txt:猪蔵 編集部 構成:編集部

期間中スクリーニング上映とセッションにどっぷり浸かる

Film部門は、映画のスクリーニング上映と、カンファレンスセッションから構成されている。インディーズ映画からメジャーまで数多くの作品が日々公開される。スクリーニング後には、Q&A(質疑応答)が開催され、直接監督や出演者と交流するまたとない機会になる。毎回注目の作品はこの質疑応答でかなりの時間が割かれる事も珍しくない。

カンファレンスには、映画制作秘話や資金調達、機材選定やデジタル化の話等、映像制作に関わる事ほぼすべてが網羅されている。朝9時半から、夜22時までカリキュラムがびっしりと組まれ、何を選択するか?事前に決定しておかなければ多大なる機会損失につながる事は言うまでもない。その際に役立ったのはSXSW専用のアプリ。トレードショーの方でも機材出展がされている。また会場周辺の映画館でも自発的な上映も合わせ開催されている。映像にどっぷり浸かる事が出来るSXSWFilmについて紹介したいと思う。

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シアター前に貼り出されてスクリーニング予定作品のポスター展

まずはスクリーニングだが、昨年は、第87回アカデミー賞9部門にノミネートWes Anderson監督作品「Grand Budapest Hotel」が上映。その後TIFFに招聘された「Chef (邦題:シェフ 三ツ星フードトラック始めました)」等注目の作品が並ぶ。今年は「Steve Jobs: The Man in the Machine」がプレミア上映された。

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Steve Jobs: The Man in the Machine Alex Gibney SXSW2015

上映後に行われるQ&Aセッションでは監督、俳優、音楽担当等関係者が登壇して観客とコミュニケーションを取る事が可能だ。既にベテランの映像業界人そして映像業界志望の学生まで映画の“現在”と“これから”を同時に感じるプログラムが用意されている。気になるセッションについて紹介しよう。

タイトルにピンと来たら参加!数多あるセッション選りすぐり

カンファレンスセッションは興味のあるタイトルと概要からアタリを付け参加する事になるのだが、コンベンションセンターだけではなく街中に点在するホテルでも開催されている為にあらかじめ予定を立てる事は必須だ。行き当たりばったりでは100%機会を逃してしまう事必至だ。分厚いマニュアルか専用アプリから選りすぐって望みたい。

■3D Printing in the Movies
SXSW2015_02_04 登壇者:Chuck Alexander(Stratasys Direct Manufacturing) Jason Lopes(Legacy Effects)

Legacy Effects社のロペス氏は、「3Dプリントの採用は、前には想像もできなかったものを作成することができる様になった革命的なことでした。」と興奮気味に説明。アイアンマンの三部作、パシフィック・リムそして、ロボコップなど。Legacy Effects社が手がける作品の多くに3Dプリンターが用いられている。

これまでの精密な小道具を作るのはさらに時間と手間がかかっていましたが、一度CGIで製作した実物大のデータが現実世界にも、かなり高速(笑)で精密なものとして完成するのは驚くべきことです。今現実にすることができるデジタル空間に細工されたCGIモデルの正確なコピーとなり、デジタル空間と現実に存在する道具になるのは不思議なことです。

デジタル空間の中で実現できるCGIがそのまま3Dプリントでカタチになる事は、一元管理等も出来るのでメリットは多い。”3D Printed FX”として映画制作のプロセスに3Dプリントを組み込みプロップ(小道具)を作成する事のメリットを展開した。

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3Dプリントは、映画産業を確実に変えました。VFX(特殊効果)専門家はこれまでスタジオにある小道具や大道具とはあまり関わりがありませんでした。実物大の小道具、セット、そして衣装のコンセプトモデルからすべてを3Dプリントを利用して生成することになると、彼らの役割も変わることは確実です。コンピュータで生成されたデザインが、カタチとなります。制作の様々な部分で影響を与えています。

■Astrophysics Goes Hollywood: Cinematic Science
sxsw2015_02_07 登壇者:Donna Cox ( National Center for Supercomputing Applications)、Frank Summers – Space Telescope Science Institute)、Robert Hurt –(NASA) NASA Spitzer Science Center JPL

実際にアンドロメダ等の星雲を見た事がある人は、ほとんどいないと思います。我々が作り出した物が実際の物とされています。では実際には見る事が出来ないこの星雲を視覚化するのはどうしたら良いでしょうか?

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NASAのハッブルとスピッツァー宇宙望遠鏡を通して見る事が出来る驚くべき宇宙のビジュアルを再現するにはどうすれば良いのか?IMAX映画「ハッブル」の解説とともに紐解かれるセッションとなった。

クリエイターとテクノロジストの深いコラボレーションがなければ実現できないプロジェクトであるという。天体物理学の研究コード、ハリウッドグラフィックスソフトウェア、および強力なコンピュータの組み合わせがその鍵となる。MAYAで制作されたCGIが、スーパーコンピュータで演算され、IMAX映画「ハッブル」でオリオン星雲など2つの銀河の巨大な衝突シミュレーションも可能とした。NASA研究員が天の川の真の3D構造を解析することから、それぞれの成果物は正確な描写かつ美しい仕上がりとなった。まさに両要素が無ければ実現できなかったという。

■How Next-Gen Filmmakers are Changing Hollywood
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この春公開される映画「Lazer Team」は、まさに新時代の映画製作を体現したと言える作品。そのスタッフが一堂に会して紹介した。今やハリウッド映画の世界でもデジタルは欠かせない。実はフィルム至上主義で伝統を重じる世界であると思われがちだがそうではないと口火を切りセッションが始まった。

登壇者:Burnie Burns(Rooster Teeth)、 Matt Hullum(Rooster Teeth)、Michael Goldfine(Fullscreen) 、George Strompolos(Fullscreen)、Kevin Iwashina(Preferred Content)

YouTubeのような動画共有サイトは、新世代の映画制作者や元のショートフィルム監督等若い世代には非常に強力な武器となる。場合によっては、多くの観客をつかむチャンスが大きい。

Kickstarterなどのクラウドファンディングなども独立した資金調達の方法として有効だ。資金調達だけではなく、ファンやマーケティングにも有効と言うメリットもある。今やYouTube等のデジタルツールは無くてはならない物となった。大げさかもしれないが、ハリウッドのルールを書き換えたと言える。

デジタル全てを礼賛し取り入れるのではなく、これまでのやり方をより良くする為に共存する方法をとるのが目的達成への近道だという。“今ある制作方法をより効率的に活かせるのであれば、いくらでも新しい方法を取り入れて行きます。”と言うことばが印象的だ。

txt:猪蔵 編集部 構成:編集部


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