txt/movie:MonkeyStones(猿田守一/石川幸宏) 構成:編集部
放送・映像関係者のための視点に立つからこそ、盛り上がる理由がそこにある
NHKと映画テレビ技術協会が共催した8Kスーパーハイビジョンコンテンツ制作に関するセミナー会場は受講者で満員となっていた
九州放送機器展はInterBEEなどの展示会と大きく異なる点がある。それは主催がトレードショー開催専門の業界団体やイベント運営会社ではなく、一般社団法人 日本ポストプロダクション協会(JPPA)の、しかも九州支部に所属する5社(株式会社アート・ワークス福岡、株式会社ビデオステーション・キュー(福岡)、株式会社映像新社(大分)、株式会社STSプロジェクト(佐賀)、株式会社ジェイ・ムーブ(熊本))が中心となって運営されていることだ。このことからもあくまで九州・西日本地域の放送・映像関係者のための、ユーザー視点に立ったイベント内容となっていることも年々来場者の増加に起因しているようだ。
第一線で活躍する講師を招いての基本セミナー。今回はフジテレビで4月から始まった「水曜歌謡祭」の照明デザイナー、植松晃一氏を講師に招いた照明ワークショップが行われた
開催期間中に開催されているセミナー、ワークショップなどの内容にもその特徴が現れている。今年も各メーカー主催の新製品/新技術の紹介ソリューションセミナーがコンパクトに開催されている。さらに今年は、NHKと映画テレビ技術協会九州支部が構成する「8Kセミナー」としてNHKが取り組む8Kスーパーハイビジョンコンテンツ制作に関するセミナーや、2013年から開始された特定ラジオマイクの周波数移行など、時節柄の現場が知りたい先端技術に関する解説セミナーが実施された。それ以外にも、これから映像・音響のプロ業界を目指す新人へ向けて、現場に必要な基礎知識を第一線のプロが解説する基礎技術セミナーなど、新情報と基本ノウハウの両面を考慮したセミナー・ワークショップが積極的に行われているのも、この九州放送機器展の大きな特徴となっている。
ローランド
映像機材では、NABで発表された同社初の本体とコンパネ分離型でありながらコンパクトな本格2M/Eマルチフォーマットビデオスイッチャー「V-1200HD」と、本体背面部に装着可能な6つの拡張インターフェース、XIシリーズ(XI-REAC、XI-DANTE、XI-MADI、XI-DVI、XI-SDI、XI-SFP)を中心に展示。またマルチフォーマットプレゼンターPR-800HDの新バージョンとして、16:9ディスプレイによるタイムコード表示等、CATV局等へ向けた展示を行っていた。
池上通信機
今年のNABで試作機として初めて参考出展された、新開発2/3型3CMOSセンサーを採用した4Kカメラを、同社内覧会以外では一般初公開展示。
JVCケンウッド
横浜にある本社・横浜事業所とQBEE会場のJVCケンウッドブースをつないで、リアルタイムネット配信のクオリティ実演を紹介。同社のカメラに内蔵されるZixi(ソフトウェア)により、インターネット及び閉域網におけるレイテンシー(遅延)やパケットロス(データ欠損)、ジッター(映像音声乱れ)を解決し、IPネットワークでも放送品質の配信および伝送を実現。
また6月中旬発売の新製品の業務用分離型4Kカメラシステム「GW-SP100」の実機を展示。4K対応スーパー35mmイメージセンサー搭載し、マイクロフォーサーズシステムマウント採用の小型4Kカメラユニットと脱着・折り畳み可能な7インチフルHD液晶モニターを装備したビデオユニット。そして手のひらサイズのコントロールユニットからなる分離型4Kカメラシステム。またJUNS株式会社による定格動作周波数を最大4.4GHzまでチューニング、4K60p素材の取り込み・編集が可能な、4K編集対応のノンリニア編集機「JUNS Pro Studio Ultimate 4K」のデモンストレーションも実施。
アビッドテクノロジー
CATVや小規模制作プロジェクトに最適なエントリーモデルの共有ストレージISIS | 1000とArtist DNxIOなどの新製品を中心に展示。ISIS|1000は、同社のMedia Composer、Pro Tools以外にも、Apple Final Cut ProやAdobe Premiere Pro CCも接続して使用可能で4Kもサポートする。Artist|DNxIOはブラックマジックデザイン社との初のコラボレーション製品で、4Kメディアの取り込み、モニタリング、出力をサポートするビデオI/O。
グラスバレー
主に放送向けソリューションを中心に展示。6倍速ウルトラスローモデルを追加した、LDXカメラシリーズの実機展示、リプレイシステム「K2 Dyno」、デジタルディスクレコーダー「T2」、4K対応のノンリニア編集ターンキーシステム「HDWS 4K」、NLEソフトEDIUSの新バージョン「EDIUS Pro 8」、マルチビューワー/ルーター「Kaleido series」「NVISION Compact」などを展示。また参考展示として次世代ビデオサーバーとして、EWGNAS2/EWGS-L100の機能を引き継いだビデオサーバーを展示。
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