PRONEWS RADIO Vol.03
※併せて聞くと効果あり!
次代のクリエイティブとビジネスを刺激する
石川幸宏 |
NABに来ていつも思うのは、新製品や新たな技術を目の当たりにするのももちろん楽しいのだが、それ以上に心躍らされるのは想定外の新たな発想や、新たなビジネスを予見するようなアイデアを発掘できる絶好の機会でもあるところだ。
パナソニックがこの2月に発表し、3月末にすでにリリースされている新たなシネマカメラ「VARICAM LT」。兄貴分のVARICAM 35と同センサーを搭載し、4K60p対応の小型化された筐体、そしてEFマウントとPLマウントをユーザー自身が交換出来るというユニークなカメラ。堅牢性などプロ視点で好感が持てるプロダクツとして2月の特集記事でも紹介したが、今回はその最も気になる機能であった、IRフィルターoffによる撮影コンテンツが公開されていた。
通常、カメラのセンサー前には赤外線カットのためにブルーのIRカットフィルターが搭載されているが、VARICAM LTはそれを赤外線透過フィルター(透明フィルター)と自由に交換でき、いわゆる“赤外線写真”と言われるような、幻想的もしくはアーティスティックな作風の映像を撮影することができる設計。またV-Log収録可能ができ、その映像をさらにカラーグレーディングすることで、また新たな世界観を表現出来るのではと感じていたが、NAB会場ではその一端が窺われるデモ映像が公開されていた。
ブラックマジックデザインは、昨年のNABでの38製品の発表後、大幅にその製品群の出荷が遅れており、おそらくユーザーから抗議も多かったであろうと推察されるが、その反省を受けて今後は発表時にすでにリリースされるか約3ヶ月以内にはリリースされるものの製品発表しか行わないという方針を打ち出した。
その中で今回の発表でユニークだったのは、12G-SDI経由で入力されたUHD 4Kの映像コンテンツを、SDカード25枚にH.265形式で一気にコピーできる「Blackmagic Duplicator 4K」だ。要はライブやイベント会場、発表会などの行事には欠かせないDVD販売をSDカード配布(販売)へ結びつける画期的な製品。日本の場合まだH.265の入力・上映ができるデバイスがPCなどに限られるが、業務ビデオの新たなビジネスを色々と想像させてくれる製品を出してきたことは、これまで同様に…この会社ならではの期待感を裏切らなかった。ユーザーが様々な形で刺激されることも、NAB参加の大きな醍醐味なのだ。
相変わらず広い…広すぎる会場
岡英史 |
NABの会場はとにかく広い。どの位かと言えばソニーブースからブラックマジックデザインブースまで大体20分掛かると言っても大げさではない。万歩計を付けると最低でも18,000歩はカウントし今回は最大21,000歩強という感じだ。更にただ歩くだけじゃなくて機材を持ち歩くのだから夜にはもう動きたくなくなる。Facebook等で楽しく遊んでるように見えるのはモンキーヒルズ猿田氏の演出の他ならない…。
■SONY PXW-Z450
ずばり予想していたものが登場したと言う感じだ。スペック的にも十分妥協できる範囲。ミドルレンジ4K-ENGはこのカメラで決まりだろう。担いだ感覚はやはり肩にしっくりくる。同じHDカメラのX400に比べても重量も軽く前後のバランスも中々良い。とは言えこのカメラがHDCAMの変わりかと言えばそんな事は無いと思う。型番に付けられたZシリーズはZ150=PD150と考えるとZ450=DSR450と言う図式に当てはまるかもしれない。発売価格・時期共に未定だが、FUJINON製の専用B4マウントレンズ(AF/AE付)で200万円前後と筆者的には予想している。
■AZDEN SMX-30
センターホール手前と言えば、オーディオ関連だった。しかし今年はドローン系の展示が占めてしまった。そのため各所にばら撒かれる形になってしまったオーディオメーカー。AZDENも同く、ノースホールに移動。今回の新製品はDSLR向けガンマイクSMX-30の展示。これはショットガンマイクとX-Y系のステレオマイクの二つが同じ筐体に仕込まれてあり、排他的ではあるが2本のマイクを切り替えて使うことが出来るイメージだ。もう一つは2.4Ghz帯デジタル送受信機PRO-XD。内蔵電池の為に超小型の筐体が特徴だ。
■Blackmagic Video Assist 4K
HDキャプチャーVideo Assistに続き、遂に4K(UHD)キャプチャーが出来るVideo Assist 4Kが登場した。HD版に比べるとSDI端子が標準サイズになっているのが現場向きだ。とは言えサンプルレート4:2:2 10bitを収録するためにはSDカードもハイスペックな物を要求される。残念ながらハイスペックと言えばのSanDiskカードは今回推奨カードから外れている。かなり高性能な要求がされるので、推奨以外のカードは駄目元の自己責任でと言うことになるが、256GBでもProres422HQだとわずか38分の収録しか出来ない。とは言え高価な256GBカード、運よく推奨意外でも使用可能な物があればメーカーにフィードバックをして欲しい。
■総評
今年はドローンとVRをガンガンに推しているNABだ。純粋な映像としてはIPとHDRが完全にキーワード化されている。特にIP伝送に関してはメーカー独自と言うことは無く、むしろメーカー同士でのコラボレーションな物も数多い。逆にVRはコンテンツ重視なのは当たり前として1フレームでも破綻していると一気に現実に引き戻されてしまう。数年前に流行った3Dと同じ匂いを感じているのは筆者だけでは無いはずだ。 さていつもは4日間フルにNAB参戦するが、今年はLAでちょっとしたサプライズに誘われているので3日間で離脱。このたった1日の違いが結構最後の一発を見れなかったりもする。来年はキッチリと4日間の参戦を予定しつつ、今年のラスベガスから離れたい。
8Kは現実となるのか?
