待望の2/3インチ、4Kカメラ、ソニーPXW-Z450が受賞!

毎年大晦日の恒例、いよいよPRONEWS AWARDの発表。2016年はカメラ仕様としての4K撮影機能がすでにスタンダード化した中で、さらに利便性、汎用性、そしてこれまでの操作性の継承が求められるようになってきた。その中で、過去のENGスタイルをそのまま踏襲した、2/3インチセンサー搭載、B4マウントレンズ対応というスタンダードは守りつつも、4K収録対応ができるカメラの登場は多くの放送局、業務用レンジのビデオカメラマンが待ち望んでいた。そして満を持して登場したのが今回のソニーPXW-Z450だ。

大賞
XDCAMメモリーカムコーダー PXW-Z450

ソニー

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4月のNABで発表されたXDCAMショルダーカムコーダーPXW-Z450は、業界初(2016年9月9日時点ソニー調べによる)となる新開発2/3型Exmor R CMOSイメージセンサーを搭載し、高品位な4K/HD撮影を実現。さらに放送局でのテレビ番組制作や報道制作現場で広く使われているB4マウントレンズに対応し、従来からのレンズ資産を活用できることは放送局やB4マウントレンズユーザーにとって大きなメリットとなる。

操作性については、スタンダードな形状も含めてこれまでのHDショルダーカムコーダーのデザインと操作性を継承し、普段の操作方法で4K撮影が可能となる。本体設計にも細かい配慮がなされており、軽量設計およびレンズ装着時の重心位置の最適化され、肩に担いだ状態で最適な重量バランスとなっている。

記録フォーマットにはXAVC Intra/Longフォーマットによる4K/59.94p収録が可能で、さらにHD収録で幅広く使用されているMPEG HD422、MPEG HDもサポートするマルチフォーマット収録ができ、4KとHDが混在するいまの現場においても費用対効果に優れた運用が可能だという。またネットワーク機能を内蔵し、ファイル転送やライブストリーミングなど、ネットワークを活用した最新のワークフローにも対応している。

さらに2017年度中のソフトウェアアップデートにより、4K/HD同時記録、SDIでの4K/59.94p出力への対応も予定。これは、NAB発表時点では4K60pの外部出力が不可能だったが、世界の放送局ユーザーから提言も多くあったようで、9月のIBC時点では収録と同時に後部出力端子部の改造により4K60p出力が可能となった。これまでの撮影操作リテラシーを継承しつつ、多くのカメラマンが望む4K撮影を放送・業務でスタンダード化する、この命題に真摯に向き合った姿勢を評価し、今回の大賞には各部門を越えて、このPXW-Z450を選出した。

2017年の展望

2016年の一年を振り返り眺望してみると、HDRや8K、また360°/VRといった先進技術に対応する製品も多く発表された。またNABで突然発表された、Lytro Cinema Cameraのような、未来を想像させる次世代映像制作の革命的なアイデア製品の登場も記憶に新しい。しかし多くのユーザーにとっては、これといった現実感が少ない製品、技術も多かったことも確かなようだ。

その反面、技術的には斬新ではなく発表自体も地味ではあったものの、4Kスタンダードの足下を踏み固めるような堅実な製品の発表もあり、現実的にはこれが多くのユーザーに支持され受け入れられた傾向もある。また2015年以前に発表されたカメラや周辺機器がようやく性能が安定し、本来の長所を活かしつつ普及しはじめた、というような「製品の熟成進化」というのも近年の著しい傾向だ。

果たして2017年の映像機器はどのような展開を見せるのか?昨年末に予想した展望がほぼ当たっていたように、ワンマンに近いオペレーション制作を安定して行えるスモールプロダクションの環境は今後も進化していくだろう。また解像度や様々なスペックよりもルックや画の雰囲気を作るカラーの個性といった方向は、シネマカメラ系を中心により追求されてくるはずだ。ドローンやジンバルなどの新たな周辺機器も地味ながらもその存在意義は定着したので、それぞれ進化し続けると思われる。

また来年注目なのは、大手メーカーのこの分野における事業体に大きな改変があることだ。ソニーがすでに映像音響分野の分社化を決定しているが、他の大手メーカーも何らかの変更・改変があるという。これによりハイエンドと言われる放送・映画分野のハイスペック製品と、ローエンド/コンシューマ製品がより緊密を増してくる傾向にあると思われ、このようなメーカー側の体質の改善進化によって、これまでとはまた違った技術進化と変革が行われることに期待したい。

PRONEWS 編集部


Vol.03 [PRONEWS AWARD 2016] Vol.00