txt: 新野文健 /編集部 構成:編集部

SXSWの朝は早い…。そして夜は遅い…。期間中は寝ている場合ではないほど同時多発的に何かが起っている。様々なカテゴリのセミナー、展示、イベント等が至る所で開催され、まさにカオスと言われる…。このレポートではメインストリームであるカンファレンスセッションやトレードショーではなく、周辺イベントや個別の特集テーマを紹介していこう…。

SouthBites

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SouthBitesトレーラーパーク

食に関するセミナーやイベントを集めたセクション。ネクストウェーブのコーヒー、バイオテクノロジーを活用したサスティナブルな食品製造などのセミナーの他、トレーラーレストランを集めたオシャレな屋台村もコンベンションセンター近くに開設され、参加者達の胃袋を満たしてくれていた。この屋台村、日中は割と並ばずに注文できるのだが、夜になると長蛇の列になるので色々食べ比べたい人は夕方頃を狙って行くのがおすすめだ。

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トレーラーパークのハンバーガー屋台

SXSW GAMING

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米国の大規模ゲームショーE3や東京ゲームショーの様に、大手ゲームメーカーの最新機種発表や大型新作の展示等はなく、むしろちょっと懐かしい感じのビデオゲーム機や、カードゲーム、ホビー用ドローン等が並ぶ。地元の子ども達やOTAKUカルチャーの同好者達が楽しむような雰囲気。

そんな中でも、ハイテクな展示で行列ができていたのはヘッドマウント型のディスプレイを使ったバーチャルリアリティゲーム。両手に持った専用コントローラーを動かすと、画面の中ではスターウォーズのライトセーバーの様な刀が現れ、目の前の仮想敵とまさにチャンバラプレイができるというもの。その傍らで、昔のファミコン風のゲーム台に並ぶ子どもたちの列も有り、ハイテクを用いていないと不人気というわけでもない。子ども達の笑顔は必ずしも最新技術を使わずともつくれるのだという事を再認識したのだった。

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STEM System ヘッドマウント形のVRゲーム

SX CREATE

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電子工作や、3Dプリンターを使った作品などハッカーのDIY作品が集められた展示ブース。太陽光で走るミニカーレースに、自分の飲んだコーヒーの種類を自動的に集計してくれるIoTネスプレッソマシンなど。ここでもマニア向けではなく、普通の生活者や子ども達を惹き付けるようなブースが多く、Makersムーブメントが市民レベルで根付いている事を感じさせてくれる。

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ネスプレッソ IoT

SXSW Style:DECODED FASHION

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ファッション、アート、アパレルといったカテゴリのセッションをまとめたSXSW Styleでは、ウェアラブルとファッションについて、サスティナブルなブランド作り、次世代の店舗体験をどうデザインするか等をテーマにしたパネルセッションやミートアップと呼ばれる交流イベントが開催された。

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音楽の街オースティンでは、黒いTシャツにタトゥーのロン毛スタイルといったロック風の人もよく見かけるのだが、会場周辺にはオシャレな風貌のファッショニスタもちらほら見かけ、SXSWのいい意味でのカオスっぷりを感じた次第だ。

SXSW Accelerator

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スタートアップの活動に注目し、期待する機運が高まる中、それらに関するセッションやイベントを集めて開催されている。中でもSXSW Acceleratorというピッチイベントでは、2分間のショートプレゼンで自分たちのサービスや製品をアピールし、その後審査員からの様々な指摘や質問を浴びる。このステージに立てるのは事前に数百の応募作の中から選ばれた限られた数チームのみ。Vol.03でもお伝えしたが、2015年はエンターテインメント&コンテンツテクノロジーのカテゴリに日本のSIX Inc.が最終選考に残り、Bootstrap賞を受賞する快挙を成し遂げた。Lyric Speakerと名付けられたこの受賞作品は、楽曲の歌詞を音楽に合わせて美しく表示できるスピーカー。

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SIX Inc.のLYRIC SPEAKER

モーショングラフィックの要素を取り入れた歌詞の読めるスピーカーは、その完成度の高さに世界からも注目を集めたようだ。

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SXSW Acceleratorでプレゼンテーションする候補者

この他にも、SXsports、SX Health and MedTech、といったテーマでのセッションやイベントもあり、それらが同時進行で開催されるため全てを網羅する事は到底できない。

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そこで重要になるのが、パーティーやミートアップと呼ばれるイベントだ。バンド演奏の傍ら、世界中からオースティンに集まった人々が、毎夜ホールやBARで語り合う中で、受講したセミナーやチェックしているイベント等の情報を交換する事で把握しきれなかった内容を補うのだ。そこでの人脈ネットワークをサポートするSXSW Socialという参加者専用のSNSもあり、自分の友人がどんなセミナーを受けているのかをスマホから確認する事もできる。

さらにSXSW Interactive部門の前後に開催されているFilm部門、Music部門も期間が少しずつ重なるように設定されているので、それらの人種も交わるとなると、もう相当なカオス。また、Interactive、Film、Musicはどのパスでも参加可能なイベントやパーティー、音楽ライブも用意されており、主催者側もそのカオスをポジティブに生み出そうとしている姿勢が伺える。

実際に、そこから化学反応が生まれるような出逢いも頻繁におこるので、オースティンに行って得られる体験の価値はここだけでしか得られないものだろう。読者の皆さんがこのレポートを呼んで刺激を受け、SXSWを訪れるきっかけになってくれれば幸いだ。Don’t think. Feel!

txt: 新野文健 /編集部 構成:編集部


Vol.03 [SXSW2015] Vol.00