江夏由洋 |
NABも3日目で佳境を向かえております。今日は8Kというキーワードでレポートします。まずは、いよいよ実機の展示となったRED WEAPON 8K。世界初の8K内部収録が可能なカメラとなりますが、何といっても8Kで60pを実現しているのが驚きです。まだファームウェアが整っていませんでしたが、ほぼ完動の状態で、今年の年末には出荷が可能になるとのことです。
ちょうど今年の頭にWEAPON 6Kが事実上のリリースとなり、REDがその技術力を終結した映像を我々も手にすることができるようになりました。私も先月WEAPONで撮影をしましたが、今までのDRAGON6Kを上回るノイズの少ない美しい映像には、ただただ見とれてしまうばかりです。REDのすごいところは、フルフレームの撮影であってもRAWでハイスピードが撮影できることでしょう。今回の8Kも60pで収録が可能なので、その映像表現の幅は無限大です。REDのブースではサードパーティ製品とのシステムセットアップを多く見せておりましたが、今年も4Kシアターを展開し、REDで撮影された映像素材が沢山紹介していました。美しいデモムービーの数々を見ていると、時間を忘れ、これから始まる8Kの世界に大きな期待を募らせてしまいます。
今年も人でいっぱいのREDブース
8Kで内部記録できるRED WEAPON 8K。60pで撮影が可能
8Kセンサー!
キヤノンも8Kの上映展示を行っておりました。Cinema EOSシリーズに8Kのコンセプトカメラを展示。4台の4Kレコーダーを使って8Kを収録したということで、会場でも話題を呼んでいました。また今年もNHKが8Kコンテンツの上映を行っております。
キヤノンのブースでは8Kシアターが展開。初めて8Kの参考展示
参考カメラの8KのCinema EOS
4Kの4倍もある8Kってこれからどのような用途があるのでしょうか??と思う人も多いと思います。中には「8K不要論」をいう人もいますが、技術は常に可能性を求めて進み続けます。NABはそんな最新の技術を体感する場所なんだと思います。
NABで見つけた優秀な小物たち
猿田守一 |
今日は取材の合間を縫ってセントラルホールの奥にあたる部分にいってみた。このエリアはSonyやATOMOS、edelkrone また、カメラ機器類を販売しているB&HやSamy’s cameraなどの販売店がブースを出店している。このエリアは比較的小物類を取り扱っているショップが多いのであるが、日本ではなかなか見ることができない気の利いた小物類を見つけることができる。
こと今回気になったのはedelkrone社のJIBPLUSである。どういう製品かというと、minijibにこの製品をプラスすることによって、被写体を自動でフォローする、半ばモーションコントロールカメラに似た動きをJIBの操作(手動)で行う事ができる優れものだ。三脚とMINIJIB本体との間にセンサーモジュールを入れ込む。ウエイト側にはコントローラー。
またMINIJIB先端部にはカメラを載せる2軸のヘッド。そしてフォーカス用のモーターの4点で構成される。コントローラーで被写体の映したい部分をJIBを振って一番近い所と遠い部分をセットするだけで(含むフォーカス)MINIJIBをどう振っても被写体を追い続ける事ができる。これは映像表現を広げるいいアイテムではないだろうか。