格に則って機材を開発すれば良く、その規格もメーカー特有のものでなければ誰でもが利用する権利がある。小さなメーカーでも大きなメーカーと対等に渡り合う事ができ、当然そこには一攫千金のチャンスが生ずる。まさにアメリカンドリームの世界が広がっているのである。ブラックマジックデザイン等は既に大きな企業となったがここ数年で急成長したベンチャーである。今回のCinemaCameraの発表はその事を感じずにはいられない。

今回のNABはある種ゴールドラッシュのような熱気と夢に包まれたちょっと異様とも思える雰囲気である。ユーザーが自由にフォーマットや製品を選択でき、更にローコスト化も可能といういい時代といえばそれまでだが、何をどう選択するのかが難しい時代になったといえよう。自由を得た分それを選択した己自身が責任を持たなくてはならなくなったのである。これはカメラやレコーダーだけでなく、様々な周辺機器にも及んでいる。

もともと、NABではいわゆるベンチャー企業がユニークな製品を出品することも結構あったのだが、大メーカーと張りあうような製品からアイディア勝負的なもの、特定な分野に特化したものなど数が増えたように思う。

業界人なら誰もが知っているヴィンテンやアントンバウアなども元々カメラマンなど業界人が創設した会社だし、レコーダーのCinedeckも空撮のカメラマンが自身が必要とするレコーダーを具現化したものだったりする。

既存の製品では満足できない貴方は、製品に不満をいうより自分の理想の製品を製品化してNABに出展するという選択肢もある。製品の選択も自由なら製品の開発も自由なのである。そこにはユーザーにどれだけ受け入れられるのかだけがあり、資本の大小はほとんど関係ないフラットな世界である。来年の2012年はそういった物が見受けられるかもしれない! 今回は、会場で見かけたベンチャー発の商品を最後に紹介しつつ筆を置きたい。ではまた来年!

会場で見かけたベンチャーな商品達

dayR0013811.JPG 白色LEDの入手も容易になったこともあり、様々なメーカーが商品化。調光や色温度を調節できる製品などそれぞれ工夫。単にON/OFFだけなら数千円という製品も出現している dayR0013086.JPG

センターとサウスホールの通路部分で行き交う人に製品をアピール。要するにレフ版なんだけど傘のように折りたたみ式で平面なところが売りらしい。こうした勝手営業活動も見かける

dayR0013863.JPG 日本人だと現場でダンボールとかで組立ちゃいそうなフード。数年前はフードマンが会場を練り歩いていた… dayR0013530.JPG

JAG35.comは、初心者向けリグを提供。NC旋盤とかがあれば町工場でも充分制作できそう。放送機器はロットもそれほど多くないのでちょうどいいかも

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空撮用ヘリ。本格的なものは以前からあったが、6社が出展していた。プロペラの数が多いほどジャイロ機能によって安定するためクアッドコプター以上の物が多い。そのジャイロに使用されているほとんどが村田製作所製らしい